ギャラップは、労働者が最低限の仕事しかしない「静かな退職」は、世界的な現象だと述べている。
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- ギャラップは、労働者が最低限の仕事しかしない「静かな退職」は、世界的な現象であると述べている。
- 12万人以上を対象に行われた同社の調査で、59%は仕事に打ち込んでいないと答えたという。
- 回答者の44%が、前日の仕事でストレスを感じていると答えた。
「静かな退職(quiet quitting)」というトレンドワードはアメリカで生まれたかもしれない。だが、従業員が最低限の仕事のみをするこの現象は世界で見られており、ストレスレベルが高まる中、世界の労働者は一歩を退いているようだ。
ギャラップは、160カ国以上の15歳以上の従業員12万2416人に対して2022年から2023年に行われた調査「2023 State of the Global Workplace 」の報告書で、世界の労働者の59%が「静かな退職」をしていると結論づけた。
この報告書では、12の質問に対する回答をもとに、仕事への関与の仕方について「打ち込んでいる」「打ち込んでいない」「積極的に関与していない」の3つのカテゴリーに分けた。「打ち込んでいない」とされた人は「静かな退職」をしていることになる。
「静かな退職」は、仕事に必要なことは満たしているが、それ以上のことは行わないことをいい、通常は低い賃金、低い満足度、辞めてもより良い仕事を見つけられないといったことが影響している。
ギャラップの報告書では、そのような貢献度の低い労働者のコストは世界で8兆8000万ドル(約1250兆円)になると見積もっており、世界のGDPの9%を占める。
仕事への打ち込み度合いの低さと同様に、職場におけるストレスレベルは、2021年までさかのぼっても最高の状態が続いており、回答者の44%が「前日の仕事の影響で、一日の大半でストレスを感じている」と答えている。
労働者のストレスレベルは、仕事の場所(リモート、オフィス、ハイブリッドなど)よりも、仕事への打ち込み度合いや関わり度合いに関連することもわかった。
「つまり、毎日の仕事で人々が経験しているエンゲージメントや熱意といったことは、働く場所以上にストレスを軽減するものとなる」と報告書はまとめている。
労働市場の競争はますます激しくなり、ギャラップの調査に答えた従業員の半数以上が、新しい仕事を探しているという。ギャラップでは最新の分析で、仕事に打ち込んでいると考えている労働者を採用しようとすると平均31%の昇給が必要であり、打ち込んでいない労働者については22%のみの昇給で済むとしている。
職場をより良くするために変えることについて聞かれると、静かな退職に分類される人の85%が、文化、給料、福利厚生のうちの一つを選んだ。
このことについて、ギャラップにさらなるコメントを求めたが回答は得られていない。
最近のデロイトの報告書によると若いプロフェッショナルは特に職場でストレスを感じており、Z世代の半数近くが職場にいる大半の時間に不安を感じていると答えたという。
この報告書で、Z世代は、インフレが続いて給与が減るなかで、仕事に良い印象を持っていないことがわかった。彼らは、家族を持ったり家を買ったりといった、将来の経済的かつ個人的な目標に到達しないという恐怖を感じているという。