Grace Dean/Insider
- 裕福な消費者が、アルディ、ダラー・ツリー、ダラー・ゼネラルといったディスカウント・ストアへと足を運ぶようになってきている。
- インフレということもあるが、製品の品質は上がっており、ディスカウント・ストアに対する考え方も変わっているためだ。
- 「ニンジンはニンジンだ」と年収20万ドルというディスカウント・ストアの買い物客は話している。
裕福な消費者がディスカウント・ストアへと足を運ぶようになってきており、節約できるところは節約したいし、お得に買うことにもう悪いイメージはないと述べているとウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が伝えている。
それによると、モーガン・ピアース(Morgan Pierce)さんは、シカゴにあるマクドナルド(McDonald's)のオフィスで働いており、年収は約20万ドル(約2800万円)だが、必需品はアルディ(Aldi)や1ドルショップに買いに行くという。「ニンジンはニンジンだ」とピアースさんは述べ、前回の自身の誕生日には、プライベート・シェフを雇って1ドル(約142円)のお皿で料理を振る舞ったと付け加えた。
WSJが話を聞いた人々は、ディスカウント・ストアで買い物をすることにもう悪いイメージはないと述べている。「並んでいる商品のすべてがすごく良いという訳ではないけれど、中にはすごく良い物もあって、そういうお店に入って買い物することを恥ずかしいと思わないし、それを人に話すのも嫌じゃない」とピアースさんは話している。
2021年から2022年にかけての急激なインフレと、品質が良く手頃な商品、ブランドにこだわらない客が増えていることなどが相まって、裕福な買い物客をディスカウント・ストアへと向かわせている。
アメリカのアルディが2022年、中間所得層と高所得層の買い物客が増えたと報告した一方、ダラー・ツリー(Dollar Tree)のリック・ドレイリング(Rick Dreiling)CEOは5月の収支報告で、年収8万ドル(約1100万円)程度の人の来店が増えたと述べた。ダラー・ゼネラル(Dollar General)のケリー・ディルツ(Kelly Dilts)CFOが6月始め述べたところによると、同社は近年「高所得層の顧客を多数」維持しているという。
「いくら稼いでいるとしても、1個59セント(約84円)で買えるアボカドに、4ドル(約570円)出したくはない」とアルディや1ドルショップで買い物をする、エグゼクティブ・トランジション・コンサルタントのボブ・ギルマン(Bob Gillman)さんはWSJに語っている。ギルマンさんによると、顧客が自分で袋詰めし、カートを使うのに25セントを支払うアルディのドイツスタイルを、買い物客らが気にしているようには見えなかったという。
お得に買うことに対する顧客の考え方が変わるにつれ、TikTok、インスタグラム(Instagram)、YouTubeなどでは、ディスカウント・ストアで見つけた掘り出し物を紹介したり、自宅で試したりするアカウントが、何百と出現している。
過去にリアリティ番組「リアル・ハウスワイブス・オブ・ニューヨーク・シティー(Real Housewives of New York City)」にも登場した、ベテニー・フランケル(Bethenny Frankel)さんのTikTokチャンネルはフォロワー数140万人で、格安購入品のレビューと美の秘訣を投稿している。ディスカウント・ストアへの買い物にエルメス(Hermès)のバッグを持って行くとフランケルさんはWSJに語っている。
彼女は「1ドルショップのビーチサンダルと、20ドルするビーチサンダルの違いは何?」と語り、リップグロスは「どんなに高いのを買ったって5分しかもたない」と付け加えた。
だが、ディスカウント・ストアへと足を運ぶようになっているのは、裕福な買い物客だけではない。ドレイリングCEOによると、ダラー・ツリーの核となる顧客層の来店頻度が上がっているという。
4月30日までの四半期で、前年同期比の来店客数は5.5%増だったが、平均購入金額は2.1%減だった。ダラー・ツリーは高額な商品も同時に展開しており、主要価格帯が1ドル25セントとなった後も、主要顧客層の購入は止まっていないとしている。