中国の新疆ウイグル自治区で進められている掘削プロジェクト(2023年5月30日)。
Li Xiang/Xinhua via Getty Images
- 中国は地殻の深さ1万メートルを超える穴の掘削を開始した。
- このプロジェクトは地球の内部構造に関するデータを提供してくれるだろう。
- 中国の習近平国家主席は、地球深部科学を4つの戦略的フロンティアの1つに挙げている。
中国の科学者たちは、地殻の深さ1万メートルを超える穴の掘削を開始したと報じられている。
中国のエネルギー大手、中国石油天然ガス集団(CNPC)が率いるこのプロジェクトは、これまでの掘削事業の中でも有数の深さになる。
新華社通信によると、このプロジェクトは5月30日、新疆ウイグル自治区のタクラマカン砂漠で始まったという。
同プロジェクトでは地殻を10層以上貫通し、1億4500万年前の岩石からなる白亜紀の地層に到達する予定だ。
「掘削プロジェクトの難易度は、大型トラックが2本の細いスチールケーブルの上を走るのになぞらえることができる」と中国工程院の科学者Sun Jinsheng氏は新華社通信に語っている。
同通信社によると、プロジェクトに参加した技術専門家のWang Chunsheng氏は、ボアホールの掘削は地球の未知の領域を研究し、人類の知識の限界を押し広げる試みだと話したという。
プロジェクトの期間は457日間で、深部地下掘削技術を用いて地球の内部構造に関するデータを提供する予定だとブルームバーグはCNPCを引用し、伝えている。
Metroによると、中国石油化工集団(シノペック)は「地下のエベレスト」を掘削することが目標だとコメントしている。
世界最高峰エベレストの標高は8848.86メートルだ。
中国の習近平国家主席は2021年、同国のトップクラスの科学者たちを前に、地球深部科学を4つの戦略的フロンティアの1つに挙げていた。
今回のプロジェクトは鉱物資源やエネルギー資源の特定、地震や火山噴火といった環境災害のリスク評価などに役立つ可能性があるとブルームバーグは報じている。
ただ、驚くほど深いとはいえ、このボアホールは"人間が作り出した最も深い穴"とはならない見込みだ。これまでに"人間が作り出した最も深い穴"は今でも、20年の歳月をかけ掘削され、1989年に深さ1万2262メートルに達したロシアのコラ半島超深度掘削坑だ。