燃え尽き症候群の対処には、「サバティカル休暇」という手もあり。その計画で考慮すべき3つのポイント

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定年退職だけが仕事から解放される唯一の方法ではない。

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  • パンデミックを経て、多くの人はある程度の燃え尽き症候群に陥っている。
  • 心身共にリセットが必要なら、サバティカル休暇の取得を考えてみよう。
  • そのためにはまず、休暇中の資金を算段したり、休暇の目的を定めたり、会社と掛け合ったりなどが必要だ。

コロナ禍の2年間は、多くの人にとってストレスの連続だった。友人や同僚、顧客はみな、ある程度の燃え尽き症候群に陥っている。

1~2週間のバケーションでは十分に回復できず、日々の業務から離れる必要性を感じていないだろうか? あるいはパンデミックを経験し、何が人生で大切なのか、どんなキャリアを歩みたいのか考え直してはいないだろうか? そんな時はサバティカル休暇を取ることをお勧めしたい。

サバティカル休暇とは、企業が一定年数勤めた従業員に長期休暇を与える制度だ。休暇期間は企業によって異なるが、基本的に1カ月から長い場合では2年超に及ぶ。

もともとはヨーロッパを始めとした地域で、主に大学教授に対して提供された制度だが、働き方の多様化やワークライフ・バランスが叫ばれるなか、一般企業にも浸透しつつある。その最大の特徴は、取得理由が問われないという点だ。

サバティカル休暇を計画する上で考慮すべき点をいくつか挙げてみよう。

1. 休暇中の資金手当てをする

サバティカル休暇中に給与を支給してくれる企業は少ないので、その間の生活費などを用意しておくことが必要だ。勤め先にサバティカル休暇の制度があるなら、制度を調べてみよう。全日空(ANA)ではサバティカル休暇中は無給だが、社会保険料は会社が負担してくれる。

次に、今の収入と出費を見直そう。生活費にいくらかかっているのか? 休暇中に旅行や留学を考えているなら、その費用はいくら必要だろうか? いくら貯金があるのか? 所得がない間にサポートしてくれる配偶者やパートナーはいるか? 扶養すべき子どもはいるか? サバティカル休暇に入るまでにできるだけ貯蓄しよう。

また、今の支出だけでなく、将来の資産形成への影響も考えておこう。サバティカル休暇の期間によって、リタイア後の所得が変わってくる。休暇を取らなければ得られた昇給やキャリアパスを事前に理解しておけば、判断を下すうえで役立つだろう。

2.休暇の使い方を決める

サバティカル休暇は基本的に過ごし方が自由だ。育児や介護に使っても構わないし、長年の夢だった語学留学や世界一周旅行に行っても良い。いや、どこかに行かなくても、ボランティアをしたり、資格試験の勉強に充てたりすることも可能だ。事前にどのような時間の使い方をするかを決めておけば、休暇を最大限活用できる。

結局のところ、なぜサバティカル休暇を取るのか、休暇中に何をしたいのかを決めるのはあなたなのだ。あらゆる可能性についてリストを作成し、よく考えて、絞り込んでいこう。その際は必要な費用や時間も考慮しよう。

どのような選択をしようとも、サバティカル休暇という機会を生かし、心身共にリラックスして復職後のキャリアアップや業務につなげよう。

3.あなただけの「有給」サバティカル休暇を作る

そうはいっても、サバティカル休暇を制度として設けている日本企業はまだ少ない。だが、パンデミックを経て、人々の仕事に対する考え方はがらりと変わった。サバティカル休暇を取りたいが会社に制度がなければ、上司に相談してみるのはどうだろうか。

なぜサバティカル休暇が必要なのか、どのタイミングが最適なのか、休暇を取ることで復職後のあなたのキャリアにどんなメリットがあるのか、上司にプレゼンしてみよう。特に新しいスキルを求めて勉強や留学のために休暇を取りたいなら、制度がなくても会社がサポートしてくれるかもしれない。

サバティカル(sabbatical)とは、ユダヤ教の安息日に由来する。ユダヤ教では、神が天地創造の7日目に休息を取ったという聖書の教えに基づき、金曜日の日没から土曜日の日没まで一切の労働を禁じている。なぜ聖書は人間に休むことを義務付けているのだろうか。

人生は長い。休みながら歩んでいくことも大事なことだ。

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