「レイジー・ガール・ジョブ(怠け者の女子の仕事)」という言葉を生み出したガブリエル・ジャッジ。
Gabrielle Judge/TikTok
- ガブリエル・ジャッジは、前の仕事で本当に燃え尽きてしまい、辞めてから「レイジー・ガール・ジョブ(怠け者の女子の仕事)」を手に入れた。
- 現在ジャッジは11万3000人の彼女のTikTokのフォロワーに同じ方法の指導をしているという。
- 彼女によると、仕事をアイデンティティと考えるのをやめ、仕事に何を求めているかをはっきりさせることが大切だという。
2021年の春、ガブリエル・ジャッジ(Gabrielle Judge)は脳震盪に見舞われたという。彼女はすでにコンサルティングの職で本当に燃え尽きてしまい、もう出世できないと感じていた。そこで彼女は仕事を辞め、代わりに「レイジー・ガール・ジョブ(怠け者の女子の仕事)」を見つけたのだ。
現在、ジャッジは彼女のTikTokの11万3000人のフォロワーに同じ方法を指導している。仕事に対する人々の考え方を変えることが目的だと彼女は言う。
「仕事は、自己認識や幸福感などの源ではない」
ジャッジは現在26歳で、Z世代とミレニアル世代の狭間にいるため、自分のキャリア目標や、その目標を達成するためにどれだけ努力しているかという前提で判断されることがどのようなことなのかを理解している。
彼女の「レイジー・ガール・ジョブ・プログラム(Lazy Girl Job Program)」では、嫌な仕事から抜け出せない人が、低労力で高収入の仕事を見つけ、本当に大切なことに投資するエネルギーを確保できる方法を紹介したいと考えている。
「私はただ、仕事以外でも人生では何かが起こり得るということを理解してもらうために、チャレンジしている」と彼女は語っている。
ジャッジは大学在学中、決してキャリアギャップ(労働から離れて過ごす時間のこと)を持たないように、また転職を繰り返すことも避けるように言われていた。2019年にフルタイムで働き始めた時にはそれが当たり前だったため、彼女もその価値観を貫いていた。
しかし、その後、パンデミックが起こり、在宅勤務が始まり、大退職(Great Resignation)が起こり、「静かな退職(Quiet Quitting)」が台頭し、人々の雇用主に対する忠誠心は著しく低下し始めた。
「確実に変化が起きている」とジャッジは当時思ったという。
「力は従業員の手中にあった」
Gabrielle Judge
「レイジー・ガール・ジョブ」にはさまざまなものがある。夕方5時に退社して、夜は副業に時間を割くという働き方に切り替えるという意味もある。
全体的な勤務時間を減らすこともできるかもしれないし、より負担の少ない仕事を見つけて、人間関係やアルバイト、趣味に投資するエネルギーを確保することもできるかもしれない。
「仕事には自主性が存在することを人々に理解してもらいたい」とジャッジは言う。
「柔軟な働き方やリモートワークを選択するのが当然だということを人々に理解してほしい」
「レイジー・ガール・ジョブ」は、ジャッジにとっても、彼女に触発された何十人もの人々にとっても哲学となっている。
TikTokのハッシュタグ「#lazygirljob」は、現在900万回以上再生されており、雇用に対して広がっている幻滅とソーシャルメディア上で人気になっている「レイジー・ガール」というペルソナの両方を利用している。
例えば、あるクリエイターは、自分にとってのレイジー・ガール・ジョブは「同じメールをコピー&ペーストし、1日に3回か4回電話をかけ、自分の好きなだけ休憩を取って、それでも『いい給料』を得ることだ」と話した。
別の女性は、「誰とも話さず、好きなときに休憩を取り、オフィスの悪者になるために、私には『大金』が支払われている」と話している。
ただし、誰も実際の給与がいくらなのかは公表していない。
ジャッジは、雇われる側の立場に立った動画作りを心がけているという。彼女によるとインターネット上では上司に好印象を与える履歴書の書き方や、面接で輝く方法などといったキャリアコーチや専門家のアドバイスで溢れているという。だが、今、人々は彼女のメッセージを受け取っている。
「雇われている側を中心にしている。彼らの経験や人生を」と彼女は言う。
「そして私は、次の仕事で有害な上司がいるのかどうかはこうして見極めるのよと話している」
ジャッジは、より多くの人がアメリカの会社員の仕事を避け、週4日勤務やリモートワークが当たり前になっているフリーランスを受け入れるようになると考えている。彼女はフリーランスは特に税金に関しては大変なことを知っていると話す。だが、AIが特定の仕事を脅かし、人々が自分の快適さや安全を優先するようになった今、フリーランスが必要になるかもしれないと彼女は考えている。
彼女が「怠け者」を助長していると考える人々から非難を受けることもあるという。また、女性や社会から取り残されたコミュニティでは多くの分野で成功することがより難しくなっているため、「レイジー・ガール」という考え方を採用することは難しいということも分かっている。
「少なくとも、自分がなぜそう思うのかと、誰かに考えてもらうことができれば、最高だ」と彼女は言う。
「私に同意してもらう必要はない。私はただ、仕事との関わりについて、現状に疑問を投げかけたいだけ」
彼女のメッセージは、仕事を完全に辞めることでも、「嫌な奴になること」でもない。
「何かに全力で取り組みたいなら、それは自分のためであるべきだと私は思う。それは他の人の会社のためであってはいけない。他人の夢のために、残業に全力を注ぎこまないでほしい」と彼女は話している。