日本おもちゃ大賞 2023・コミュニケーション・トイ部門大賞を受賞した、「Tamagotci Uni」。
撮影:荒幡温子
たまごっちが、世界とつながれるようになった。27年目になるたまごっちの歴史上初となる、 Wi-Fi通信機能を搭載したモデル「Tamagotchi Uni(以下、たまごっちユニ)」が、7月15日より世界同時発売される。
6月8日〜11日に開催している「東京おもちゃショー 2023」でお披露目された。
たまごっちユニは「日本おもちゃ大賞 2023」でコミュニケーション・トイ部門で大賞を受賞。27年目で変わったもの、変わらないもの。たまごっちの進化を見ていこう。
AWSを利用で世界とつながる「たまごっち」
たまごっちがVRゴーグルをかけると、たまごっちたちのメタバース「Tamaverse」に行ける。
撮影:荒幡温子
たまごっちユニの最大の特徴は、Wi-Fi通信機能の搭載。同時接続やアップデートが可能になったことだ。たまごっちたちのメタバース「Tamaverse(以下、タマバース)」で、世界中のユーザーとつながりイベントに参加したり、アイテムなどの追加コンテンツを楽しんだりすることができる。
なお、タマバースを訪れるためには、常時Wi-Fi接続をする必要はない。アップデートごとにタマバースで出会えるユーザーは追加されるものの、他の育成コンテンツなども含め、オフラインでも遊ぶことができる。
あくまで「玩具」であることから、「世界中のユーザーとつながることはできるが、ユーザージェネレイティブな(SNSのようにユーザーがコンテンツを投稿する)要素は取り払われており、挨拶などの限定的なコミュニケーションに留めている」と、バンダイ・トイディビジョン グローバルトイ企画部の村上朝咲氏は言う。
IoT化に際しては、Amazon Web Service(以下、AWS)のクラウドサービス「AWS IoT」を活用している。
「玩具業界でAWSが関わっている事例は、かなり珍しいかと思います。バンダイとして、お客さまが安心してWi-Fiをつないで遊んでいただけるように、最善を尽くした結果です」
と、強固で安全なクラウド環境として、AWSを採用した理由を述べた。
アイデンティティの「ABCボタン」も復活
リストバンド型に対応している、たまごっちユニ。
撮影:荒幡温子
たまごっちといえば、カバンにつけたり、首からぶらさげたりする「ストラップタイプ」の印象が強いが、前回モデル「Tamagotchi Smart(以下、たまごっちスマート) 」から、スマートウォッチから着想を得たリストバンドとしても使えるデザインを採用している。
前回モデルのタッチ液晶は廃止され、お馴染みのA /B /Cボタンが復活となった。
撮影:荒幡温子
リストバンドスタイルは最新版でも継承されているが、たまごっちスマートで初めて採用されたタッチ液晶は廃止。たまごっちの基本的な操作方法であるA/B/Cの3つのボタンが復活した。
「操作もしやすいですし、たまごっちにとってアイデンティのようなところもあったので、3つボタンに戻すことに決めました」(村上氏)
たまごっちスマートが6380円(税込)であるのに対し、たまごっちユニは2000円ほど高い8250円(税込)で販売する。
「市場的に、液晶など材料自体が高騰していたり、皆さんにより楽しんでいただけるように、本体のデータ量も増えていたりするので、この価格で提供させていただいています」(村上氏)
結婚のシステムは「たまごっちと“パートナー”になる」に変更
時代に合わせた変化もあった。
従来から導入しているユーザー同士の「ツーしん」機能を使った“結婚”システムは、「たまごっちと“パートナー”になる」と、表現方法を変更。
「実は、たまごっちスマートからは男性ユーザーも増えてきています。もともと女児が遊ぶものというイメージが強かったのですが、性別関係なく、誰もが平和に気持ちよく楽しんでいただきたいと考えています」(村上氏)
世代・国境を超えて愛されるたまごっちにしたい
イメージキャラクター「TAMA FAMILY」には、動画クリエイターのkemioさんと、TikTokerのCharli D'Amelioさんが就任。
撮影:荒幡温子
たまごっちは 、1996年の発売以降、全世界累計9100万個以上を販売されてきた(2023年3月末時点)。30〜40代は白黒液晶の世代、25歳前後は赤外線機能の世代と、世代をまたいで幅広く楽しまれてきたからこそ、たまごっちユニは「大人にも刺さる商品にしたい」という。
イメージキャラクター「TAMA FAMILY」に起用された動画クリエイターのkemioさんも、コアターゲットである6〜12歳より上の世代となるZ世代を中心に人気のある人物だ。「トレンドを上の世代から起こすことで、下の世代にも受け継いでいく」狙いがあるという。
「たまごっちを『懐かしい』と言われる方も多いが、WiFiを搭載したり、カラー液晶になったり、実は守ることは守りながら進化し続けている。『たまごっちっておしゃれでイケてるんだ』というように感じていただけるきっかけとなればと思います」(村上氏)
タマバースでは、世界中のユーザーといっしょに各国の観光地へ旅行に行くこともできる。
撮影:荒幡温子
たまごっちユニは、日本語の他に、英語・スペイン語・フランス語・イタリア語・ポルトガル語・オランダ語の7カ国語に対応し、海外では北米や欧州など全35の国と地域で展開予定だ。「TAMA FAMILY」には、kemioさんの他に、 TikTok フォロワー数が1.5億人超えのインフルエンサー・Charli D'Amelioさんを迎え、国境を超えたIPビジネス展開に力を入れる。
「ワールドワイドに展開していけるIPとして、たまごっちのポテンシャルを広げていきたい」(村上氏)と、海外展開の意気込みを述べた。