AI普及の恩恵を受けるITサービス・ベンダー5社。モルガン・スタンレー最新分析

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AIの利用事例が増えるにつれ、短期的・長期的な恩恵を受けるテック企業が出てきそうだ。

KTSDESIGN/SCIENCE PHOTO LIBRARY/Getty Images

2022年11月にChatGPTがリリースされて以降、AI(人工知能)はウォール街の注目の的となっている。投資家たちはこの分野に資金を注ぎ込み、エヌビディア(Nvidia)などAI関連企業の株価が急騰することとなった。

しかし、これまでAIを直接扱う企業がスポットライトを浴びてきたが、投資家にとって賢明なのは、他にも潜在的に受益者となり得る企業を見逃さないことだ。

例えば、短期的には、AIによる自動化の恩恵を受けるテクノロジー企業の中には、ITサービス・ベンダーが含まれる。

モルガン・スタンレーのアナリストチームは2023年6月19日付のレポートで、「ほとんどの企業がデジタル変革の初期段階にある中での1~3年後の展望としては、企業が自社のデータ環境やAIを活用する方法を理解するためにITサービス・ベンダーに目を向けることが、需要の追い風になると見ている」と述べている。

「したがって、AIの進歩のペース、いずれコストや複雑さが減っていくということとは関係なく、顧客は十分な情報に基づいたアドバイスやサポートを提供してくれるベンダーに大きく依存し続けるだろう」

AIの長期的な影響は不透明

短期的には、こうしたメリットの影響は比較的小さく、利益を得るのは社内に強力な人材、資金力、既存の顧客関係を持ち、いち早くAIを導入できる顧客やサービスベンダーに限られるだろう、とアナリストらは指摘する。

しかし長期的に見れば、AIの導入がもたらす潜在的な影響はそれほどはっきりしてはいない、とも言う。

「IT業界は常に変化しているため、現在 『デジタル』なものが、10年後には 『伝統的』または 『レガシー』となってしまう可能性が高く、ITサービスのベンダーは変化の上に成り立っているという見方を裏付けている」

とアナリストは述べている。さらに、メタバースのようなこれまでの「技術のハイプサイクル」よりも、生成AIの方が世界に革命を起こす可能性が高いと言う。

これは事実として言えるかもしれないが、アナリストはまた、テック企業が伝統的に技術の進歩をいち早く受け入れ、適応してきたことにも言及している。

「まだ日が浅いため市場全体への影響は不明だが、AIの時代に仲介者としてのITベンダーがなくなることはないだろう」

むしろ、AIはデータサービスを高速化することで、IT企業にとって長期的な追い風となる可能性が高い。業界全体としては、最小限の混乱でピボットすることに成功するはず、と同チームは結論づけている。

AIの台頭の恩恵を受ける5銘柄

IT業界の中でも、すべての企業が同じ土俵にいるわけではないことは明らかだ。モルガン・スタンレーのアナリストは現在、AIに大規模に投資できる能力を持ち、コンサルティング会社のように短期的な需要が高まりやすく、ディスラプションの脅威に晒されにくいサービスを提供する企業を好んでいる。

さらにアナリストは、デジタルサービスやクラウドサービスなど付加価値の高いサービスを提供し、業界の変化に適応するための俊敏性を十分に発揮している企業を、同業他社よりも魅力的な企業として注目するよう推奨している。

「エンゲージメントに対する需要は、コンサルティングに重点を置くベンダーや、顧客と深い戦略的パートナーシップを結んでいるベンダー、業界を深く理解しているベンダーに引き続き集まるだろう」

アナリストらはレポートの中で、AIの導入が進むなか、独自のポジションにあり、大きな恩恵を受けられるであろう企業を5社挙げている。その5つの銘柄を、各社のティッカー、時価総額、各アナリストのコメントとともに以下に紹介する(アナリストコメントの出典はすべてモルガン・スタンレー)。

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