コロナ禍でもV字回復継続のクリスピー・クリーム・ドーナツ。蒸留ベンチャーとドーナツ味の“クラフトジン”を開発

今回のコラボアイテム、「クラフトジン アップサイクル オールドファッション」と「LITTLE JOY SPIRITS」。

今回のコラボアイテム、「クラフトジン アップサイクル オールドファッション」と「LITTLE JOY SPIRITS」。

撮影:荒幡温子

クリスピー・クリーム・ドーナツ・ジャパン(以下、KKDJ)が、アップサイクルなドーナツを限定販売する。使用するのは、クラフトジンの製造工程で残る、ハーブや香辛料の残渣(ざんさ)だ。

サントリーHDも出資した蒸留ベンチャー「エシカル・スピリッツ」とのコラボレーションとなる今回の取り組みでは、KKDJの定番商品「オリジナル・グレーズド」のロス部分からアップサイクルしたクラフトジン「LITTLE JOY SPIRITS」も開発された。

大人向けアップサイクルドーナツが誕生

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アップサイクルなドーナツ「クラフトジン アップサイクル オールドファッション」。

撮影:荒幡温子

アップサイクルなドーナツ「クラフトジン アップサイクル オールドファッション」には、エシカル・スピリッツの代表的なジン「LAST ELEGANT(以下、エレガント)」の蒸留後に発生するハーブや香辛料などの廃棄物を生地に混ぜ込み、表面のアイシング(表面のデコレーション)は「エレガント」で香り付けされている。

コラボドーナツ、半分。

残渣の独特の香りだけでなく、食感も楽しみながら味わえる。

撮影:荒幡温子

実際に食べてみると、ハーブの香りが口いっぱいに広がり、あとから来るピリッとした山椒をアクセントに、大人向けの味わいだと感じた。

それもそのはず。このドーナツは旗艦店となる東京国際フォーラム店で、環境月間である6月の毎週金曜・土曜17〜21時に限定販売されるもので、「夜に楽しむ」ことを想定して開発されている。

今回のコラボでは、クラフトジンに合うドーナツや、ドーナツに合うクラフトジンも販売する。

今回のコラボでは、クラフトジンに合うドーナツや、ドーナツに合うクラフトジンも販売する。

撮影:荒幡温子

東京国際フォーラム店では、この期間にコラボジン「エレガント」を使用したノンアルコールカクテルや、ジンに合わせたオプションが追加されたドーナツバーガーなども販売。仕事や買い物帰りにサクッと食べ飲みできる、大人向けのラインナップを揃える。

「やはり、お子さんには少しクセのある味わい。販売場所も、ファミリー向けの郊外ではなく、オフィスワーカーなど年齢層の高い利用者も多い丸の内という立地を選びました」

と、KKDJの若月貴子社長は言う。

ロスドーナツを「一度焼き上げた」クラフトジン

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残渣がコラボドーナツに使用された「LAST ELEGANT(エレガント)」と、コラボクラフトジン「LITTLE JOY SPIRITS」(右)、3300円(税込)。

撮影:荒幡温子

コラボクラフトジン「LITTLE JOY SPIRITS」の香り付けには、ドーナツの製造工程でどうしても発生してしまう生地とグレーズ(表面のコーティングのようなもの)の余剰部分が使用されている。

その量は季節によって変動するものの、KKDJの全店舗合計で1カ月あたり約1トン以上となるという。今回限定販売される300本の開発では、403個分相当のドーナツを活用した。

蔵前に構える「東京リバーサイド蒸溜所」。

蔵前に構える「東京リバーサイド蒸溜所」。

撮影:荒幡温子

通常、クラフトジンはお酒となるベーススピリッツに、香り付けの役割のボタニカルを漬け込むことで作られる。このボタニカルに、ロスドーナツを使用したわけだ。

生地はクッキー状に焼き上げ、グレーズはキャラメリゼして漬け込むことで、もともとの生地やグレーズの香ばしさを損なわずに、より際立たせました

と、エシカル・スピリッツのCOO・小野力氏は語る。

試飲してみると、甘さと香ばしさのなかに、さらに相性のいいオレンジやシークワサーのピール感があり、さっぱりとしていて飲みやすかった。

「LITTLE JOY SPIRITS」は、エシカル・スピリッツ公式ECサイトや、蔵前に構える蒸留所「東京リバーサイド蒸溜所」の他に、6月2日~3日にKKDJ東京国際フォーラム店内で開催するポップアップで購入できる。

「真面目に楽しく取り組める」きっかけに

クリスピー・クリーム・ドーナツの代表取締役社長・若月貴子氏と、エシカル・スピリッツのCOO・小野力氏。

クリスピー・クリーム・ドーナツの代表取締役社長・若月貴子氏と、エシカル・スピリッツのCOO・小野力氏。

撮影:荒幡温子

今回KKDJとコラボしたエシカル・スピリッツは、2020年に設立したエシカルジンを生産する蒸留ベンチャー。2022年8月には、サントリーホールディングスを含む3社から2億円の資金調達を実施している

これまで、酒造で廃棄されるはずの酒粕や、コロナ禍で廃棄となるビールなどをジンへと再生させてきた実績がある。KKDJは、このクラフトジンとドーナツの意外な組み合わせで関心を呼ぶことで、フードロス問題に「真面目に楽しく取り組める」きっかけを作ろうと今回のコラボを打診したという。

蔵前の店舗。

店頭では、クラフトジンをテイクアウトカップで楽しめるだけでなく、クラフトジンの香り体験もできる。

撮影:荒幡温子

次のステップとして、エシカル・スピリッツでは、より多くのKKDJのロスドーナツを活用する方法を開発している。今回、ボタニカル(香り付け)に使ったロスドーナツの生地部分には、お酒の要素となるでんぷんが含まれており、ベーススピリッツとしての可能性も秘めているそうだ。

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