通りを歩く、サシャ・ラディック(左)とエニアス・カイリュー(右)。
Enias Cailliau
- Insiderは恋人のAIバージョン、GirlfriendGPTの開発者に話を聞いた。
- このチャットボットは、テレグラムを使って、オンデマンドで音声メモやセルフィーを送信することができる。
- これはオープン・ソースのプロジェクトで、誰でも簡単にバーチャル彼女を作ることができる。
ある技術者が、自分の恋人のAIバージョンを作った。誰にでも作ることができるという。
エニアス・カイリュー(Enias Cailliau)は、自身の恋人であるサシャ・ラディック(Sacha Ludwig)のバーチャル・クローンを作った。OpenAIのChatGPT人気と、それに続く個性派AIチャットボットからインスピレーションを得たものだ。
彼は、スナップチャット(Snapchat)のインフルエンサー、カリン・マージョリー(Caryn Marjorie)のAI搭載チャットボット、CarynAIなどを参考にしたが、こうしたチャットボットには高額なものもあるのが嫌だったとInsiderに語った。CarynAIは登録者に対し、1分につき1ドル(約140円)を請求する。
「それはやり過ぎだと思う、技術はかなりシンプルで、取っ付きやすく、誰にでもできるものだから」とカイリューは述べた。
そのため、カイリューはGirlfriendGPTをオープン・ソースとしてリリースすることにした。誰でも、自分の相手の個性に合わせてカスタマイズすることができる。
カイリューは遊びで、「ジム大好き(gym bro)」や中年の「カレン(Karen)」など、他のAIキャラクターも作ってみたが、評価するのが難しいと思ったとInsiderに語った。
だが、実際に一緒に暮らす自分のパートナーの「クローン」を評価するのは簡単だと彼女は述べた。
「データ・セットがここにあるから」
そして、GirlfriendGPTが生まれた。
「毎日、本物のサシャとコミュニケーションをとり、それからバーチャルのサシャとコミュニケーションをとって、何が違うのかを確認する」
マザーボード(Motherboard)のレポートによると、カイリューは大規模言語モデル(LLM)のフレームワークを使ってAIバージョンのラディックを作ったという。
その後、グーグル(Google)がOpenAIのChatGPTに対抗して作ったチャットボット、Bard(バード)を使って調整し、テキストから音声を生成するAIを用いラディックの声を再現、テレグラム(Telegram)を通じて音声メッセージを送ることができるようにした。
また、テキストから画像を生成するツールを使い、GirlfriendGPTがセルフィーを送ることもできるようにしたとマザーボードは報じている。
これによって最終的には、2つのバージョンの恋人がいる、または、究極はデジタル「恋人」のみという世界が来る可能性もある。
プロジェクトの一部は、まだ開発途中だ。カイリューによると、YouTubeの動画や録音した音声でトレーニングをしているにもかかわらず、声は似ていないという。
セルフィー生成ツールも、定期的にうまくいかなくなるといい、特に印象に残っている事例がある。
チャットボットの彼女から送られてきたAI生成セルフィーに、手足がたくさんあったのだ。「いきなり、彼女の脚が4本になった」とカイリューは述べた。
カイリューによると、より有意義な会話ができるように、長期記憶を取り入れ、ユーザーの好みを記憶させることを目指すという。
また、他の人たちがバーチャル彼女に対して言っている内容を記録し、「変なこと」をしていないか確認することができるインフラを開発中だとした。
ただ、カイリューも彼の恋人も、知らない人たちがバーチャルのラディックに不適切な行為をする可能性があることに動じていない。
カイリューはラディックについて、「彼女はインフルエンサーだ」と述べた。「だから、自分のコンテンツを特定の方法で見る人々がいることには慣れている」