資本金を1億円に減らして税制上の「中小企業」として再スタートを切ることを公表していた出前館が、2023年8月期第3四半期の決算を発表した。
赤字幅は縮小し、累計の営業損失は107億4600万円(前年同期は296億円6200万円)、純損失は106億6900万円(前年同期は295億3600万円)だった。
売上総利益率は22%に改善、コストカット進める
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売上高は384億2000万円。赤字幅縮小の背景には「売上原価の適正化や広告宣伝費のコントロール」(出前館)によって、営業費用を前年同期⽐78%の150億4100万円まで縮小したことがある。
これにより売上総利益率は前年同期の5%から22%まで改善した。
中でも広告宣伝費は、前年同期の38億9200万円から17億8800万円まで落としている。
ほかにも配達直営拠点を閉鎖し、コールセンター拠点を集約するなど固定費の削減にも努めたという。
出典:出前館2023年8月期第3四半期決算説明会資料
資本金は1億円に減資
また、資本金も公表していた通り、1億円になっていた(同社は減資は2023年6月22日から効力が発生するとしていた)。
同社は2021年にも資本金を1億円に減らしている。
資本金1億円超の法人を大企業とみなし、都道府県に法人事業税を納めるよう定めた「外形標準課税」の対象企業は、出前館のように減資する企業が増えたことなどにより、導入時に比べて約3分の2まで減少している。
政府の税制調査会は6月に4年ぶりにまとめた答申で、地方税収の安定化・税負担の公平性の観点から、課税対象から外れている「実質的に大規模な法人」を対象に、制度の見直しを検討すべきだと指摘している。