コンサルタントの転職事情。なぜコンサル出身者は次のキャリアに「アクセンチュア」を選んだのか?
言わずと知れた総合コンサルティングファーム、アクセンチュア。
オペレーションズ コンサルティング本部(以下、オペレーションズ)は、デジタルとテクノロジーの力を活用して、企業の業務内容やプロセス改革を継続的に支援することに強みを持つ。
そんなオペレーションズの「コンサルタント」は、アクセンチュア内の「戦略コンサルタント」などの他部署の仕事とは少し異なると言う。
実際にどう違うのか、またアクセンチュアでのコンサルタントのキャリアの築き方や魅力とは? コンサルティング業界出身の中途入社社員2人に、前職での経験も踏まえて話を聞いた。
「ダイナミックな変革」に携われる環境を求めて
アクセンチュア オペレーションズ コンサルティング本部 マネジャーの清水梨衣(しみず・りい)さん。2016年アクセンチュアに中途入社。製造流通領域の企業への提案業務などを経て、2020年にオペレーションズ コンサルティング本部に異動。現在は新規案件のスキーム検討や企業との契約交渉を主に担当している。
「コンサルタントを目指したのは、お客様の課題に対して、外部の視点から変革できる面白さに惹かれたからです」(清水さん)
そう語るのは、2016年にアクセンチュアに中途入社した清水梨衣さんだ。
新卒で、新規事業のコンサルティングサービスに特化したスタートアップに入社。当時は会社が成長段階で企業規模も小さく、提案できる手法や予算、人員などのリソースが限定的にならざるを得なかった。
「もっと大規模でダイナミックな変革に携わりたい」と思い転職を決意。その中で、アクセンチュアを選んだ理由は“対象とする業界や業務領域の幅広さ”だ。
「戦略策定に特化するコンサルティングファームもありますが、アクセンチュアはそこに留まらない。
システム構築や業務運用、最近ではマーケティングやクリエイティブ分野まで、幅広い領域を一気通貫で手掛けています。
戦略の提案で終わるのではなく、実際の企業経営や業務変革の実現まで責任を持つことができる。そこが大きな魅力でした」(清水さん)
アクセンチュア オペレーションズ コンサルティング本部 マネジャーの鈴木暁大(すずき・あきひろ)さん。2021年アクセンチュアに中途入社。製造業の調達に関するBPOプロジェクトや、エネルギー業界の資材調達改革プロジェクトなどに携わっている。
鈴木暁大さんは、建築業界のコンサルティング企業出身。
前職時代に、アクセンチュアも参画していたBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング:業務プロセスの一部を外部に委託すること)を活用した製造業のコスト削減プロジェクトを担当。
同プロジェクトで一緒に働いていたアクセンチュア社員の印象が、転職を後押しした。
「プロジェクト内の役職や立場にとらわれず、みんながストレートに意見を交わし、迅速なコミュニケーションで意思決定を進める。
そんなカルチャーを目の当たりにして、自分もそういった環境で刺激を受けながら働きたいと思うようになりました」(鈴木さん)
「提案だけでなく、業務改革の実行部分にも携わりたい」
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清水さんがアクセンチュア入社時に在籍していたのは、ビジネス コンサルティング本部。
参画したプロジェクトでオペレーションズの社員と協働する中で、ある想いが芽生えたと言う。
「当時は、お客様に対して企業戦略や取り組むべきことを提案する役割だったため、提案後の施策実行に直接携わることは、あまりありませんでした。
しかし、業務をお客様に成り代わって実行しながらプロセス改革を支援し続けるオペレーションズでは、お客様の課題解決に向けた実際の施策実行まで行います。
また、日々の業務実行を通して得られるデータを分析したうえで、改善点のアップデートを行い、成果を出すまで継続的・徹底的にコミットします。
このような、お客様の現場のより近くで仕事ができるコンサルタント職に惹かれて、社内異動をしました」(清水さん)
アクセンチュアには『キャリアズマーケットプレイス』という制度がある。
社内には、世界中のアクセンチュアオフィスの求人情報が掲載されている募集サイトがあり、国内外問わず希望のポジションに応募することができるのだ。
清水さんも本制度を使い、オペレーションズに異動。現在は、お客様企業のシェアードサービスセンター(間接業務を集約して運用する組織)の運用支援プロジェクトに携わっている。
「提案を絵に描いた餅で終わらせないのが、オペレーションズで働く面白さであり強み。
前職では色々な面でリソースが足りずに実現できなかったことも、アクセンチュアでは幅広いアセットを組み合わせて課題解決を行えます。
以前は武器1個で戦っていたのが、今は最適な武器を組み合わせて戦っているイメージです」(清水さん)
鈴木さんも「お客様のビジネスに入り込んで、一緒に変えていける楽しさがある」と話す。
「我々の最終目的は、お客様の財務諸表に良いインパクトを与えることだと考えています。
BPOは間接業務の自動化や効率化などによるコスト削減が可能で、財務的なインパクトも出やすい。
その部分に直接関われるのは、やり甲斐につながります」(鈴木さん)
アクセンチュアに入って衝撃的だったことは?
2人は、アクセンチュアに転職した当初は、そのカルチャーや制度に衝撃を受けたと話す。
鈴木さんが入社後に最も驚いたのは、徹底したプロジェクト管理だ。
コンサルタントは、お客様のために稼働した時間で費用が発生する。アクセンチュアでは、社員が使った稼働時間を細かく把握し、どのプロジェクトにどういった内容で時間を使ったのかをシステム上で厳密に管理している。
「前職でも同じ取り組みをしていたのですが、自分の行動をどこに紐付けるかといったルールの徹底に難しさがありました。
アクセンチュアは、プロジェクトの稼働時間や財務管理を徹底しているからこそ、安心して働けるし、着実に実績も上げられるのだと感じています」(鈴木さん)
清水さんが衝撃を受けたのは、プロジェクトベースの働き方だ。
1つのプロジェクトが始動すると、さまざまな部署から最適なスキルや経験を持ったプロフェッショナルが集まり、プロジェクトチームが結成される。
そしてプロジェクトが終了すると、それぞれ別のプロジェクトへ移っていく。
もし、参画中のプロジェクトが自身の適性やスキルに合ってないと途中で感じた場合は、別のプロジェクトへ移る調整をすることもできる。
前職は小規模のコンサル会社だった清水さんにとって、数カ月~数年単位で一緒に働く仲間が変わるのは、かなり刺激的。慣れてくると、メリットが多いことも分かってきた。
「アクセンチュアは多様性のある会社で、さまざまなスキルや経験を持った人たちが在籍しています。
プロジェクトを通して多様な仕事のスタイルを見てそれぞれの良いところを吸収でき、日々多くの学びがあります。
また、コンサルタントと言えばクールで個人主義のイメージがあるかもしれませんが、プロジェクトはチームで協力し合いながら進めていきますし、会社自体に人想いのカルチャーが根付いていると感じます。
チャットツールなどで問い合わせをすれば、ほかの部署やチームであっても、親身になってアドバイスを返してくれる。
場合によっては、世界各国の拠点で、新しい知見を持っている担当者にコンタクトすることもあります」(清水さん)
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鈴木さんは半年ほど前に、第1子が誕生した。今後、育児休業を1カ月半ほど取得予定だ。
「今は、基本的に仕事は遅くとも夜7時までに終わらせるようにしています。
チーム内には小さな子どもがいる社員も多く、互いに協力しながら仕事の割り振りや調整を行い、フォローし合いながらプロジェクトを進めています。
チーム全体として、成果を出しながらプライベートの時間も大事にするという共通意識があるのが良いですね。最近では、私のように男性社員で育休を取得する人も多くいます」(鈴木さん)
「社内には結婚・出産などのライフイベントと仕事を両立している女性社員がたくさんいて、参考にできるロールモデルも多くいます。
産休・育休については、最短で復帰する方もいれば、長めに取得する方、復帰後も時短勤務で早めの時間帯に業務を終える方など、いろいろな方がいますね。
1つの型にはまらず、自分自身のライフスタイルや考え方に合わせた選択ができる環境だと感じています」(清水さん)
最新のテクノロジーを用いて、10年先をつくる仕事
今後2人は、どういったキャリアプランを考えているのだろうか。
鈴木さんには、2つの考えがあるという。1つは、グローバルに展開するアクセンチュアだからこそ、日本だけでなく海外でも活躍したいという思い。そして、もう1つは、ジェネレーティブAI(生成AI)の活用促進だ。
「ジェネレーティブAIの登場で、ビジネスは大転換期を迎えています。今からの対応が、10年後、20年後の未来を決めると言っても過言ではありません。
こういった最新テクノロジーは、アクセンチュアの得意分野です。現在、エネルギー業界で日本トップクラスのお客様を担当していますが、これを機会にグローバルに通用する企業への成長を目指せるはず。積極的に技術導入することで、お客様と一緒に成長したいと考えています。
そのため、社内で開催されている共有会や勉強会に積極的に参加して、自身のスキルをより高めている最中です」(鈴木さん)
「アクセンチュアとして、そしてオペレーションズとして、どういった付加価値を提供できるのかもっと考えていきたいと思います。
お客様と一緒に現場を動かしながら実現していくことで、キャリアを重ねていきたいです」(清水さん)
最後に、どういった人材がオペレーションズの仕事に向いているのかを聞いた。
「お客様の実行フェーズに関わる部署なので、色々な人を巻き込んで仕事を進める必要があります。
関係者と着実に合意形成をしながら、粘り強く仕事ができる人が向いていると思います。
そのためにも、さまざまな意見に耳を傾け、最適解を考えることを楽しめる素質も必要かもしれません」(清水さん)
「新しいことに興味を持てる人が向いていると思います。テクノロジーは日進月歩で進化しています。
現時点で知識がない分野でも、自分の仕事にどう活かせるのかを考えて積極的にインプットとアウトプットを繰り返す。そういったマインドがあれば、楽しく仕事ができると思います」(鈴木さん)