Illustration: Derplan13/Shutterstock, Alona Stanova/Getty Images, Design: Business Insider Japan編集部
「英語学習には興味があるけれど、なかなか上達しなくてやる気をなくしてしまう」「楽しくないので長続きしない」……あなたもそんな経験はないだろうか。
この新連載では、海外映画やドラマを楽しみながら、かつ英語学習にも活かす方法をご紹介。ナビゲーターはAI英語学習アプリ「abceed(エービーシード)」を運営するGlobee代表の幾嶋研三郎さんだ。毎回1つの作品を取り上げ、ビジネスパーソンがすぐに活用できるフレーズも教えてもらう。
この週末はあなたもおすすめ作品にどっぷりハマりながら、英語学習に挑戦してみてはいかがだろうか。
マーベル映画の中で初めて本格的にマルチバースを描いた作品としてファンを熱狂させ、アカデミー賞長編アニメーション賞を受賞した映画『スパイダーマン:スパイダーバース』。その続編『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』が2023年6月16日にいよいよ全国の映画館で公開されます。
全米では「今年の夏に最も期待されている大作映画」の第1位にも選ばれる(※)など今夏話題の作品です。
(※)米国最大のチケット販売サイトFandangoが2023年2月から3月にかけて、6000人以上のユーザーを対象にした調査より。
「運命なんてブッつぶせ。」というキャッチコピーが入ったポスターが先日日本でも公開されましたが、スパイダーマンと対峙しているのはなんと、あらゆるバースから集結した無数のスパイダーマンたちとなっています。
『スパイダーマン』シリーズ第1作目が「運命を受け入れろ」というキャッチコピーで2002年に日本へ上陸して以来、2012年『アメイジング・スパイダーマン』シリーズ、そして2017年『スパイダーマン:ホームカミング』シリーズと、「親愛なる隣人」たちは特別な力を手に入れ、世界を守る使命を背負う一方で、愛する家族や恋人、憧れのヒーローを失ってきました。
かつてのスパイダーマンたちは皆、自分の哀しき定めを受け入れてきましたが、本作の主人公マイルス・モラレスは運命に初めて抗い、立ち向かう道を歩んでおり、これまでとは異なる新しい展開で私も公開を楽しみにしています。
今回はそんな公開直近のスパイダーマンシリーズより、2017年公開の『スパイダーマン:ホームカミング』を題材に英語を楽しく学んでいきましょう。
ビジネスパーソンにおすすめ『スパイダーマン:ホームカミング』
『スパイダーマン:ホームカミング』のストーリー
スパイダーマンとして活動する15歳のピーター・パーカー(トム・ホランド)は、昼間は普通の高校生としてスクールライフをエンジョイし、放課後は憧れのアイアンマン=トニー・スターク(ロバート・ダウニー・Jr)からもらった特製スーツに身を包み、ニューヨークの街を救うべくパトロールの日々。ある日、スタークに恨みを抱く“バルチャー”(マイケル・キートン)が、巨大な翼を装着しニューヨークを危機に陥れる。アベンジャーズに任せておけというスタークの忠告も聞かず、ピーターは一人戦いに挑むが……。
『スパイダーマン:ホームカミング』の主人公ピーター・パーカー(トム・ホランド)は、15歳の高校生です。
従来の作品とは違い、アイアンマンやキャプテン・アメリカといったアベンジャーズのメンバーが作中に登場することでスケールが大きくなる点もおすすめする理由の1つです。
主人公が高校生であるため日常会話に役立つ言い回しが多いだけでなく、味方であるアイアンマン=トニー・スターク(ロバート・ダウニー・Jr)やトニー・スタークに強い恨みを持っている敵のエイドリアン・トゥームス(マイケル・キートン)周辺の会話には、ビジネス表現が散りばめられており、一本でさまざまな英語を総合的に学べる作品です。前回の連載でご紹介した『アイアンマン』を見た後に『スパイダーマン:ホームカミング』を見ることで、作品をよりいっそう楽しめると思いますよ。
TOEIC®︎600点から学習できる『スパイダーマン:ホームカミング』
『スパイダーマン:ホームカミング』の再生時間は2時間14分、総語数1万2435語、フレーズ数は2356です。
リスニング難易度の指標の1つであるWPM(1分あたりのワード数)で比較すると、ネイティブの会話は約160台、早口の人だと約200台、TOEICは平均150台なのですが、『スパイダーマン:ホームカミング』の会話部分は平均122台のため、初心者にもおすすめの作品です。
TOEIC®︎の難易度で表すと600点程度、英検®︎だと準2級程度から2級レベルの学習者のリスニング学習に最適です。
それでは、作中に登場するフレーズの中から、日常のシーンでも役立つ表現をご紹介します。
活かせる映画フレーズ
フレーズ1「up and running」
スパイダーマンに取引を邪魔されたハイテク武器の密売業者のボスであるトゥームス。仕返しのため、仲間に機器の開発を間に合わせられるか尋ねるシーンのフレーズです。
“Can you get that high-altitude seal thing up and running in time?”
「例のモノはすぐに作れるか?」
ここで使われている形容詞「up and running」には「(モノが)稼働している」という意味があります。ビジネスの場合には「営業している」という意味で使われることもあります。走者がスタート位置についている状態から立ち上がり、走り出しているというイメージを持つと覚えやすいフレーズです。
ではビジネスパーソンが日常的に使える使用例を1つ挙げてみます。
“Once the shipment of new computers arrives, I'd like you to get them up and running immediately.”
「新しいコンピューターが届き次第、(設定を済ませて)それらを使える状態にしてもらえますか」
またコロナ禍でビジネスを休業して再開する際にもよく使われている表現です。
“We’re up and running again!”
「私たちは営業を再開しています」(再び稼働しているイメージ)
ビジネスシーンでも日常的にもかなりよく目にする表現ですので、この機会にup and runningを覚えておくと便利です。
フレーズ2「level with」
次は、自室に忍び込んでいた親友のネッドにスパイダーマンであることがバレてしまい、主人公ピーターに対してネッドが述べたシーンのフレーズです。
“I'll level with you. I can't keep this a secret.”
「正直に言うよ。俺、絶対バラしちゃうよ」
ここで使われている句動詞「level with」には「〜に率直に話す」という意味があります。動詞 levelには「同等になる」という意味があるため、正直に話すことによって人と対等になるということから、この意味で使われるようになったと考えられます。
ビジネスパーソンが日常的に使える使用例を1つ挙げてみます。
“I'll level with you. We got a better offer from another company.”
「率直に申し上げますと、他社からよりよい提案をいただいております」
先ほども述べたとおり、「level with」は「同等になる」という意味があり、level withの後にはyouのようにヒトを目的語として置きます。
level with+モノでは、モノと同等/水準となってしまい、イマイチ意味がつながらないと考えると覚えやすいかと思います。
フレーズ3「be on (someone)」
最後に『スパイダーマン:ホームカミング』の名シーンからも1つ、学べる英語をご紹介します。
無茶なことをして多くの人を危険に晒した主人公ピーターに対し、トニー・スターク(アイアンマン)が厳しく叱るシーンのフレーズです。
“And if you died, I feel like that's on me.”
「君が死んだら、私の責任だ」
ここでの動詞「be on (someone)」には「(人)の責任である」という意味があります。
前置詞onには「〜に接触して;〜の上に」という意味があることから、「何かが責任として上にのしかかっている」というイメージを持つと覚えやすいです。
ビジネスパーソンが日常的に使える使用例を1つ挙げてみます。
“If we're not happy with the manager's decision, then it's on us to come up with a better proposal.”
「もしマネージャーの決定に不満があれば、より良い提案を考えつく責任は我々にあります」
be on (someone)もビジネスシーンや日常で多く使う表現ですので、ぜひ覚えて使ってみてください。
幾嶋研三郎:株式会社Globee 代表取締役社長。2015年3月に慶應義塾大学法学部卒業。2014年6月、大学在学中に株式会社Globeeを創業。英語学校の運営を通して、IT×英語教育の可能性を感じ、『学習量×学習効率の最大化』をミッションとしたAI英語学習アプリ「abceed」(現在登録ユーザー数300万人を突破)と、『学習支援効率の最大化』をミッションとした反転学習プラットフォーム「abceed for school」の開発を行う。
※今回ご紹介した『スパイダーマン:ホームカミング』をはじめ過去のスパイダーマンシリーズは、アプリ「abceed」でも配信中。