Illustration: Derplan13/Shutterstock, Alona Stanova/Getty Images, Design: Business Insider Japan編集部
「英語学習には興味があるけれど、なかなか上達しなくてやる気をなくしてしまう」「楽しくないので長続きしない」……あなたもそんな経験はないだろうか。
この新連載では、海外映画やドラマを楽しみながら、かつ英語学習にも活かす方法をご紹介。ナビゲーターはAI英語学習アプリ「abceed(エービーシード)」を運営するGlobee代表の幾嶋研三郎さんだ。毎回1つの作品を取り上げ、ビジネスパーソンがすぐに活用できるフレーズも教えてもらう。
この週末はあなたもおすすめ作品にどっぷりハマりながら、英語学習に挑戦してみてはいかがだろうか。
2022年、私が最もハマった映画がトム・クルーズ主演の『トップガン マーヴェリック』でした。手に汗握るアクションは臨場感があり、爽快感と満足感を味わえる作品で、あの夏は何度も映画館に足を運びました。
中でも劇中で何度も出てくる「Don’t think. Just do it!(考えるな、行動しろ)」という名セリフは私の心の教訓になっています。
さて、私たちの心を熱くさせてくれたトム・クルーズの代表作といえば、超大作シリーズ『ミッション:インポッシブル』ではないでしょうか。
『ミッション:インポッシブル』シリーズは、ブルース・ゲラーが制作したテレビシリーズ『スパイ大作戦』をベースにした、アメリカのアクション・スパイ映画のシリーズで、これまで6作品が公開されています。
そんな『ミッション:インポッシブル』シリーズ第7弾となる最新作『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』が、2023年7月21日に公開予定になっています。
今作は、トム・クルーズが「俳優人生で最も危険なスタント」と語る、バイクで断崖絶壁に向かってフルスピード走行、超特大ジャンプ、落下を組み合わせた大規模スタントが見どころとなっており、これまでのシリーズをさらに上回るアクションシーンを見ることができると注目の作品です。
今回はそんな公開直近の『ミッション:インポッシブル』シリーズから、2018年公開のシリーズ第6弾『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』を題材に英語を楽しく学んでいきましょう。
ビジネスパーソンにおすすめ『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』
何者かがプルトニウムを盗み、3つの都市を標的にしたテロを画策。主人公イーサン・ハント(トム・クルーズ)とCIAの特殊作戦部IMFチームは、その同時核爆発を未然に防ぐミッションを受けることに。
タイムリミットが迫るなか、イーサンらは手がかりがほとんどない正体不明の敵の行方を必死に追うのだが……。
シリーズの中でも特に本作は、主人公イーサン(トム・クルーズ)の幅広い人間関係を扱っています。
仲間や上司はもちろん、対立しつつも手を組むことになるCIA局員や、潜入先での取引相手などさまざまな関係性を描く中で、必然的に幅広い語彙が用いられており、ビジネス英語のヒントとなる要素が多く散りばめられている点が特徴的です。
TOEIC730点からの学習におすすめ
『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』の再生時間は2時間11分、総語数9615語、フレーズ数は1690です。
リスニング難易度の指標の1つであるWPM(1分あたりのワード数)で比較すると、ネイティブの会話は約160台、早口の人だと約200台、TOEICは平均150台なのですが、『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』の会話部分は平均128台のため、リスニングは初級者〜中級者の方におすすめの作品です。
TOEIC®︎の難易度で表すと730点程度、英検®︎だと2級レベルの学習者のリスニング学習に最適です。
前回ご紹介した『スパイダーマン:ホームカミング』と比べると、テロの阻止というテーマ上、特に語彙のレベルが高い作品です。
それでは、作中に登場するフレーズの中から、日常のシーンでも役立つ表現をご紹介します。
活かせる映画フレーズ
フレーズ1「take up with」
前作でソロモン・レーンが率いていたテロ組織「シンジケート」の残党が「アポストル(神の使徒)」というグループを結成して活動を続ける。そんなアポストルのプルトニウム入手を阻止するため、任務に発とうとする主人公イーサン。
そこへCIAのスローン長官は、イーサンの行動を監視するため、ウォーカー諜報員を同行させると主張する。それに対し、CIAの特殊作戦部IMFのハンリー長官が言い返すシーンのフレーズです。
I have operational authority here, direct from the President. You have a problem with that, you take it up with him.
「私には大統領から直接に権限が与えられている。文句があれば彼に言え」
句動詞「take up with」には「~と仲良くなる」という意味もありますが、目的語をとって「take (モノ) up with (人)」の形になると、「(主に問題・不満など)を(上の人)に相談する」という意味でよく日常会話で使われます。
ビジネスシーンでは社内の問題だけでなく、顧客から上長へのクレームなど、幅広い問題の報告に用いられるフレーズです。
ではビジネスパーソンが日常的に使える使用例を1つ挙げてみます。
That product was developed by a different team, so if you have any concerns about it, you’ll need to take them up with the relevant project manager.
「その製品は別チームによって開発されたため、もしそれに何らかの懸念があれば、関係するプロジェクトマネジャーに相談する必要があります」
ビジネスシーンでは日常的に何かと人に相談をする場面が多いもの。take up withを覚えておくとかなり便利です。
フレーズ2「have a 〜 ring」
プルトニウムを持つホワイト・ウィドウと呼ばれる武器仲買人との面会に、ラーク(プルトニウムの受取人)になりすまして現れたイーサン。ホワイト・ウィドウはイーサンがラークであるとすっかり信用して述べるシーンのフレーズです。
In fact I like “Lark.” Does have a certain ring.
「“ラーク”は好きよ。いい響き」
動詞句「have a 〜 ring」は「〜な印象を与える」という意味で使われます。この例でのhave a certain ringは「しっくりくる」というニュアンスがあります。
ビジネスパーソンが日常的に使える使用例を1つ挙げてみます。
Actually, that’s a great suggestion. It has a nice ring to it.
「実際それは、素晴らしい提案ですね。いい感じに思えます」
プレゼンテーションの内容が良かった時や、会議などで良い案が出た際などにも使えるフレーズですので、覚えておくととても便利です。
フレーズ3「keep going」
最後に『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』の名シーンからも1つ、学べる英語をご紹介します。
IMFメンバーのルーサーが、合流した仲間のイルサに対し、イーサンへの負担とならぬよう、手を引くよう説得するため、イーサンの愛した女性の話をしている場面。
Every now and then, she sends up a signal to let Ethan know she's safe. And that keeps him going.
「時々、無事だという信号を送ってくる。イーサンの心の支えだ」
keep goingには進み続けるという意味から「(そのまま)頑張れ!」などの応援で用いることも多いフレーズですが、動詞keep(人)going には、「(鼓舞して人)が頑張る支えとなる」というニュアンスがあります。
日常的に使用できる例も挙げてみましょう。
I rely on music to keep me going during late night study sessions.
「私は夜遅くの勉強会を頑張るために、音楽の力を借ります」
このように「keep going」はビジネスシーン以外の日常的にも多く使うことができる表現です。
他にも映画の名シーンには日常的に使えるフレーズがたくさん隠れていますので、ストーリーを楽しみつつ、フレーズを意識しながら自分だけのオリジナルフレーズ帳などを作成してみてはいかがでしょうか。
幾嶋研三郎:株式会社Globee 代表取締役社長。2015年3月に慶應義塾大学法学部卒業。2014年6月、大学在学中に株式会社Globeeを創業。英語学校の運営を通して、IT×英語教育の可能性を感じ、『学習量×学習効率の最大化』をミッションとしたAI英語学習アプリ「abceed」(現在登録ユーザー数300万人を突破)と、『学習支援効率の最大化』をミッションとした反転学習プラットフォーム「abceed for school」の開発を行う。
※今回ご紹介した『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』をはじめ、過去のミッションインポッシブルシリーズはabceedで配信中です。