副業ライターの私が実践している、株式投資の「情報収集」ルーティン。日経よりも業界紙、Excel原理主義で

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情報収集のために長い時間を割くことはできないため、効率化が必要だ。

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  • 本記事の筆者である山口伸氏は、副業で投資関連のライターを行っている。そのため、日々時間が足りない。
  • そんななか、効率的に株式投資の情報収集を行うため、さまざまな工夫を凝らしている。
  • 同氏が通常過ごしている一日の流れに沿って、情報収集ルーティンをご紹介していく。

学生時代に貯めた100万円を元手に何となく株を購入して以来、私は投資にハマってしまった。

投資でパフォーマンスを出すには情報収集が欠かせないが、自分の本業は会社員である。そのうえ、個人で執筆活動もしているため、情報収集のために長い時間を割くことはできない。

そこで、日々のスキマ時間を活用し、作業をルーティン化することで無理なく情報収集を行ってきた。本記事では、そんな私の情報収集ルーティンを一部ご紹介しよう。

新聞は日経よりも業界紙

筆者は毎朝、好きなコーヒーを飲みながら新聞を読む時間を1時間程度、確保している。国内の投資家の多くは日経新聞を購読していると思うが、筆者は電子版で日経新聞を読むものの、そこまで重視していない。なぜなら、日刊工業新聞の方を重視しているためだ。なお、私が個人的に思う日経新聞のメリットとデメリットは次の通りである。

日経新聞のメリット

  1. 主要企業の重要なニュースが得られる
  2. 金融・経済の専門的な知識を学べる

日経新聞のデメリット

  1. 金融・銀行業界に偏りすぎている
  2. 製造業に関する技術的情報が少ない

日経電子版を長らく読んできて、経済用語や金融商品の仕組みなどを学ぶことができた。しかし、日本は製造業が主体の国である一方、日経新聞では製造業や科学技術に関する情報が少ないと感じている。経済界を対象とした新聞であるため仕方がないのだが、日経新聞だけでは技術的知識は得られないだろう。

そこで、私は日経新聞と一緒に、PDF形式で日刊工業新聞も購読している。日経新聞は見出しをざっと追って重要そうな記事だけを読み、日刊工業新聞で知識を深めていく形式だ。

日刊工業新聞はその名の通り製造業全般を対象とした新聞で、大企業の動向のほか、中小企業が開発した新商品の概要などが紹介されている。単に製品の目標売上高だけでなく、工業製品の仕組みや背景まで解説してある。科学技術面も充実しており、工業・科学・医療の知識を浅く広く得ることが可能だ。

Excelで単語帳を自作する

新聞を読んで勉強になった知識でも、次の日には忘れているかもしれない。反復しなければ記憶として定着しないだろう。

そこで、学んだ内容を忘れないよう、新聞で得た知識を単語帳形式でまとめている。Excel上で単語帳を作成し、休日などに目を通しておくのだ。

単語帳といっても実際に印刷するのではなく、「国内製造業」「新興国IT」のように、タブごとに共通した分野の“カード”をまとめている。下の画像は、その“カード”の一例だ。

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Excelで作成した単語帳カード

提供:山口伸

デジタルツイン」について紹介する記事からは次のことが学べるかもしれない。

⇒ デジタルツインとは、現実世界の状況をデジタル上に再現する仕組みのこと。

⇒ ゲームのように3D上で再現される。

⇒「工場を再現し機械・設備配置の最適化を行う」「建設現場を再現し事故が起きそうな場所を推定する」といった活用法があげられる。

例えばニッケルの価格が下落しているという記事は次のように要約できるだろう。記事から派生的に調べた内容も記載している。

⇒ 用途の7割弱がステンレス鋼、2割が合金。

⇒ インドネシアとフィリピンの両国で産出量の約半分を占める。

⇒ 中国の景気回復が遅れている 。

もちろん新聞だけでなく、本や動画から得られた知識の中で重要そうなものはカードを作成し、単語帳にまとめている。

とはいえ投資ですぐに利益を得ることを目的に単語帳を作成しているわけではない。いつかタメになれば良いなという気楽な気持ちで行っている。実際、自前の単語帳は投資以外にも執筆活動や、本業における顧客との会話の幅を広げるのに役立っている。

メンターから情報を得る

昼休みの1時間は勉強時間として活用する。ここでは新聞ではなく、自分なりのメンターが公開・執筆するYouTube動画や書籍から情報を得ている。

だが、勉強とは言え、単に娯楽や時間つぶしとして捉えている。特に私にとって印象的なメンターを3人ほど紹介しよう。

後藤達也:元日経新聞記者のフリージャーナリスト。YouTubenoteなどで活躍。米金利や雇用統計のまとめ記事・動画などを公開している。筆者は特に用語解説やYouTubeでの対談を参考にしている。

橘玲:作家。『言ってはいけない 残酷すぎる真実』などタブーに触れた本が話題となったが、投資に関する著書も多数執筆。筆者は投資のテクニカルの部分より、生き方や働き方の部分で同氏の著書を参考にしている。同氏が様々なネットメディアで執筆している記事も参考となるだろう。

ジョセフ・E・スティグリッツ:経済学者、2001年にノーベル経済学賞を受賞。経済学の教科書が有名だが、過度な投資や、不平等につながる政策を批判する著書を執筆。投資につながる情報は少ないが、筆者は経済学の基礎を学ぶ目的で同氏の著書を愛読していた。

夜には資産状況の確認を

筆者が保有株の値動きなどの資産状況を確認するのは夜だ。デイトレードや投機的な投資をしているわけではないため一日中頻繁に確認することはない。日中に何回も確認していれば本業にも支障をきたすことにもなるだろう。

資産管理において家計簿アプリの導入も考えたことはあるが、私としては自分なりに見やすい表を作成したいため、資産状況はExcel上でまとめている。個別株や投資信託ごとの値動きや、預貯金を含めた全資産の推移をグラフ化し、資産運用のパフォーマンスを一目で分かるようにしているのだ。

実際の筆者の資産状況を表しているものではないが、例えば以下のような簡単な表である。

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記載されているのは参考数値。実数ではない。

提供:山口伸

また、支出入の管理もExcelで行っている。交際費や比較的大きな買い物をした際にスマホにメモしておき、その中身を改めてExcelに記載する形だ。厳密に管理しているわけではないが、無駄な出費が増加傾向にないかを確認し、散財を戒めることができる。

なお、先述の通り、筆者は短期ではなく長期投資で考えているため、資産状況の確認は毎晩必ず行うのではなく、気が付いたときに実施しているに過ぎない。晩酌時や就寝前などに、リラックスした気持ちで資産管理を行えば、無理なく続けることが可能だ。

まとめ

以上、筆者が投資の情報収集で習慣化しているルーティンを紹介した。

簡単にまとめると日経新聞だけでなく業界新聞や書籍、動画からも情報を集め、自作の単語帳を作成し、気が付いたときに資産管理を行う形式だ。単語帳や資産管理については専用のアプリも多数出ているようだが、筆者は自分なりのデザインを追求したくExcelを愛用している。

知人や職場の同僚からはExcelを使いすぎだと言われるのだが……。なおこうした活動は娯楽・趣味の一環として行っているため無理なく続けることができる。読者の方々も参考にしてみてほしい。

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