「Apple Vision Pro」を実機体験して言葉を失った。驚くべき製品である5つの理由

アップル本社で展示されたVision Proの実機

アップル本社で展示されたVision Proの実機

撮影:西田宗千佳

今回のWWDCについて、やはり大きなトピックは「Apple Vision Pro」だ。

AR機器にしろVR機器にしろ、最大の課題は「体験しないとわからない」ことだ。スペックでもPVを見ても伝わらない。

筆者は米・クパティーノにあるアップル本社で、Vision Proの実機を体験できた。その様子をお伝えしたい。

仕事柄色々なIT機器を使うし、その中には業務用の特別なVR/MR機器もある。ただVision Proは、それらを超えて、近年なかったほど「驚き」としか表現できない体験だった。実機で感じたことを言語化してみたい。

なお、体験時には写真撮影などが許可されなかったため、実機は別の場所で撮影したものであり、その他は基調講演で公開された映像から抜粋している。

1. 現実の世界とCGの世界が地続きに

アップル本社で展示されたVision Proの実機

撮影:西田宗千佳

最大の驚きは「自然さ」だ。

近年、カメラを搭載し、外の映像を取り込んでCGと合成する「ビデオシースルー」形式のヘッドマウントディスプレイ(HMD)機器は増えてきた。

ただ、過去に体験したそれらのHMD機器とは見え方が全く異なる。視野角(FoV)を除けば、現実と大差ないように見えるのだ。

「目」と「カメラ」は画角も機能も違う。だから単純にビデオシースルーを実現しても、現実からは乖離が出やすい。立体感がおかしかったり、画面の一部が歪んだりすることもある。

特に、今あるコンシューマ向けのHMD機器では、性能の限界から解像感・発色に違和感が出やすい。

それが、Vision Proは全く違った。

「自分が本当に見ているのは目の前の部屋の映像である」ことを忘れてしまうくらいだ。部屋の中を歩き回っても、ズレが原因で転んだり気持ち悪くなったり……ということはない。

VisionPro-16

基調講演ビデオより。実景の中にCGで平面のウインドウが開いている。

出典:アップル

VisionProの動画イメージ

写真は合成イメージなのだが、実際、こんな風に自然に見える。

出典:アップル

実物の本やスマホの画面も読める。ただ、解像度は現実ほどではないので、確認程度だと思った方がいいが。

ちょっと想像してみてほしい。

今、目の前の空間に、ウェブブラウザーやメッセージアプリが浮かんでいたとしたら?

VisionProの動作の様子

ウィンドウの中には半透明で、向こうに見えるものがほんのり透けて見えるものも。

出典:アップル

日常の風景を「立体撮影した写真」が置かれていたとしたら?

VisionPro

立体撮影された子供の写真だとまるで「本当にそこにいる」ような生々しさを感じた。

出典:アップル

映画『アバター』の3D版が、まるで奥行きのある巨大な箱のようなスクリーンの中で再生されていたとしたら?

VisionPro-13

映画を大きな画面で楽しむのはHMDの得意技だが、品質の高さと「3D映像」が大きな特徴。

出典:アップル

そのイメージは、「今皆さんがみている風景の一部が、ディスプレイや3Dオブジェクトになったとしたら」という感じだ。

実体験としては、まさにアップルのデモビデオにあるとおりの風景であり、過去、多くのAR関連機器のプロモーションビデオで「イメージ」として描かれてきたものそのものだ。

現実とコンピュータの世界を地続きにする試みは、多くの企業がチャレンジし続けている。

アップルはついに、その世界をイメージではなく現実のものとした。

これは画期的なことだ。

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