MacBook Air 15インチ。試用機の本体カラーはミッドナイト。
撮影:西田宗千佳
先週、大いに話題になったアップルのイベント「WWDC23」のなかで、ヘッドマウントディスプレイ「Vision Pro」と並び、発表された「MacBook Air 15.3インチモデル」。発売は6月13日だが、一足早くの実機が手元に到着した。
振り返れば2022年、アップルは「MacBook Air」のデザインを根本的にリニューアルした。それに続き今年、画面サイズを大型化した初のモデルを投入した形だ。
薄くて手軽なMacBook Airが大きくなるのはどういう意味を持っているのか? 実機を触ると「なるほど」と納得できた。
新デザインで登場の「15インチモデル」
現在のMacBook Airは、「薄いアルミの板」をモチーフとしたデザインになっている。前述のように、このデザインになったのは2022年6月から。プロセッサーがM1世代からM2世代に変わるタイミングに合わせた、久々の大型アップデートだった。
15インチモデルも、デザインは13インチモデルと同じテイストになっている。カラーも同じ4色で、今回テストしているのは「ミッドナイト」のモデルだ。
WWDCでの発表時には他の3色も撮影できた。こちらはスペースグレイ。
撮影:西田宗千佳
照明の加減で少し分かりづらいが、こちらはシルバー。
撮影:西田宗千佳
最後にスターライト。
撮影:西田宗千佳
スターライトの天板はこのような感じ。
撮影:西田宗千佳
ディスプレイサイズは、13.6インチから15.3インチへ拡大している。その結果として、キーボードの左右のスペースが画面に合わせて広くなっている。実は、奥行きも2.2cm伸びているのだが、パッと見には気づきにくいかもしれない。
WWDC23の会場で撮影した、13インチMacBook Airと15インチモデルとの同色比較。このくらいサイズが違う。
撮影:西田宗千佳
筆者は14インチ版のMacBook Proを日常的に使っているので、サイズを比較してみた。厚みはより薄いが、画面サイズはひとまわり大きい。
上にあるのが14インチMacBook Pro。15.3インチのディスプレイを使っているのでひとまわり大きい。
撮影:西田宗千佳
ノート型Macでは「伝統」になっているが、画面サイズやボディサイズが変わっても、キーボードやタッチパッドのデザイン・サイズは同じだ。だから、13インチ版と15インチ版の違いは「画面が広い」だけ、という印象になる。
キーボードを上面から。サイズ自体は13インチMacBook Airを始めとする他のモデルと全く同じ。
撮影:西田宗千佳
性能は「バッテリー駆動時間まで同じ」
Geekbench5のCPUベンチの結果。1年前に登場した新型の13インチモデルとほぼ性能が同じであることがわかる。つまり、上位にあたるMacBook Proの14インチモデルとの性能差も同じということだ。
筆者計測のデータをもとに編集部作成
MacBook Airは、冷却ファンがない、いわゆる「ファンレス」設計を採用している。その点は13インチも15インチも変わらない。搭載しているプロセッサーも同じ「M2」だ。
性能評価ツールの定番である「Geekbench 5」と「Cinebench R23」でベンチマークを取ってみたが、過去に計測した13インチモデルのものとほとんど同じ結果が出ている(なお、Geekbenchの最新版は「6」だが、環境を揃えるために今回はあえて「5」を使っている)。
グラフィック性能を測るGeekbench5のGPUベンチの結果。
筆者計測のデータをもとに編集部作成
Cinebenchの結果。
筆者計測のデータをもとに編集部作成
つまり、「性能面でみれば、13インチも15インチも本当に変わらない」のだ。ちなみに、メモリーやストレージの搭載量も違いがない。
Airが搭載するM2は高性能なプロセッサーだが、上位にあたるMacBook Proシリーズが搭載する「M1 Pro」には劣る。そういう意味で、MacBook Proとの選択が悩ましい、という1年前に新型MacBook Airが登場した際の悩みどころも変わっていない。
一番の魅力で、選ぶ際のポイントは、結局のところ「新しいデザインの大画面ボディー」ということになる。
ちなみに、意外なことに、カタログスペック上のバッテリー動作時間も「18時間」で13インチモデルと同じだ。ボディーの大きなモデルでは搭載バッテリー量を増やして動作時間を伸ばす場合が多いのだが、アップルは15インチ版を設計する上で、「これだけ長ければ十分」と考えたのかもしれない。
一方、ディスプレイが大きくなった分、重量は1.24kgから1.51kgへと増加している。これはしょうがないところだろう。
ディスプレイだけでなく「音質向上」に注目
出典:アップル
そうなると、やはりポイントは「ディスプレイ」だ。
15.3インチはやはり大きい。解像度は2880×1864ピクセルで、13.6インチより縦横数百ドットずつ大きい。
過去、15インチを超えるノートPCは重くて分厚くて持ち歩けないもの、というイメージがあったが、最近は変わってきた。
ノートPCの大画面化が進んだことで、13インチクラスはいまや「最低ライン」であり、ワンランク上が15インチという流れだ。持ち物を100gでも軽くしたい人は13インチを選ぶべきだが、そうでないなら、15インチを選択するのも悪くないと感じる。
さらに意外な点として、15インチモデルはスピーカーが強化されている点を挙げておきたい。15インチモデルにはウーファーが搭載され、低音が豊かになった。スペックとしてはMacBook Proのものに近くなっている。
PC内蔵のスピーカーなんて……と思う人がいそうだが、近年はスピーカーを強化したPCが増えている。
特にMacBook Air/Proの両シリーズは音質が良い。MacBook Airは13インチも悪くなかったが、MacBook Pro 14インチに比べるとちょっと音が浅かった。
しかし15インチ版では改善され、Macの前にいる自分を包むような「空間オーディオ」が再現されている。
この点は、13インチか15インチかを考える上で、重要な要素であるように感じている。