2012年のピューリッツァー賞受賞(調査報道部門)を喜ぶAP通信の記者たち。
AP
- 人工知能は今後数年で、非常に多くの仕事に影響を与えると見られている。
- 企業はテクノロジーを使うことができる人材を求めるだろうが、同時に、AIでは再現することのできないスキルも必要になるだろう。
- ソフト・スキルの重視は、経験を積んだ労働者にとっては良いことだが、一部のリモート・ワーカーたちにとって悪いことかもしれない。
人工知能(AI)があなたの仕事を奪うかもしれない。より正確に言えば、AIをうまく使いこなすZ世代があなたの仕事を奪うのかどうかが話題になっている。
だが、オックスフォード大学のある経済学者がInsiderに語ったところによると、AIブームの恩恵にあずかる労働者たちがほかにもいるという。それは、AIが再現することのできない、対人スキルを持ち合わせた労働者だ。
「自分の存在感を示すことができて、人間関係を築き、やる気にさせ、説得する能力のある人が、AI時代に成功する」とカール・ベネディクト・フレイ(Carl Benedikt Frey)は述べた。フレイは、2013年に共著した論文で、アメリカの仕事の47%が早ければ2020年代にもオートメーションに取って代わられる危険があると述べて大きな話題を呼んだ。
この論文が発表されてから10年が経った今、フレイは楽観的だ。彼は、生成AIの台頭がすぐさま大規模な置き換えにつながることはないだろうと考えている。だがフレイによると、AIによってオンライン業務が自動化されることで影響を受けやすいのはリモートの仕事であり、年齢の高い労働者たちの貴重な経験は自動化されることはないという。
オフィスで何年も働き、社会性やリーダーシップを培ってきたベテラン社員は、AIが「対面でのやりとりを重視する」ようになる世界に適している可能性があるとフレイは言う。
この未来では「管理職の経験が豊富な高齢労働者の方が有利である可能性が高い」という。
フレイや他の専門家らは、Z世代はおそらく問題ないだろうと考えている。若い世代はこれまでも、新たなテクノロジーをうまく受け入れてきたからだ。彼らは仕事で鍵となるAIツールの使い方を覚え、最終的にはうまく使いこなすことができるようになるはずだ。
だが、単にこうしたツールを使えるようになるだけでは不十分かもしれない。ChatGPTのようなAIツールが広く使われるようになり、執筆、コーディング、グラフィックデザインといった業界に公平な機会をもたらされ、競争が激化すると、若い労働者が抜きん出るためには、オフラインで冒険しなければならないかもしれない。
それはAIにはできないことがあるからだ。そこに、チームワークや創造性、適応力といったソフトスキルとともに、人間同士の交流が必要になる。
「生成AIは、オンライン上の対話であれば十分に再現することができる」とフレイは述べ、「バーチャルなコミュニケーションが多い」労働者は、よりオートメーションによる影響を受けやすいだろう、と付け加えた。
「リモートワークはオートメーションにさらされることになる」とフレイは述べた。
「一方、対面でのやり取りは、簡単に置き換えられるはずもなく、より貴重なスキルになるだろう」