AWSのアダム・セリプスキーCEO。
Noah Berger/Getty Images for Amazon Web Services
アマゾン(Amazon)が直面している最大の課題は会社そのものかもしれない。
Insiderが入手した会議録によると、アマゾン ウェブ サービス(AWS)のアダム・セリプスキー(Adam Selispky)CEOは先月の社内スタッフ会議の際に、同社にとって今後3〜5年の最大の課題は何か、また夜眠れないほどの心配はあるかという質問に対して、そう答えた。
「強調する価値があるのは、我々自身についてだ。
これは時々言う冗談なのだが、私が最も深く恐れることは何か。朝起きて自分が大企業で働いていることに気づくことだ。我が社は大企業だが、大企業だとは感じたくない」
セリプスキーは続けた。
「我々が5年前、10年前、20年前と同じように行動し続ければ、我々のカルチャーを守り、我々が優先するものを守り、これからもこれまでと同じように素晴らしいものを顧客に提供できると確信している。だから問題は我々自身なのだ。問題は顧客だと人は言うが、私に言わせれば問題は我々自身だ。顧客のためにこれまでと同じことを続けられるかどうかは、我々自身にかかっているからだ」
アマゾンは成長鈍化だけでなく、慢心のカルチャー、すなわち「Day1」マインドセットの喪失をめぐって圧力に晒されている。「Day1」マインドセットとは、会社設立初日に存在したようなスピーディーでリスクを恐れない起業家精神のことだ。アマゾンは現在、大規模なコスト削減キャンペーンを実施しており、過去1年間で少なくとも2万7000人を解雇している。
Insiderの既報の通り、アマゾンは近年、従業員にいわゆる「Day2」マインドセットが忍び寄りつつあることに不満を抱いている。同社はそういった懸念に応えるために「ビルダーエクスペリエンス(創業者体験)」チームを新設したほどだ。アマゾンのアンディ・ジャシー(Andy Jassy)CEOが株主に向けた今年の年次書簡において(おそらく同社史上初めて)「Day1マインドセットを保ち続ける」と言わなかったことで、こういった懸念は募るばかりとなった。
アマゾンの広報担当者からはコメントを得られなかった。
セリプスキーは先月の会議で、「既得権益者」と「反乱者」の違いについて語ることでDay2カルチャーにそれとなく言及した。既得権益者は「持っているものを守ろうとする」が、反乱者は「創造的破壊や問題解決を望む」という。
セリプスキーは既得権益者的マインドセットについて、こう述べた。
「それがDay2カルチャーだ。非常にゆっくりとした嫌な感じで下降線をたどり始めることになる。反乱者になろう、創造的破壊を行おう、というメンタリティを保つことが非常に重要だ」
セリプスキーは従業員に対し、クリエイティブな精神を保つためには「立ち止まるな、そして満足するな」と言う。
「好奇心があれば、大丈夫だ。立ち止まらず、満足しなければ、大丈夫だ。ビルダーは立ち止まらないし、満足することもない。彼らは周囲の現状に満足しない。それに満足してしまったら、それを創造的に壊そうとするモチベーションが下がるからだ」
「以上のことを守れば我々は大丈夫だ。繰り返すが、我々がここにいるのは素晴らしい画期的なイノベーションを顧客に提供するためであり、我々は今後もそれを続けていく。AWSはそれを17年以上も続けているのだ」