ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)が撮影した最新画像が7月3日に公開された。これは、2つの銀河が衝突した様子を表している。
ESA/Webb, NASA & CSA, L. Armus, A. Evans
- ジェームズ・ウェッブ望遠鏡は、これまでに見たこともない画像を次々と撮影し、感動を与えてくれている。
- 最新の画像には、2つの銀河が衝突した痕跡が写されている。
- おそらく5億年前に起こったと思われるこの宇宙の衝突は、爆発的な星形成を引き起こした。
アメリカ航空宇宙局(NASA)は、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)が捉えた、およそ5億年前に起きた宇宙での衝突をかつてないほど詳細に捉えた驚くべき最新画像を公開した。
特異銀河「NGC3256」は、素人目には典型的な渦巻き銀河に見えるかもしれないが、形成期に大きな波乱があったことが分かる傷跡が残っている。
2023年7月3日にNASAがFlickrのJWSTアカウントに投稿した記事に「この歪んだ銀河は、おそらく5億年前に起こった2つの渦巻き銀河の正面衝突の残骸だろう」と記されている。
強力な赤外線カメラのおかげで、JWSTは地球から約1億2000万光年先にある銀河の中心部を覗き込むことができた。
ハッブル宇宙望遠鏡とジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が撮影した画像を基に作成されたGIFアニメ。
ESA/Webb, NASA & CSA, L. Armus, A. Evans, ESA/Hubble/Insider
一般的な渦巻き銀河は、整然とした渦巻きになっている。しかし、NGC3256は混沌としており、銀河の中心からは巻きひげ状のものが伸び、周辺は輝く塵や星から成る非常に明るい雲に囲まれている。これは、2つのガス雲が激しく衝突して合体し、星形成に必要な材料が生成されたことを示している。その結果「爆発的に星形成が進んだ」と欧州宇宙機関(ESA)はこの画像に関する声明で述べている。
これらの星は比較的若いため、「赤外線の波長で非常に明るく輝いている」という。JWSTの画像では、オレンジ色と赤色に明るく輝いていることが確認できる。
また、既存の星のほとんどは衝突を免れたが、一部は銀河からはじき出されたとNASAは説明している。それによって、明るいオレンジ色の塵を囲む濃い灰色の銀河ハローに「潮汐の尾」が生まれた。
一般的な銀河ハローは球体だが、上の画像では左上と右下の方向に伸びている。これは、星が放出された痕跡だ。
下の動画では、JWSTがNGC3256にズームインしていく様子を見ることができる。
科学者たちはこれらの画像を見ながら、2つの銀河が衝突したときに何が起こるのかについて研究していく。Space.comによると、これは、超巨大ブラックホールが太陽の何十億倍もの大きさに成長する謎を解く助けになるかもしれないという。