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- 中国では若者が経済を悲観し、幸運を祈るために寺院に押し寄せている。
- 2023年3月から4月上旬にかけて、北京にある雍和宮を訪れた人の数は前の年に比べて530%増えた。
- 中国では16~24歳の失業率が20.4%と記録的な高さになっている。
パンデミック後の経済回復が勢いを失い始めた中国で、あるトレンドが見られるようになった。
経済成長が鈍化し、悲観的な見通しが広がる中、若者たちが幸運を祈るために寺院やその他の宗教施設などに押し寄せているのだ。
金運アップを願う人々に人気の北京にあるチベット仏教の寺院「雍和宮」では、2023年3月から4月上旬にかけて参拝者数が前の年に比べて530%増えたと、CNNは中国の旅行サイト「Qunar.com」とソーシャルメディアアプリ「小紅書」の調査を引用し、伝えている。
この期間、中国国内で参拝者がこれほど急増した寺院は他にないという。
この調査では、2023年に寺院を参拝した人の数は中国全体で1年前の4倍に増えていて、その半数を20~30歳の若者が占めていることも分かった。
一方、CNNによると、道教発祥の地とされる龍虎山を訪れた人の数は1~3月に473万人を記録し、2019年から47%増えた。道教の聖地、武当山でも23%増加したという。
中国では確かに、厳格なゼロコロナ政策が終わったことで観光客が全体的に増えている。ただ、寺院の参拝者が急増している背景には「学校に行かない、頑張って働かない、線香を燃やすのみ」といった意味のソーシャルメディアの人気ハッシュタグの存在がある。
実際、Qunar.comと小紅書の調査によると、「線香を燃やす若者」は中国の観光業の中で一番のキャッチフレーズだという。
こうした中、中国の16~24歳の失業率は20.4%と記録的な高さになっている。
中国経済は第1四半期に予想を上回る伸びを示したものの、製造業、サービス業、小売業などに関する最近の指標は景気回復ペースの鈍化傾向を示している。
6月9日には消費者物価指数や生産者物価指数も発表され、デフレが中国経済を支配するのではないかとの懸念が高まった。