セールスフォースのマーク・ベニオフCEO。
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セールスフォース(Salesforce)は、5万7000人の従業員が回答した調査の結果を社内で発表した。今年始めの大規模レイオフ以降、この種の調査は初めてのことだ。
調査によると、従業員はセールスフォースの倫理感について概ね好意的に感じているが、有能な人員の確保、自身のセールスフォースでのキャリア、そしてリーダーたちの意思決定が会社のコア・バリューを守るものであるかどうかを懸念している。
「調査結果には全体として、フラストレーション、不信感、断絶がかなり明確に描かれている」とある社員は社内向けのSlackに書き込んでいる(書き込みはInsiderが確認済み)。
別の社員は「私の不満は、これが今の私たちの厳しい現実であること。そして、こうしたことが私たちの現実ではなかった日々を懐かしく思う」と書いている。さらに別の人は以下のようにSlackに書き込んだ。
「結果はひどいものだが、これほど多くの人たちが同じように感じていることに気分が少し楽になった」
セールスフォースの広報担当者はInsiderの取材に対して調査内容を認め、「従業員のおかげで、私たちは企業改革を大きく前進させることができました。ここで重要なものは、社員からのフィードバックであり、継続的に企業カルチャーを醸成することに寄与します。また、私たちが行動を起こすべきところを教え、投資を続ける必要がある強みを浮き彫りにしてくれます」と語った。
調査結果からは、セールスフォースで働く社員にとって厳しい1年だったことがうかがえる。Insiderの既報の通り、同社の共同CEOで、創業者マーク・ベニオフの後継者と見られていたブレット・テイラーが退職し、その後もトップ幹部の流出が続いている。
Insiderが確認した文書によると、同社が売上目標を達成できなかった後、物言う投資家が発言力を強め、大幅なコスト削減策が進められた。1月には従業員の10%のレイオフを実施。その後の2四半期は非常に好調で、マーク・ベニオフCEOは、物言う投資家が望む利益をほぼ達成した「パフォーマンス文化」をアピールしている。ベニオフCEOは経営陣も刷新した。
以下、社内調査のハイライトを見てみよう。
好意的な回答が多かった質問
- 非倫理的な行動を求める上司からのプレッシャーを感じない:97%が好意的回答
- 社内で不正行為を見たり、倫理的な懸念がある場合は報告する:95%が好意的回答
- 社内での倫理的懸念や不正行為を報告するための報告手段について理解している:92%が好意的回答
好意的な回答が少なかった質問
- セールスフォースは優秀な人材の確保をうまく行っている:34%が好意的回答
- セールスフォースでの長期的な将来に安心を感じている:37%が好意的回答
- シニアリーダーシップの意思決定は、当社のコア・バリューと一致している: 49%が好意的回答
- セールスフォースには信頼の風土がある:好意的回答は50%で、昨年から「大幅に」低下したと調査は指摘
- セールスフォースは、変革を推進する活動に重きを置いていても、事業を効率的に運営している:56%が好意的回答
「大幅な低下傾向」
以下の設問はいずれもかなり好意的な回答となっているが、以前の調査からは「大幅な低下傾向」にあると指摘されたもの。広報担当者は「大幅な低下傾向」とされた設問は以前とは2~6ポイントの差があるが、多くは依然として圧倒的に好意的だったと述べた。
- 上司はさまざまな人が参加できる職場環境を推進している:89%が好意的回答
- 上司は結果を重視しつつも、チーム全員の健康や安心を気遣っている:88%が好意的回答
- 仕事を成し遂げるために、労を惜しまない:88%が好意的回答
- 過去12カ月、社内で倫理に反する行為や業務上の不正行為を見たことがない:87%が好意的回答
- 上司はチームを集中させ、動かしている:87%が好意的回答
セールスフォースの人事責任者、ブレント・ハイダー(Brent Hyder)は結果について、従業員に向けて、Slackで次のように述べている。
「エグゼクティブ・リーダーシップチームは、皆さんのリーダーとともに、私たちを前進させ、これまで以上に強力なカルチャーを作り上げるために、明確さ、安定、安心を提供することに全力を尽くしています。ハードワークはすでに進行中ですが、まだこれから。リーダーたちは皆、戦略で皆さんを奮い立たせ、大きな信頼とつながりを築き、働き方をシンプルにし、キャリアと報酬を一致させることに集中しています。皆さんが従業員としてここで経験するあらゆることに、私たちのコミットメントを実感できることを願っています」