配達料がもったいない? アメリカではウーバーイーツなどの利用を控え、自分で商品を受け取りに行く人が増えている

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  • アメリカでは高額な配達料を避けるため、注文した商品を自分で飲食店に取りに行く客が増えている。
  • 消費者は「出費を抑えようと」ドアダッシュ(DoorDash)やウーバーイーツ(Uber Eats)の利用を控えているとピザチェーンのCEOは話している。
  • クーポンを使う客が「記録的な数」にのぼり、ポイントを利用する客も増えていると話す飲食店もある。

アメリカでは配達料が高いことから、ウーバーイーツやドアダッシュなどの利用を控え、自分で注文した商品を受け取りに行く客が増えているようだ。

アメリカ16州で数十店舗を展開するピッツェリア・ウノ(Pizzeria Uno)のCEOエリック・フレデリック(Erik Frederick)氏はデリバリーの注文数について「少なくともサードパーティのデリバリーは減っている」とInsiderに語った。

「多くの人が『まぁ自分で受け取りに行くよ』と言って出費を抑えようとしているのだろう」とフレデリック氏は話した。

「ウーバーイーツやグラブハブ(Grubhub)、ドアダッシュを利用していた人々が自分の注文したピザを店まで受け取りに来るのをわたしたちは目の当たりにしている。その方がよほど経済的だからだ」

アメリカで500店舗以上を展開するディッキーズ・バーベキュー・ピット(Dickey's Barbecue Pit)のCEOローラ・リア・ディッキー(Laura Rea Dickey)氏は、外部のデリバリープラットフォームを利用している客は減ったとInsiderに話している。ディッキーズではオンライン注文が売り上げの約半分を占めているものの、サードパーティのデリバリー注文はこの1年で全体の6.8%まで減ったという。

その一方で、ディッキーズでは店頭で商品を受け取るオンライン注文が占める割合は、5月時点で1年前の7%から22%に増えた。ディッキーズの公式サイトからの無料のデリバリー注文は売り上げの6%を占めていて、この1年で20%伸びたとディッキー氏は付け加えた。

アメリカで約70店舗を展開するポキボウルのチェーン店ポキワークス(Pokeworks)のCEOスティーブ・ヒーリー(Steve Heeley)氏は、客はサードパーティの配達料をできるだけ減らそうとしていて、ダッシュパス(DashPass)のようなサブスクリプション型でない限りプラットフォームに忠実ではないとInsiderに語っている。これが客を奪い合う「プロモーション戦争」につながったという。

特に注文金額が少ない場合、サードパーティのデリバリーサービスは手数料が加算され、配達料が跳ね上がる可能性もある。

飲食店の中には、自社のアプリや公式サイトで注文する方が安く済むように設定しているところもある。顧客データにアクセスできるからだ。そうすれば会員登録を呼びかけたり、再び注文してもらえるようクーポンなどを送ることもできる。 それにこうした方法で直接注文してもらった方が一般的に、店の利益も大きくなる。

とはいえ、注文した商品は自分で受け取りに行く方が安いことが多い。

例えば、ピッツェリア・ウノの公式サイトでチーズとトマトのピザ(1人用)を注文し、マサチューセッツ州レビアにある店に自分で受け取りに行けば、12.49ドル(約1740円)プラス税金0.87ドルで済む。

ところが同じ商品をピッツェリア・ウノの公式サイトを通じてドアダッシュでデリバリーしてもらうと、7.75ドルの配達料込みで22.98ドルになる。そしてグラブハブで注文すれば23.39ドルと、ピッツェリア・ウノの公式サイトよりもピザの料金そのものが2ドル高くなる。

料金の比較

ピッツェリア・ウノのチーズとトマトのピザをドアダッシュ、グラブハブ、自分で受け取りに行く場合のそれぞれの料金。

Pizzeria Uno website, Grubhub website

マクドナルドのCEOクリス・ケンプチンスキー氏は4月、パンデミックのロックダウン(都市封鎖)でブームになった後、「デリバリーの成長は確実に鈍化した」と語った。これはマクドナルドがすでにデリバリー市場に浸透しているせいか、インフレといった「消費者圧力」のせいではないかと話した。

アリゾナ州、コロラド州、インディアナ州、テキサス州で29店舗を展開する、出来立ての料理にこだわるチェーン店モダン・マーケット・イータリー(Modern Market Eatery)では、客に公式サイトまたは公式アプリを通じて直接注文し、ポイントを手に入れ、場合によっては無料のデリバリーサービスを受けるよう促している。注文した商品を自分で受け取りに来る客には値引きもしている。

アメリカ労働統計局のデータによると、レストラン、ファストフードチェーン、社員食堂、フードトラックといった外食費はここ1年で8.6%増えた。 一方、食料品だけでなく、衣料品、光熱費、家賃などを含む消費者物価指数(CPI)は全体としてここ1年で 4.9%の上昇にとどまった。

「バーゲン狙いが少し増えているようだ」とピッツェリア・ウノのフレデリック氏はInsiderに語っている。

「わたしたちはそこまでお金をかけたくはない、洗練されたカジュアル志向の人々をターゲットにしている。家族4人でピザを食べて50ドル以下… 飲み物など全て含めて、だ」

ディッキー氏は客が「価値や予算を重視するようになり、インフレ疲れ」したことで、注文の仕方や内容も変わってきたと話している。客はディッキーズで「記録的な数」のクーポンを使用し、「これまで以上に多くの客が」ポイント利用をしているという。

単品メニューを注文するより、サンドイッチ、サイドメニュー、ドリンクのセットを選択する客が増えていて、ディッキー氏は新しいバリューセットが「予想を上回る売れ行き」で、注文の10%を占めていると明かした。そして、1人分ずつそれぞれの注文をするというより、ファミリーパックを持ち帰りで注文し、デザートは控える人が増えているという。

ケンプチンスキー氏は4月、マクドナルドではインフレの影響でハンバーガーと一緒にポテトを注文する客が減っていると語った。「客は確かに、自分たちのお金の使い方に気を付けている」と同氏は付け加えた。

ただ、消費者には値上げの影響はないようだと話す飲食チェーンもある。

ウェンディーズのCFOガンサー・プロシュ(Gunther Plosch)氏は5月、投資家に対して「第1四半期のトラフィックの伸びからも明らかなように、わたしたちの価格設定措置に対して顧客からの大きな抵抗は見られない」と語った。

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