「バービー」が東南アジア2カ国で物議…ベトナムでは上映禁止に

2023年7月21日からアメリカで公開される映画『バービー』。

2023年7月21日からアメリカで公開される映画『バービー』の一場面。

Warner Bros. Pictures

  • 近日公開予定の映画『バービー』に登場する地図が、ベトナムとフィリピンで物議を醸している。
  • この地図には、中国が主権を主張する南シナ海の領域を示す「九段線」らしきものが描かれているように見えると言われている。
  • 配給会社のワーナー・ブラザースは、「この地図は子どもの描いたクレヨン画」のようなもので、「何らかの主張を意図したものではない」と述べている。

激しく争われている領有権の問題が政治の領域を飛び出し、プロモーションの真っただ中にある映画『バービー』に飛び火した。

この映画では南シナ海の領有権が争われている地域を漫画的に描写しており、そのことがベトナムとフィリピンの両国を怒らせてしまったのだ。

2023年7月3日付のベトナムの新聞『トゥオイチェー( Tuoi Tre )』が報じたところによると、ベトナムでは『バービー』の上映が禁止されたという。

映画の予告編では、バービー役のマーゴット・ロビー(Margot Robbie)が、中国が主張する南シナ海の領域を示す「九段線」を描いたような地図の前に立っている場面が見られる。

映画『バービー』の予告編のワンシーン。バービー役のマーゴット・ロビーの後ろに領有権が争われている地域に九段線を描いたような地図がある。

映画『バービー』の予告編のワンシーン。バービー役のマーゴット・ロビーの後ろに領有権が争われている地域に、中国が主張する領有権を示す九段線を描いたような地図がある。

Warner Bros.

この映画の配給会社であるワーナー・ブラザース・エンターテインメント(Warner Bros. Entertainment Inc.)は2023年7月6日、この地図は「子どもの描いたクレヨン画のようなもの」であり、「何らかの主張を意図したものではない」とエンターテインメント専門の業界紙『バラエティ(Variety)』に語っている。Insiderはワーナー・ブラザースにコメントを求めたが回答は得られなかった。

だが、ベトナムはこの説明を認めずに映画の上映禁止を支持したと『トゥオイチェー』は2023年7月8日に報じている。

一方、フィリピンの映画テレビ審査格付委員会(MTRCB)は、2023年7月12日の声明で、地図について2回の審査と法律の専門家を含む徹底的な協議を行った上で、映画『バービー』の上映を許可したと発表した。

MTRCBは、映画に登場する「漫画のような地図」を検討し、「争点となっているシーン」は、中国が主張する領有権を描いたものではないと確信していると声明で述べた。

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