男性の精子の質低下、女性6人に1人が不妊経験「2050年に約50%の出産支える」生殖医療・不妊治療テックで激戦

Apryl 不妊治療

有力ベンチャーキャピタルの「有望株」スタートアップとして名の挙がったアプリル(Apryl)共同創業者のジェニー・サフト氏(左)とトビアス・カウフホールド氏 。不妊治療サービスを従業員向け福利厚生として提供する。

Apryl

2023年5月、イギリスで3人のDNAを持つ赤ちゃんが初めて誕生した。

この画期的な試みには、遺伝子の突然変異に起因するミトコンドリア病(細胞内でエネルギーを産生するミトコンドリアの機能が低下することが原因で起こる難病)から子供たちを守る狙いがある。

イギリスでこの治療法を認める法改正が行われたのは、2015年2月のこと。世界での先行事例としては、7年前にアメリカ人医師がメキシコで同様の治療法を用い、女性が出産したケースがあるだけだ。

専門的には「ミトコンドリア置換法」と呼ばれ、治療を受ける女性の未受精卵の核(または治療を受けるカップルの受精卵の核)を、健康な女性から提供を受けた未受精卵(または健康なカップルから提供を受けた受精卵)に移植し、有害な突然変異のない受精卵をつくることで、遺伝的なミトコンドリアの機能障害を防ぐ。

何らかの医学的理由によって子供を持てない人たちは、こうした生殖医療技術の進歩を待ち望んでおり、出生率の低下による社会・経済的な機能不全が懸念される先進諸国においてはその意義も大きい。

世界保健機関(WHO)の推計によれば、世界では6人に1人が不妊問題を経験している。そのため、新たな生殖医療技術への需要が高まっており、それに比例してこの分野へのベンチャー投資が急速に増加している。

リチャージ・キャピタル(Recharge Capital)の元プラットフォームディレクター、カミラ・カソ氏は次のように述べる。

「出産年齢が高まっているのは周知の事実です。2050年までには、約50%のカップルが何らかのテクノロジーを使って出産するようになるでしょう」

Popular

あわせて読みたい

BUSINESS INSIDER JAPAN PRESS RELEASE - 取材の依頼などはこちらから送付して下さい

広告のお問い合わせ・媒体資料のお申し込み