その写真で大丈夫?「何となく環境に良さそう」なストックフォト選びが「見せかけのエコ」疑惑につながる可能性

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iStock/Damocean

太陽光パネル、風力発電、緑豊かな森……。SDGsや気候変動への対応が急務となるなか、「何となく環境に良さそう」なイメージ写真の需要が高まっている。

ただ、イメージ写真の利用は「諸刃の剣」になるリスクもはらんでいるという。

写真・映像販売大手ゲッティイメージズ・ジャパンは、太陽光パネルや風力発電、植物など、抽象的なビジュアルの人気が高いと指摘。

「こういったビジュアルは瞬時に環境問題を連想させますが、実は見る人によっては『グリーンウォッシュ』、見せかけのエコと捉えられかねないことを認識しておく必要があります」

実際、日本の企業はどんな「イメージ写真」を求めているのか。

同社のストックフォトサイト「iStock」で最も多く検索されたキーワード・トップ10を見てみよう(対象期間は2021年12月〜2022年12月、以下同)。

1位:SDGs(3%増※)

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iStock/metamorworks

※対前年比の検索伸び率(以下同)

検索ワード第1位は「SDGs」。写真1枚で表すことがなかなか難しいせいか、インフォグラフィックとの組み合わせや17色のSDGsカラーを使ったイラストが上位に。

2位:海洋プラスチック(614%増)

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iStock/apomares

海洋プラスチックは、対前年比614%増と急増。2022年4月の「プラスチック資源循環法」施行が影響したのは間違いないだろう。人気の写真は、浜辺や海面にたまったプラスチックごみのほか、海中を漂うレジ袋とウミガメ、浜辺のごみ清掃など。

3位:持続可能な暮らし(117%増)

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iStock/Khanchit Khirisutchalual

SDGsと同じく、写真で表現するのが難しい「持続可能な暮らし」。手と地球の組み合わせは、地球環境をテーマにしたビジュアルの定番だ。

4位:サーキュラーエコノミー(107%増)

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iStock/Galeanu Mihai

循環という切り口があるため、SDGsや持続可能な暮らしに比べれば表現しやすそうな「サーキュラーエコノミー」。だが、写真だけでは厳しいようで、循環をイメージさせるモチーフと組み合わせた写真やイラストが目立った。

5位:環境アイコン(103%増)

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iStock/Yuriy Bucharskiy

WEBサイトや印刷物をデザインする際、ワンポイントとして使われることが多いアイコン。 やはりと言うべきか、グリーン系が多い。ほかに、色を自由に変更できるよう作られたモノクロ(グレースケール)のアイコンも。

6位:家庭菜園(94%増)

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iStock/cjp

意外だったのが6位の「家庭菜園」で、対前年比94%も増えた。ゲッティによると「持続可能で環境に優しい暮らしの一例として人気を集めている」という。

7位:EV充電(211%増)

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iStock/wellphoto

EV充電も対前年比200%超えと急増。各国がEV導入を推し進めるなか、EVを導入しようにも充電インフラ不足が指摘される日本。EVではなくEV充電がトップ10にランクインしたのも、インフラ整備が重視されるようになった証だろうか。

8位:太陽光パネル(56%増)

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iStock/DiyanaDimitrova

再生可能エネルギーを象徴する太陽光パネルもランクイン。iStockでは山や丘の上に設置されたメガソーラーの画像も目立った。ただ、2021年に熱海市伊豆山で起きた土石流災害の記憶がまだ新しい日本では、平地や屋根上のパネルの需要のほうがありそうだ。

9位:サステナビリティ(47%増)

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iStock/sarayut

サステナビリティも、写真で表しにくいものの一つ。手のひらに木の苗を乗せたパターンや、地球のモチーフを使ったビジュアルが人気のようだ。

10位:カーボンニュートラル(47%増)

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iStock/KS BioGeo

カーボンニュートラルもまた、SDGs、サステナビリティと並んでビジュアルにしにくいキーワードだ。SDGs、サステナビリティと同じ写真も散見される。それでも、CO2排出量をプラスマイナスゼロにするという意味合いから、「森林吸収」をイメージさせる森や土、植物が上位に来た。

なお、11位以降の検索ワードは、サプライチェーン(42%増)、CSR(39%増)、EV(46%増)、持続可能(23%増)、環境(27%増)、ECO(18%増)、電気自動車(2%増)と続いた。

ゲッティの調査によると、日本の消費者は「持続可能・サステナビリティ」とうたう企業やブランドの取り組みに、懐疑的な傾向があるという。

「うわべだけの『サステナビリティ』ではなく、実際に環境に優しいパッケージを採用しているか、製造過程はクリーンかといった企業の取り組みや、顧客の安全・安心、顧客に対する誠実さと公平さ、従業員の幸福にも透明性を持って取り組んでいるかなどが重要視されています」


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