ゼロで死ぬための「生存閾値」は、こう計算しろ! 『DIE WITH ZERO』の真髄とは

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老後に本当に必要な資金は簡単な計算で割り出せる。

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  • 『DIE WITH ZERO』の著者ビル・パーキンス氏は、退職後も快適な生活を送りたい人に、ある方程式を推奨している。
  • それは、「年間支出額」 X 「余命年数」 X 「0.7」 という式だ。
  • パーキンス氏はこの計算式で出る数字を「生存閾値」と呼ぶ。つまり、安心して退職するために最低限必要な金額だ。

退職までに貯蓄がいくら必要なのかを計算するのは難しい。貯蓄しすぎと貯蓄不足の差も非常に微妙だ。

パーソナルファイナンスの名著『DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール』の著者であるビル・パーキンス氏は、老後のために貯蓄しすぎていると生きている間に資産を使い切れなくなる可能性があると主張。老後に必要な資産を算出するのによく使われる従来の計算「4%ルール」では、安心して退職するために本当に必要な貯蓄額より高くなることもあると指摘している。

そこで、退職資金として貯めてきた貯蓄を使い切りたいと考えているパーキンス氏は、リタイアしてから投資で生活していくために最低限必要な貯蓄額を出すための、簡単な計算式を考案した。

年間総生活費 X 余命年数 X 0.7

パーキンス氏の計算式は、快適に暮らすために必要な最低限の出費を賄うことに焦点を合わせているため、他の計算式より低い金額が算出される。なぜなら、彼の式は「退職後に増加していく利子」という大きな要素を考慮に入れているからだ。

「0.7」を掛けるという部分にこれが反映されている。パーキンス氏によれば、これによって導かれた数字は、退職後であってもお金が残っている間は、(必要な額の)利子に影響を与えないものだ。

「口座から引き出す度に残高は減っていくが、私たちが考えるほどは減らない。それは利子によって必要額の一部が補われるからだ。年間生活費に余命年数を掛けた金額の一部だけで済むのはこのためであり、残りは利子が補ってくれるということだ」

次に、「年間総生活費」とは、文字通り1年間にかかる生活費の合計だ。1カ月に支払う全ての請求書の金額とその他の出費を合算し、12倍にする。生活費にゆとりを持たせたければ、その分だけ必要な貯蓄額も増えていく。

「余命年数」は断定することが不可能なのでやや難しい。しかし、インターネットで正確な平均余命年数を検索できるサイトがあるので、その数字を参考に何パターンか計算式に入れてみて、どの程度金額が変化するか確認してみることをパーキンス氏は提案している。

パーキンス氏はこれらの数字を掛け合わせて出た金額を「生存閾値」と呼ぶ。つまり、これが老後を快適に暮らすために必要な貯蓄額だ。

例えば、生活費に年間5万ドル(約714万円)を必要とする60歳で、85歳まで生きると思われる人の場合、必要な貯蓄額は次のような計算になる。

0.7 x 50,000 x 25 = $875,000

つまり、この場合の生存閾値は、87万5000ドル(約1億2500万円)だ。

資産を使い切りたい人向けの計算式

パーキンス氏の計算式で出る金額は、一般的にファイナンシャルプランナーがよく推奨する、年収または支出に25を掛けるという、年間引き出し率4%に基づいた人気の計算式「4%ルール」で導かれる金額より少ない。しかし、死ぬまでに全資産を使い切りたい人にとっては、この従来型の計算による推定額では高すぎるのだ。

その結果、多くの人がせっかく貯めてきた貯蓄を使い切っていないとパーキンス氏は指摘する。さらに、年齢と共に出費が減っていくことにも注目し「60〜90歳代の退職者たちの世帯支出と世帯収入の比率の中央値はおよそ1:1。支出は収入と並行して推移していくので、所得が減れば消費も減っていく」と説いている。

さらに従来の計算式は、投資口座で自動的に増えていく金額を具体的に考慮していない。投資により口座の残高は増えていくので、「実際のところ退職者の全体の3分の1が退職後に資産を増やしている」というのは珍しいことではないのだ。

退職後に備えて適切な金額を貯蓄することが重要だとパーキンス氏は説く。過剰な貯蓄は現在もこの先の人生においても問題を生じかねない。元気なうちにできる経験や思い出作りの機会を逃してしまったり、子どもたちが経済的な支援を必要としている時に助けてあげられなくなる恐れもあるからだ。

彼の推奨する計算式が自分に合っているかどうかは、信頼できるファイナンシャルプランナーとともに再度確認することをパーキンス氏は推奨する。老後に向けて潤沢な資金を準備したい人や、退職後は贅沢に暮らしたいという人は貯蓄をさらに増やす方向でプランニングするべきだ。

しかし、退職後の生活に備えて何が必要かを把握したい人にとっては、パーキンス氏の計算式は良い出発点になるだろう。



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