スタートアップの資金調達にも大きく影響…アメリカでの「適格投資家」定義変更とは?

ゲンスラー委員長

アメリカ証券取引委員会のゲイリー・ゲンスラー委員長。

Evelyn Hockstein/Associated Press

数兆ドル規模の資本市場を一変させ、スタートアップの資金調達方法を変容させる可能性のある哲学的な議論がワシントンD.C.で繰り広げられている。

この1カ月の間に、「適格投資家(accredited investor)」の定義を拡大する3つの法案が下院を通過した。この法案は、規制当局が未登録証券、すなわち通常の開示要件の対象とならない証券の購入を許可する人物を決定するために利用するものだ。

同時に、アメリカ証券取引委員会(SEC)はゲイリー・ゲンスラー(Gary Gensler)委員長の下、「適格投資家」の定義を狭め、プライベートマーケットに抜本的な新しい規制要件を課す可能性のある一連の規則を再検討している。

これは、アップル(Apple)やグーグル(Google)のような企業の株式が完全な透明性をもって取引される公的な取引所ではなく、プライベートマーケットやスタートアップ投資という陰の世界で、資金をリスクにさらすことが許可されるべき人物は誰なのかをめぐる議論だ。

適格投資家とは?

ある人にとっては、「適格投資家」の定義は遺物であり、成長企業を骨抜きにし、有色人種や低所得者を不当に排除している束縛だ。また、エリザベス・ホームズ(Elizabeth Holmes)やサム・バンクマン-フリード(Sam Bankman-Fried)のようなカリスマ詐欺師と個人投資家の間に立ちはだかる唯一無二の壁だという人もいる。

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