まだ食べられるにも関わらず、食品が廃棄されてしまうフードロス問題。
環境省によると、令和3年度の食品ロスの発生量は約523万トンと推計されている。これは、世界中で飢餓に苦しむ人々に向けた食料支援量(2021年で年間約440万トン)を優に超えている。
廃棄されるはずだった食品で染めたエプロン
BF kitchen Apron-BF01 税込8250円
撮影:小野瀬わかな
そんな中、食品ロス削減に貢献するエコなエプロンを見つけた。食品や植物を加工した後に出る「のこり」を利用して染色しているエプロンだ。
カラーは「ブルーベリー」、「ワイン」、「ほうれん草」、「あずき」、「くり」、「ウーロン」の6色展開。
撮影:小野瀬わかな
いずれもキレイなパステルカラーで迷ったが、私はワインを購入してみた。ワインは、長野塩尻産メルローワインとして発酵させたあとのブドウで染められているとのこと。桜のようなやさしいピンク色に癒される。
肩紐がずれ落ちてくるストレスから解放
撮影:小野瀬わかな
私は敏感肌のため生地によってはチクチクしたり痒くなってしまったりするのだが、このエプロンは私でも心地よく使えている。
GOTS認証(有機栽培の原料を使用し、環境と社会に配慮して加工・流通されたことを示す)のオーガニックコットンを100パーセント使用しているらしい。
また、私はなで肩なのか、エプロンを着用すると肩紐がずれ落ちてしまうことが地味にストレスだった。しかしこのエプロンは、首掛け型となっているので肩紐がずれ落ちてこない。
首掛け部分の長さは縛る位置で調整できるし、ウエストの腰紐もあるので、153センチと身長が低い私でもぴったりとしたサイズ感で着られたのも嬉しいポイントだ。
正直エプロンに対するデザイン性やサイズ感は「小柄だから諦めるしかない」と諦めていた部分だったので、嬉しい誤算だった。エプロンがお気に入りだと、キッチンに立つのも楽しくなる。
アイロンがけは必須
撮影:小野瀬わかな
これはこのエプロンに限らず綿素材のエプロンであれば避けられないことなのだが、使用後や洗濯後は、シワが気になる。
そのためアイロンがけが必要なのが少々面倒かもしれない。洗濯表示によると、アイロンがけの際には当て布も必要とのことだ。
撮影:小野瀬わかな
「もったいない精神」が生み出したSDGsに対する取り組み
撮影:小野瀬わかな
このブランドを展開している企業を調べてみたところ、「ソーイング竹内」という兵庫県にある縫製加工場だった。
一般的に、縫製工場自らが商品企画を行なったり、ブランドを持っていたりすることは多くないので、正直驚いた。
販売サイトによると、創業者は戦争で父を亡くし、戦後の貧しい生活の経験があったことから、「もったいない精神」が根強かったという。
2000年代、まだエコバッグが今ほど一般的ではなかった頃に得意先からの依頼で生産を始めたというが、「社内でエコバッグを作るなら、自分たちも環境に配慮した生産工場でないといけないのでは?」と、環境問題への取り組みや地域との連携が強化されていったそう。
このエプロン一つとっても、ソーラーパネルの自家発電による電力を使用して製造されており、生産過程でどうしても出てしまう端切れ生地は、工業用機械部品や固形燃料にアップサイクルされているらしい。
さらにブランドタグには廃棄されるお米や使用した再生紙が、商品タグにはサトウキビを使用した再生紙が使用されているという徹底ぶり。
これらの取り組みが評価され、エコアクション21オブザイヤー2021ソーシャル部門で『金賞(環境大臣賞)』を受賞しているそうだ。
デザイン性や利便性、社会問題への配慮まで、製品づくりの至る所にこだわりが感じられるエプロン。作り手のストーリーを知ると、さらに愛着が湧いてきた。大切に使い続けたいと思う。
撮影:小野瀬わかな