他撮り写真共有アプリ「ポパラッチ」の元スタッフ4人がメタに採用されていたことが分かった。
Poparazzi
かつて広く浸透していた写真SNS「ポパラッチ(Poparazzi)」の開発を支えていた中核チームをメタ(Meta)が採用した。
ポパラッチは自撮りならぬ「他撮り」ともいうべき写真共有アプリで、ユーザーは自分では投稿できない代わりに友達の写真を撮って共有する。2021年にリリース後、一時はアップル(Apple)のApp Storeでアメリカ地域で1位にまでのぼり詰めたが、2023年に入ってサービスを終了している。
現在、エンジニアやCEOのアレックス・マー(Alex Ma)を含むポパラッチのスタッフ4人がメタの社員になっていることをInsiderは確認した。しかしこの件に詳しい関係者の話では、メタはポパラッチの資産を取得してはいないという。現時点でInsiderは、この件に関してこれ以上の詳細を掴めていない。
アレックスとオースティンのマー兄弟が共同で立ち上げたポパラッチは、ベンチャーキャピタル(VC)の関心も集め、ベンチマーク(Benchmark)のリードによるシリーズAで1500万ドル(約21億円、1ドル=140円換算)を調達した。ピッチブック(Pitchbook)のデータによると、2021年における同社のバリュエーションは1億2000万ドル(約168億円)と評価されていた。
ポパラッチはBeRealやLocketといったアプリと並んで、インスタグラム(Instagram)に代わるアプリとしてユーザーの支持を得て成長していた。2022年にはダウンロード数が500万を超えたことを同社が明かしたとテッククランチ(TechCrunch)が報じている。
マー兄弟はポパラッチ創業以前、2018年に音声SNSであるTTYLを共同創業している。クラブハウス(Clubhouse)とその成功に続いた数多の音声SNSが出回る数年前のことだ。TTYLは別途シードラウンドで200万ドル(約2億8000万円)を調達している。
ポパラッチを共同創業したオースティンとアレックスのマー兄弟。
Poparazzi
ポパラッチは華々しいリリースから2年後の4月28日、アプリの閉鎖をミディアム(Medium)で発表した。センサータワー(Sensor Tower)のデータによると、ポパラッチは2021年に110万人の月間アクティブユーザー(MAU)を集めていたが、その数は約3000人に減少していた。
アレックス・マーはミディアムの記事で次のように記している。
「私たちのポパラッチへ取り組みは、『人と人との真の結びつきを提供する』というシンプルな目標と共に4年前に始まった。ソーシャルメディアをめぐって高まる不安を打ち消すことができる、何か違うものを作り上げることに心を躍らせていた。週末の活動として始まったものが、想像していたよりもはるかに大きなものへと成長した。その過程で、何百万人もの人々が一緒に参加して、信頼できる誠実なオンラインコミュニティを築き上げた。そこでは、ソーシャルメディアの圧迫感がなくなり、友好的な関係を楽しむことができた」
ポパラッチのチームが、メタグループのどのアプリプロジェクトに割り当てられているのかはまだ不明だ。しかし、若い世代のユーザー、写真共有SNS、音声SNSをよく知るこのチームの経験を活かそうというメタの戦略的な動きであることは間違いない。特に、Twitterと競合する新しいSNS「Threads(スレッズ)」を持続力のある人気アプリに育てようと、メタとインスタグラムがギアチェンジしているこの状況ならばなおさらだ。
ポパラッチのスタッフの何人かは、以前インスタグラムとフェイスブック(Facebook)で同様の役職に就いていた。