「KOMEHYO SHIBUYA」が入居予定のビル。
撮影:土屋咲花
渋谷・井の頭通り沿い、ZARAの姉妹ブランド「ベルシュカ」の跡地で、パルコが運営する商業施設「ZERO GATE(ゼロ・ゲート)」に今秋、リユース大手・コメ兵の買い取り併設販売店「KOMEHYO SHIBUYA」が出店する。
ベルシュカ渋谷店は同ブランドの日本一号店だったが、コロナ禍の影響で運営元であるスペインのインディテックス社が出店戦略を変更し、2022年7月に閉店。それ以降、同ビルの後継のテナントは決まっていなかった。
低価格のファストファッションから一転し、高価格帯のブランド品が並ぶファッションビルに様変わりする。
若年層とインバウンド取り込む
コメ兵は買取専門店の出店強化を掲げる。
撮影:土屋咲花
KOMEHYO SHIBUYAは、ZERO GATEの1〜4階に入店する。井の頭通りとスペイン坂が交差する位置にある同ビルは、近隣にロフトやIKEAなどもあり、人の往来が盛んなエリアにある。
店舗面積は約733平方メートルに上り、買い取り併設の大型店舗として、11月中旬のオープンを予定している。
コメ兵ホールディングス(HD)の広報によると、KOMEHYOの主な顧客層は40~50代だが、渋谷店では将来の消費者層として取り込みを図っている若年層に加え、インバウンドを意識した商品構成を検討するという。
ファッション感度の高い若者をターゲットに、他店舗より洋服を多く扱う。銀座店では数千万円の商品も扱うが、 渋谷店では数万円~30万円前後の価格帯で、Z~Y世代の関心が高いブランドを中心とした洋服を充実させる計画という。年間売上目標は25億円を掲げる。
渋谷への再出店
ガラス壁面が特徴的な建物。取材日(7月13日)には、1階で古着屋が期間限定営業していた。
撮影:土屋咲花
コメ兵が渋谷に出店するのはこれが初めてではない。
2014年、今回の立地から徒歩5分程度離れた渋谷公園通り店を出店したが、駅から遠いことなどを理由に集客で苦戦し、2017年に閉店に追い込まれた苦い思い出がある。
今回はより人通りの多い井の頭通りに、当時の約1.4倍の面積で再出店する。
コメ兵の業績は好調だ。直近2023年3月期の連結決算は、コメ兵HD全体で売上高が前年比121%の861億1300万円で、KOMEHYOなどの売り上げを含むブランド・ファッション事業はその内の812億3400万円と大半を担う。営業利益は同139.1%増の51億6800万円だった。注力してきた個人買取が好調に推移し、在庫を潤沢に確保できているという。
環境意識の高まりや物価高の影響で注目度が高まるリユース市場。同社は「東京初進出の地でもあり、多様性溢れる渋谷で、多くのお客様に良質なリユース品に触れていただき、リユースの文化を根付かせていきたいと考えております」としている。