Pixelシリーズ初のAndroid搭載タブレットが20日に日本でも発売された。
撮影:小林優多郎
グーグルが6月20日から出荷開始した新型タブレット「Pixel Tablet」(ピクセルタブレット)の実機レビューをお届けする。
直販価格は7万9800円(税込)。 OSにAndroidを採用したPixelシリーズとしては初のタブレット製品となる。
日本市場のタブレット製品は、アマゾンの「Fireシリーズ」に代表されるような低価格帯製品と、アップルの「iPadシリーズ」のような高価格帯製品に2分されている。
Pixel Tabletはどちらかと言えば高価格帯の製品だが、グーグルらしい特徴をいくつか備えている。
大画面で使いやすくなったAndroidタブレット
映像コンテンツや読み物を表示するのに最適な大画面。
撮影:小林優多郎
Pixel Tabletは10.95型の2560×1600ドット解像度の液晶ディスプレイを搭載している。ディスプレイの縦横比が16対10となるため、例えばiPadなどと比べるとやや横長になっている。
重さは公称値493g。実機を手元の重量計で測ってみると488gだった。サイズの影響もあり、片手でずっと持っているのにはつらいが、両手で持てば重すぎるということはない。
本体だけで重さを測ってみたところ。
撮影:小林優多郎
中身を見ていくと、スマートフォンのPixelシリーズを使ったことのある人であれば、操作方法は簡単だ。Pixel以外のAndroidユーザーにとっては慣れない部分もあるだろうが、共通している部分は多い。少し慣れれば使いこなせるだろう。
大画面ならではの特徴としては、マルチタスク利用を意識したユーザーインターフェイス(UI)である「タスクバー」がある。
画面下から呼び出せるタスクバー。
撮影:小林優多郎
タスクバーは、任意のアプリ起動中に画面下端から上にゆっくりとスワイプすると表示される。タスクバーに表示されているアイコンもしくは、左端にある9つの点のアイコンから全アプリ一覧を表示してタップすれば、別のアプリに画面を切り替えられる。
また、アプリアイコンを長押しして、画面左もしくは右にドラッグ&ドロップすれば、2つのアプリを同時に表示できる。
左側にChrome、右側にYouTubeアプリを表示させたところ。
撮影:小林優多郎
Pixelスマートフォンの場合、タスク切り替え画面から2つのアプリを表示できたが、Pixel Tabletの場合、大画面をいかせる機能が搭載されているの素直に便利だ。
なお、GmailやGoogle Driveなど標準的なグーグルアプリはもちろん、マイクロソフトの各種Officeアプリやあクリエイティブアプリの「Canva」や動画アプリの「TikTok」なども、大画面でも使いやすいUIになっている。
グーグル純正らしいスマートホーム機能
写真左から、Pixel Tablet、Nest Hub(第2世代)。
撮影:小林優多郎
Pixel Tabletを語る上で欠かせないのが「スマートホーム」関連機能だ。Pixel Tabletは、付属の「充電スピーカー ホルダー」とセットに使うことで、上の写真のように「スマートディスプレイ化」して使える。
グーグルはスマートディスプレイとして「Nest Hub」(ネストハブ)シリーズを展開しているが、2021年5月に発売した「Nest Hub(第2世代)」を最後に、新製品をリリースしていない。
Pixel Tabletと充電スピーカー ホルダーの組み合わせはまさに、Nest Hubシリーズの最新機種と言っても過言ではない機能を持っている。
充電スピーカー ホルダーの仕組みがよくできていて、Pixel Tabletを置くだけで充電とスピーカーへの接続が完了する。
Pixel Tabletの背面、グーグルのロゴの下に電極がある。
撮影:小林優多郎
Pixel Tabletの背面には電極がついており、その電極を使って充電とデータ通信を同時に行っている。一方でスピーカーとの無線接続はサポートされていないので、手元のTabletで再生中の曲を、少し離れたスピーカー ホルダーで再生する、といったことはできない。
Pixel Tabletには「Hubモード」と呼ばれる専用モードが存在する。これは初期設定をすると、充電スピーカー ホルダーに接続した際に自動起動するもの。任意の写真を連続再生するスライドショーや時計を常時表示できる。
家で使っている「Philips hue」を操作しているところ。もちろんスマートスピーカー風に音声アシスタントに対して声で指示をして操作もできる。
撮影:小林優多郎
また、家に操作可能な照明やロボット掃除機などのスマート家電があれば、「Google Home」アプリを直接起動せずに、Hubモードから明るさの調整やオンオフなどの操作ができる。
もう1つ注目したいポイントは、Pixel Tabletが「キャスト機能」の受信機の役割を果たす点だ。キャスト機能とはかんたんに言えば、スマホやPCの画面や映像コンテンツ、音楽をPixel Tabletの画面と充電スピーカー ホルダーで再生できる機能だ。
同一ネットワークにあるキャスト可能端末の一覧には、充電スピーカー ホルダーに置いたPixel Tabletが表示される。
撮影:小林優多郎
「Nest Hub代わりになる」と考えればごく普通の振る舞いだが(Nest Hubにはこういう機能がある)、タブレットとして考えると、この機能を標準で持っている製品は今のところ本機種以外に聞いたことがない。
スマホの画面をPixel Tabletにキャストしたところ。このように使う機会は少ないかもしれないが、セカンドディスプレイ的な使い方に便利だろう。
撮影:小林優多郎
Pixel Tablet自身にAndroidが搭載されているため出番は少ないかもしれないが、ながら作業などのサブディスプレイ・スピーカーとして音楽やオンデマンド動画などの再生に便利だろう。
なお、Pixel Tablet単体の状態では、このキャストの受信機能は使えなかった。あくまでも充電スピーカー ホルダーに接続した際の「スマートディスプレイ風のPixel Tablet」で使える機能というわけだ。
スマートホーム連携に魅力を感じるなら「アリ」
Googleアシスタントでできる大体のことは、Pixel TabletもNest Hubもスマホも同じだ。
撮影:小林優多郎
普段はスマートディスプレイ、部屋を移動したいときや外で使いたいときはAndroidタブレットになる、という2in1の使い方を活かせるのであれば、Pixel Tabletは注目の端末と言える。
逆に言えば、競合機種との優位点はほとんどそこに尽きる。
例えば、iPadはタブレットUIに最適化されたアプリの種類も先行しており、さらに「Apple Pencil」によってグラフィック系のクリエイターやビジネス用途への活用も可能だ。
ちなみに、Pixel Tabletにはペンが付属していないが、「USI規格」に準拠したペンは使える。
写真上から11インチiPad Pro、Pixel Tablet。
撮影:小林優多郎
また、アマゾンのFireシリーズはアプリストアの充実度はPixel Tablet(Google Play)に劣るが、その価格の安さとPixel TabletのHubモードに近い「Showモード」を備えている。
グーグル純正のタブレットは、Android搭載機としては「Nexus 9」(2014年)、ChromeOS搭載機としては「Pixel Slate」(2018年、日本未発売)と、約5年ぶりの登場となる。
スマートホーム連携機能で、強力なライバルのいるタブレット市場で存在感を示せるのか注目だ。
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