本記事の筆者で金融教育活動家の横川楓氏。
提供:ホリプロ
- 金融教育活動家として活躍する横川楓さんは、若いながら10年近いキャリアを持つ。
- 横川さんが、新NISAで意識しているのは、「柔軟性」と「気楽さ」だという。
- 30代前半女性のリアルな視点から、どんなふうに新NISAへ向き合うつもりか、寄稿してもらった。
若い世代の方々へお金の知識を普及する活動を始めて、もう10年近くになります。
個別株の株式投資はもちろんのこと、NISAやiDeCo、ポイント投資、ロボアドバイザー、1株投資などなど。私自身も新しいサービスや制度を活用し、多くの知識を身に着けてきました。それを記事にしたり、セミナーで講演したり、さまざまな形でのアドバイスに役立てているのです。
今の時代、貯蓄だけでは資産がなかなか増えません。投資をするなど自分で能動的にお金を増やしていくことは、とても大切なことです。
そんな私が新NISAについて、どんなふうに機会と捉えているか? 本記事では、私個人の投資についての価値観をお伝えしていこうと思います。
なお、この内容は、あくまでご参考に留めおいていただけると幸いです。実際に投資を行う際は、ご自身の人生感や投資スタイル、リスク許容度、資産状況を鑑みて「自分ならでは」の資産形成をしていただけたらと思います。
特に思い入れ深い「つみたてNISA」
NISA制度と言えば、私にとって特に思い入れが深いのが、現在の「つみたてNISA」です。この制度は、いまから5年前の2018年1月、新たに長期・分散・積立の投資三原則に適した投資を行えるものとして運用開始されました。
実はその前年に、金融庁の方からお声がけいただき、専門家として若い世代へつみたてNISAの訴求をするためのアドバイスをさせていただく機会があったのです。そのような活動を通して、制度開始前に若い世代や投資初心者の方々にとって、いかにつみたてNISAが好ましい制度なのかを、しっかりと理解することができました。
そうした経緯もあり、私自身も制度開始当初からつみたてNISAを運用しています。その銘柄選びで意識したポイントは、なんといってもいいバランスで分散することです。
初めはどのような商品がどんな動きをするのか、専門家としてチェックするために、いろいろな銘柄を購入したりもしました。ですが、今はいくつかの銘柄に絞って運用しています。おかげさまで、つみたてNISAを始めた2018年から一度もマイナスになることがなく、順調に運用できています。
新NISAにおける嬉しいポイント
一方で現行のNISA制度には、いくつかのネックもありました。
まずは年間の非課税枠の限度額。一般NISAは120万円で、つみたてNISAは40万円まででした。つみたてNISAの場合、月々に決まった金額を積み立てていくものですが、40万円を12カ月で割ると月3万3333円という中途半端な数字になるのです。
一般NISAとつみたてNISAの併用もできませんでした。そのため、つみたてNISAを利用している私は、個別株を購入する場合、課税口座を利用するしかなかったのです。
そして2024年から始まる新NISA。現行のNISA制度から大きく変更があり、より活用しやすい制度になります。
具体的な変更点はまず制度が恒久化し、非課税の期間も無期限となるということ。期間を気にせず非課税で投資を続けられるのは、とても嬉しいポイントです。
また、一般NISAが「成長投資枠」、つみたてNISAが「つみたて投資枠」となり、併用できるようになります。これにより、積立投資を行いながら株式投資もできるのも大きな変更点ですね。
加えて、年間の非課税枠の上限も成長投資枠(元一般NISA)が120万円から240万円と2倍に、つみたて投資枠(元つみたてNISA)が40万円から120万円と3倍に、大きく広がります。そして、非課税限度額も生涯で1800万円と大幅に増え、人生という大きな枠でNISAを活用できるようになりました。
一番意識するのは「柔軟性」と「気楽さ」
私自身が新NISAをどう活用していくかについては、普段どういうスタイルで投資に挑んでいるかにも関係します。私が一番意識しているのは「柔軟性」と「気楽さ」です。
まず、私は投資で資産形成をしていくことに前向きであり、できることは積極的にやっていきたいというスタンス。一方で多忙を極めており、日々値動きを追うような投資をしていくのは難しい……。加えて、正直今のライフスタイルのなか、全力で投資を行うのは面倒という気持ちもあります。
これはおそらく現役で働いている世代の方や、今投資以外にやりたいことがあるような若い世代は同じ感覚なのではないでしょうか?
仕事も全力で頑張って、趣味にもお金を使いたいし、もちろん今後の人生のためにもきちんと資産形成をしていきたい——。30代前半女性のリアルな視点としては、まずは気楽に、そして必要な時に必要なお金を柔軟に動かせるというのが大きなポイントです。
そこで新NISAでも、資産形成の土台として、つみたて投資枠でコツコツ手堅く気軽に投資。それとともに、成長投資枠で少し大きな資金を運用していくという、長期運用をメインにした投資スタイルを採っていきたいと考えています。
つみたて投資枠は、もちろん値動きの変動はあるにせよ、決まったタイミングで同じ金額を購入していくということもあり、感覚的には定期預金に近い感覚。基本的には放置でいいというのがやはり何よりも大きなポイントです。今回非課税枠が増えたことで、つみたて投資枠が気楽に挑める土台として頼もしくなったのは、ありがたいですね。
また、つみたて投資枠と成長投資枠が併用できるようになったことで、今まで課税口座で購入しなければならなかった個別株を非課税口座でも運用できるようになります。さらに、長期で保有することを目的とした個別株も新NISA制度の中で購入していこうと考えています。
投資をするすべての人が通る道に
基本方針として、手のかからない範囲でというのを第一に意識。そうしながら、今後の人生において、必要な時に売却して資金として活用できるように、長期的な目線で増やしていくことを目標にしたポートフォリオを意識して、新NISAに挑むつもりです。
普段いろいろな方とお話をしていても、最初積み立てで投資信託を購入しているうちに、ほかの投資に興味を持つようになり、個別株にもチャレンジしてみたいと思う方はとてもたくさんいらっしゃいます。新NISA制度では、非課税で個別株にもチャレンジできるようになるので、挑戦するハードルも下がるはず。
このように、新NISAになることで投資の幅がぐっと広がります。初心者として小さな金額で投資をスタートした人が、ちょっと慣れてきたから少し大きな金額を動かしてみようというステップアップを、新NISAという1つの制度の中で完結できるのです。
きっと新NISA制度は、投資をするすべての人が通る道となるでしょう。
初心者ならまずは100円投資からでも
最後に、一番大事なお話ですが、投資はあくまで余剰資金で行うもの。投資はどうしてもリスクがつきもので、必ず儲かると約束されたものは存在しません。なので、そもそも投資をする前にまずはしっかりと自分のお金の管理をすることが大事で、そのうえで貯金や投資に回すお金を作ることが必要です。
そして、まだ投資に回すお金があまりないという方で、いつ始めるか悩んでいる方もいらっしゃるかもしれません。もちろん手元の資金が全然ないのに全額投資に回すというのは絶対にNGです。でも、今は100円からでも始められる投資もあります。ぜひまずは少額で始めて、徐々に額を増やしていくなど、自分の資産の状況にあったスタイルで資産形成をしていってほしいなと思います。
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