好調ブックオフ、背景に「湘南のサーファー」「億ションで高級品買取」「イオンの親子にトレカ」など地域戦略

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ブックオフがローカル戦略を強化している。神奈川県・湘南のサーファー向けにマリン商品を貸し出したり、東京・白金の億ションの中には富裕層をターゲットにした買取専門店を構えた。主力商品に成長した「トレカ」をはじめとした遊びに特化した専門店のイオンモールへの出店も進めている。

権限委譲で「らしさ」アピールする店舗へ

「マリンスポーツを気軽に始めるなら『ブックオフ』へ」、ブックオフグループHDのプレスリリースにはこんな一文がある。

神奈川県の茅ケ崎北口店では、店舗のメインである1階にあった本やソフトメディア(音楽・映像・ゲーム)の売り場を 2 階に移動させ、1 階にサーフボードなどマリンスポーツに特化した販売スペースを設け、メンズ古着やメンズ用スニーカー、バッグを揃える。

「湘南らしさをアピールするため(ブックオフグループHD)」、BGMはモダンジャスを流し、 証明は暖色のスポットライトをセッティング。店舗スタッフの制服も廃止した。

同じく神奈川県の湘南辻堂店(BOOKOFF SUPER BAZAAR Luz湘南辻堂店)では、サーフボードのレンタルを1泊2000円で行う。

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BOOKOFF SUPER BAZAAR Luz湘南辻堂店。

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中古品やレンタルでマリンスポーツを始めるハードルを低くする狙いが当たり、売り上げも上々で、マリンスポーツ商品を扱うブックオフは約60店舗にのぼる。

こうしたローカル戦略のことをブックオフグループHDでは「個店を磨く」と表現し、店舗づくりの権限委譲を進めてきた。

「店舗の条件や強みは一つひとつ違います。地域や各店舗の特性に応じた新商材の導入の権限を、統括エリアマネージャーやエリアマネ ージャーに委譲した結果、このような店舗が誕生しました」(ブックオフグループHD)

億ションからイオンモールまで、ターゲット絞って出店

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BOOKOFF総合買取窓口、白金ザ・スカイ店。 買取専門店は約50平方メートルの小さい店舗で、富裕層の多い地区に出店する戦略をとる。

出典:ブックオフグループHDホームページ

ブックオフがチェーン店であることを考えると意外にも思えるが、同じ施策を一律で運用する方針はない。マリンスポーツ商品のほかにも「群馬の上毛かるた、大宮のこけしなど、地域、商圏のニーズにあった売場展開をエリア、店舗の判断で行っています」(ブックオフグループHD)。

地域に合わせた売り場づくりに加え、ターゲットを絞った出店攻勢もかける。5月には同社が都内屈指の高級住宅街と認識する、東京・白金高輪エリアのタワーレジデンス「白金ザ・スカイ」に買取専門店をオープンし、「億ションへの出店」で話題を集めた。

丁寧な接客で、洋服、ブランド品、ジュエリー、金・プラチナ、腕時計などを買い取る。

こうした買取専門店は「富裕層の多い地区に出店する戦略」(ブックオフグループHD)を取っており、2016年の東京・自由が丘への出店以降、17拠点目だ。

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あそビバ イオンモール各務原店。

出典:ブックオフグループHDホームページ

急拡大しているトレーディングカード・ホビー分野(2023年5月期第3四半期決算では前期比140.2%で、本やソフトメディアに次ぐ売上構成を占める)に対応するため、トレカやゲームソフトなど遊べるアイテムに特化した専門店「あそビバ」も新規事業として注力中だ。

狙うのはイオンモール。単独店としては2022年8月にイオンモール和歌山店に初出店したのを皮切りに、大阪府のイオンモール堺北花田店、岐阜県のイオンモール各務原店と3店舗を展開している。

4月に上方修正を出した2023年5月期通期連結の業績予想は、売上高は1010億円、純利益は19億5000万円を見込むなど好調だ。「トレーディングカード・ホビーやアパレル、貴金属・時計・ブランドバッグの伸長により想定を大きく上回った」(ブックオフグループHD)ことが背景にあるというが、これらの売上を支えるローカル・出店戦略からも、目が離せない。

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