Shutterstock/PeopleImages.com - Yuri A
- フィデリティ投信の調査によると、日本の「サステナブル投資」の認知率が初めて50%を超え、女性は昨年の2倍に急増した。
- 中でも、Z世代・ミレニアル世代の約3割が、サステナブル投資を既に行っているか、来年投資することを検討中と回答。
- サステナブル投資を「世界に良い変化をもたらす最も有望な方法」と考えている割合も、他の世代に比べて多かった。
海外に比べて低かった「サステナブル投資」に対する日本人の関心度。しかし、そんな時代は過去のものになりそうだ。
フィデリティ投信は6月2日、「サステナブル投資」に関する意識調査の結果を公表した。それによると、サステナブル投資の認知率が初めて男女とも過半数を超え、中でも女性は昨年の約2倍に急増したという【図1】。
【図1】「サステナブル(ESG)投資」という言葉を聞いたことがあるか?(単一回答)
出典:フィデリティ投信「サステナブル投資に関する調査2023」
この意識調査は今回で3回目。2022年12月から2023年1月にかけて、18〜69歳の男女2101人を対象にインターネット経由で実施された。
18〜39歳はサステナブル投資に意欲的
【図2】サステナブル投資やサステナブルな企業への投資の可能性についてどう思うか?(複数回答)
出典:フィデリティ投信「サステナブル投資に関する調査2023」
今回の調査結果で注目されるのは、Z世代・ミレニアル世代に相当する18〜39歳の投資意欲だ。
実際にサステナブル投資を「している」または「したことがある」と答えたのは、各世代とも1割に満たないものの、18〜29歳は8%、30〜39歳が6%と、40歳未満が40〜69歳の約2倍となった【図2】。
また、投資経験はないものの、「来年投資することを検討している」と答えた割合は、18〜29歳が最も多く23%、次いで30〜39歳が21%、40〜54歳が16%、55〜69歳が13%。
「既に投資している」「来年の投資を検討中」を合わせた割合を世代別に見ると、18〜29歳で31%、30〜39歳で27%と、40〜54歳の19%、55〜69歳の17%を大幅に上回った。
また、40歳未満に見られる特徴として、サステナブル投資は「世界に良い変化をもたらしたいと願う投資家にとって最も有望な方法」だと考える割合が多いことも挙げられる。
具体的には、18〜29歳で35%、30〜39歳で34%と、40〜54歳の23%、55〜69歳の25%に比べ、約10ポイント上回っていた。
改善したい社会課題、30歳未満は「労働問題」
【図2】改善したい、最も取り組みたいと考える社会課題は?(3つまで選択可)
出典:フィデリティ投信「サステナブル投資に関する調査2023」
40歳未満に見られる「世界に良い変化をもたらしたい」という思い。彼ら彼女らが「変化」を願う社会課題とは何なのか。
18〜29歳に最も多かった回答は、「労働問題(児童・強制・奴隷労働)」で24%だった。次いで、「持続可能な生活・消費活動・行動」(22%)、「気候変動」(19%)、「D&I(ジェンダーや人種の平等や包括性)」(11%)、「水資源」(8%)、「生物多様性」(8%)と続いた。
30〜39歳のトップは「気候変動」と「持続可能な生活」が同率で28%。以下、「労働問題」(18%)、「水資源」(9%)、「D&I」(8%)となった。
今回の調査結果について、フィデリティ投信のヘッド・オブ・エンゲージメント兼ポートフォリオ・マネージャーの井川智洋氏は、
「世の中に良い影響を及ぼす手段として、サステナブル投資への期待が高まっており、若年層を中心に実際の投資行動にも変化の兆しが見えてきたことが分かった」
と指摘する一方、
「サステナブル投資を行うのは環境や社会への貢献のためで、企業による環境・社会課題解決に向けた取り組みが投資リターンにつながることを期待する人はまだ少ない」
と分析している。