30代後半・社労士資格あり。「実務経験はないけど資格を活かして転職」はどこまで可能か?

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今回は、こちらの応募フォームからお寄せいただいた読者の方からのご相談にお答えします。

「実務経験はないが、資格を活かして転職することは可能か?」というお悩みです。


Aさん

Aさん

私は社会保険労務士の資格を取得しているのですが、これまで一貫して労務とは全く違う仕事に就いていました。

このように実務経験がない38歳の私が、社会保険労務士として他の企業や社労士事務所への転職を図ろうとするのは無謀なのでしょうか? 社会保険労務士の資格を活かしたいのであれば、いきなり独立開業するしかないのでしょうか?
(Aさん/30代後半/男性)

※お便りの内容を一部要約させていただきました。


Aさんのご相談にお答えする前に、まず一般的なお話をしますね。

キャリアを強化する手段の一つとして、「資格取得」を検討する方は少なくありません。

私が個人の方からキャリア相談を受けていても、「今の仕事とは関連がないが、○○の資格を取ろうかと考えている。どう思うか」と聞かれることがあります。その場合、このようにお答えします。

「これまでのキャリアとつながりがない資格の勉強をするよりも、その時間とパワーを『実務経験を磨き込む/周辺領域へ幅を広げる』ことに使ってください」

大前提として、転職市場においては、資格よりも実務経験が重視されます。実務経験が伴わない資格は、特別な資格(弁護士・公認会計士・税理士など)を除いてあまり評価されないのが実情です。

第二新卒などの若手層で、働きながら資格取得しているなら、「計画を立ててコツコツ取り組める」「学習に対する抵抗感がない」といった素養面がプラスの評価を得られることもあります。

しかし、30代以上の人がこれまでの仕事と関係がない資格を取得することに対しては、明確かつ説得力のある目的がないかぎり、疑念や不信感を抱かれてしまう可能性があります。「この人は何がしたいのだろう?」と……。

「実務未経験の有資格者」は、「アシスタント」のポジションで一定のニーズがあります。ただし、30代以上となるとそのポジションでの採用はためらわれるでしょう。採用されたとしても、前職年収を維持することは難しいと思われます。

なお、社会保険労務士のように法律知識が重要な資格の場合、取得から時間が経っていると、さらに転職市場での効力が下がります。法律は絶えず改正されているので、3年も経てば知識は陳腐化するもの。最新の知識にアップデートし続けなければならないという点でも、「いずれ転職する際に役に立てば」といった安易な気持ちで取得することはお勧めできません。

森本さん語録1

独立開業を目指すなら、まずは実務経験を積む

さて、すでに社会保険労務士(以下、社労士)資格を保有しているAさんのケースについて考えてみましょう。

「労務の実務経験なし」「30代後半」という条件では、転職の実現はなかなか厳しいと思われます。

「社労士の資格を活かしたいなら、いきなり独立開業するしかないのか?」とお考えのようですが、それもハードルが高いのではないでしょうか。

これまでAさんが築いてきた人脈を活用し、顧問先を獲得できるのであれば、いきなりの独立開業も可能でしょう。

しかし、企業側としては、顧問契約を結ぶにあたっては「実績」を重視するのが現実です。独立開業を目指すにしても、社労士事務所で一定期間の実績を積んだほうが、信頼を得やすいといえるでしょう。

そこで、まずは「社労士事務所での実務経験を積む」ことを目指してはいかがでしょうか。

具体的には、次のようなアクションを起こしてみてください。

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