パタゴニアの労働組合「非正規は最大5年」撤回求める。会社側は「公平な制度」と説明

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記者会見を開いたパタゴニアユニオン代表の藤川瑞穂さん(右)。

撮影:横山耕太郎

パタゴニア日本支社の労働組合が2023年6月13日、都内で記者会見を開き、非正規雇用職員について「契約更新は最大5年が上限」とする同社規定の撤廃を求めた。

2013年4月に施行された改正労働契約法では、有期雇用者が通算5年以上働いた場合には無期雇用に転換できる権利を行使できると定められている。

労働組合は「パタゴニアが契約期間5年を上限とするルールは、無期雇用への転換逃れだ」と主張。同組合は「5年ルール」撤廃を求める署名活動を実施し、記者会見のあと、横浜市のパタゴニア日本支社を訪問し約3万筆の署名を手渡した。

パタゴニア日本支社はBusiness Insider Japanの取材に対し、「関係法令を遵守したうえで、公平かつインパクト重視の組織として、その姿勢を反映する人事政策をパートタイマーに対しても適用している」と説明した。

「5年以上働く場合は、正社員試験を」

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パタゴニアユニオン代表の藤川瑞穂さん(51)は、2019年4月からパタゴニア直営店「パタゴニア札幌北ストア」に販売員として働き始めた。

入社時に「契約は5年間。それ以上働く場合は正社員試験を受けなければいけない」と説明を受けたという。

藤川さんは2021年12月に札幌地域労組に個人加入。「5年ルール」の撤廃を求めてパタゴニアと4回の団体交渉を行い、2022年7月にはパタゴニアユニオンを結成し、さらに4回の団体交渉を行った。

藤川さんは非正規職員として働き続けることを希望していたが、当初の契約条件である「5年ルール」により、2023年12月末での雇い止めを通告されたという。

同組合によると、パタゴニアは「非正規パートタイマーについて、5段階評価の4を獲得し、ビジネスニーズを鑑みて5年を超える勤務も可能になる」と説明していたが、藤川さんは雇用延長の基準に満たないと説明されたという。

パタゴニア「3割が5年以上、継続勤務」

パタゴニアはBusiness Insider Japanの取材に対し、藤川さんを2023年12月で雇い止めとすることに関して「従業員の個人にわたる事項に関してはお答えできない」とした。

一方で「有期雇用の最長5年ルール」に関しては次のようにコメントした。

「弊社は関係法令を遵守したうえで、公平かつインパクト重視の組織として、その姿勢を反映する人事政策をパートタイマーに対しても適用しております。

弊社では、パートタイマーの採用時に雇用期間を『原則として最大5年未満』 と伝え、ご納得いただいた方に入社していただいております。

会社の人事考課で高評価を得た方には、会社への貢献度、本人のキャリアビジョン、ビジネスや組織の状況等を鑑みて、無期転換含めて5年以上継続して働いていただいております。

現時点では、パートタイマーの約3割にあたる従業員が5年以上継続して働いております。

また、これまで正社員ポストが空いた場合にはパートタイマーを含めた弊社従業員全体を対象に社内公募を実施し、弊社にはパートタイマーからステップを踏んだ多くの正社員が活躍しています。

本件につきましては、弊社は、労働組合に対して団体交渉等で時間をかけて弊社方針を誠実に説明して参りましたが、ご理解いただけず遺憾に思っております」

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