Shopifyの創業者兼CEOのトビアス・リュトケ。
Reuters/Lucas Jackson
Shopify(ショッピファイ)は7月12日、従業員が会議に費やしているコストを計算するツールの導入を開始した。不必要な会議に参加することを防ぐ取り組みの一環だ。
ツールはGoogle Chromeの拡張機能で、12日から従業員への導入を開始した。従業員が会議を設定しようとすると、ツールはその会議が同僚の時間とコストをどれだけ奪うのかを算出する。ツールは算出のために、職種ごとの平均給与、出席者数、会議の時間を使っている。ある社員によれば、「高額なコストがかかる」会議を設定しても、特に何かを言われたりすることはないという。
カズ・ネジャティアン(Kaz Nejatian)COOは「Shopifyは職人と開発者のチームで、モノを作る人たちの時間は私たちのミッションにとって非常に貴重なものだ」と社内コミュニケーションツールに投稿している(Insiderも確認済み)。
「あなたのカレンダーは戦略であり、Meeting Cost Calculator(会議コスト計算機)は、会議の予定を調整したり、参加を承諾するために、あなたが情報に基づいた決定を下すことを手助けする。不必要な会議は断ることができ、出席する場合は効率的であることが確認できる」
Shopifyの広報担当者に追加の取材を求めたが、返答はない。
ネジャティアンCOOの投稿によると、このツールは2月に行われた社内イベント「Hack Days」のプロジェクトがきっかけとなって導入が決まった。社内コミュニケーションツールのアーカイブページを見れば、従業員はMeeting Cost Calculatorの詳細情報を知ることができるという。
「ツールが算出するコストは、正確なサイエンスというより知見に基づく推測に過ぎない。だが、フレンドリーな仕掛けでお互いが時間を効率的かつ意図的に使おうというのがこのツールの趣旨だ」とアーカイブには記されている。
「重要なことは金額ではない。大人数で繰り返し行われる会議は、古くから仕事カルチャーの一部になっている。私たちはそれに慣れ切っているため、12人が集まって毎週会議をしていても何とも思わないかもしれない。
Meeting Cost Calculatorはこうした現状に疑問を投げかけ、会議の必要性を再考し、より創造的なコラボレーションの方法を模索するよう促すためのものだ。不必要な会議を最小限に抑え、職人の時間を最適化するための、ちょっとした実験と考えてほしい」
さらに、このツールは「よく考えられたスケジューリングとより優れたタイムマネジメントのカルチャーを育む」こと、そして「Shopifyで働く人たちが利用者のための創造と、より重要な仕事に集中できるようにする」ことを意図しているという。
Meeting Cost Calculatorは、Shopifyが今年、仕事の時間と効率を最大化するために始めた一連の取り組みの最新のものだ。2023年1月、休暇から戻った従業員たちは、会社のトップが大人数の会議と、水曜日の会議をすべてキャンセルし、Slackの既存のチャンネルから従業員をすべて削除したことに気づいた。この一連の変更は「カオス・モンキー2023(Chaos Monkey 2023)」と呼ばれている。
ネジャティアンCOOが7月12日、社内コミュニケーションツールに投稿した文書によると、Shopify従業員が会議に費やした時間は、2022年と比較して2023年最初の5カ月で14%減少した。
「出席者の多い会議が繰り返し行われていることが、不必要な会議の最大の要因だ」
他のテック企業も、従業員が新製品開発に集中できるような方針を打ち出している。メタのマーク・ザッカーバーグCEOは2月、2023年を「効率化の年」と宣言した。
Shopifyの創業者兼CEOのトビアス・リュトケ(Tobi Lütke)は2023年1月、カオス・モンキーの開始時にInsider宛てのメールで、成長は人々が快適さから離れるときに起こると述べている。
「創業者ができるベストなことは引き算」とリュトケCEOは言う。
「物事を削除するよりも追加する方がずっと簡単。あることにYesと言うことは、その期間にできたかもしれない他のすべてのことにNoと言うこと。物事を追加すればするほど、できることは少なくなる。そうなると、現状維持に終始する人が増えてしまう」
Shopifyは他のやり方でも業務を合理化している。今年5月、従業員の20%をレイオフし、ロジスティクス事業を売却、ソフトウェア開発という「本業」に再び注力すると述べた。
Meeting Cost CalculatorについてのネジャティアンCOOの投稿の全文は以下のとおり。
「Shopifyは職人と開発者からなるチームであり、そうしたモノを作る人たちの時間は私たちのミッションにとって非常に貴重なものだ。あなたのカレンダーは戦略であり、Meeting Cost Calculator(会議コスト計算機)は、会議の予定を調整したり、参加を承諾するために、あなたが情報に基づいた決定を下すことを手助けする。不必要な会議は断ることができ、出席する場合は効率的であることが確認できる。
Chromeエクステンション(拡張機能)の導入は本日からスタートし、今週いっぱい行われる予定だ。インストールが完了すると、計算された会議コストがGoogleカレンダーのイベント内に直接表示されるようになる。ツールの詳細については、アーカイブページをチェックしてほしい。
また、このツールはShopifyでの多くのコラボレーションの結果であることも伝えておく必要がある。もともとは2月のHack Daysのプロジェクトで、会議削減のための価値ある社内ツールへと進化し、また、Hack Daysがいかにインパクトのあるものになり得るかを示す新たな事例となった。ちなみに、次回のHack Daysは目前、プロジェクトに参加する、あるいはプロジェクトを作る絶好のタイミングだ!
ツールについての補足説明:
・計算ツールは、職種ごとの平均給与データ、出席者数、会議の時間を参照することで機能している。
・出席者の多い会議が繰り返し行われていることが、不必要な会議の最大の要因。
・1人あたりの平均会議時間は、今年の最初の5カ月で14%減少(昨年との比較)。非常に良い結果になっている!