ブレナンとエリンのシュラグバウム夫妻は、資金の大半をインデックス・ファンドに投資している。
Courtesy of Brennan and Erin Schlagbaum
ブレナンとエリンのシュラグバウム夫妻は、株式市場への投資に関してシンプルなやり方を好む。そして、彼らのアプローチはこれまで成功し続けている。
資産形成を本格的に始める以前、シュラグバウム夫妻は23万4000ドル(約3276万円、1ドル=140円換算)の住宅ローンなど30万ドル(約4200万円)以上の借金を返済するのに5年を費やした。そして、借金がなくなって投資を開始できるようになると、インデックス・ファンドにほぼすべてをつぎ込んだ。2021年8月のことだ。
Insiderは、彼らの純資産が2022年10月に100万ドル(約1億4000万円)を超えていたことを口座残高のスクリーンショットを見て確認しているが、現在はそれが200万ドル(約2億8000万円)に迫りつつあるという。彼らの資産のかなりの部分を占めるのが、テキサス州アーリントンにある新居だ。住宅ローンの支払いなしで暮らせるよう、2023年に49万5000ドル(約6930万円)で購入したものだ。
しかし、資産の50%以上は市場に投資されている。
Insiderは、公認会計士の資格を持ち、金融リテラシー会社Budgetdogを経営するブレナン氏に、彼の投資戦略、株式ポートフォリオで保有している投資対象、株式市場以外への分散投資について聞いた。
株式ポートフォリオはインデックスファンドとメタ株
シュラグバウム夫妻は、4つの退職金専用口座、医療貯蓄口座、証券口座など、さまざまな投資口座を駆使するが、各口座での投資内容は非常に似ている。「これら1つひとつの口座のすべてで、ほぼ同じ組み合わせにしている」とブレナン氏は語る。
投資口座を開設すると、資金を投資する方法を選択できる。株式、債券、投資信託、上場投資信託(ETF)など、さまざまな投資商品の売買が可能だ。
たいていの場合、特定のテーマに沿って幅広い株式を投資対象とする一種の投資信託、インデックス・ファンドを選ぶとブレナン氏は語る。これらはパッシブ運用のため、管理手数料は低くなる傾向にある。
彼は現在、バンガード・トータル・ストック・マーケット・インデックス・ファンド(Vanguard Total Stock Market Index Fund、VTSAX)、バンガード・トータル・インターナショナル・ストック・インデックス・ファンド(Vanguard Total International Stock Index Fund、VTIAX)、バンガード・エマージング・マーケット・ストック・インデックス・ファンド(Vanguard Emerging Markets Stock Index Fund、VEMAX)という3本のインデックス・ファンドを投資対象として選択している。
マーケット・インデックス・ファンドは広範囲をカバーして本質的に多様性があることから気に入っているという。例えばVTSAXは、投資家にアメリカの株式市場全体へのエクスポージャーを提供するように作られている。
シュラグバウム夫妻は娘とともにテキサスに住んでいる。
Courtesy of Brennan and Erin Schlagbaum
彼らの資金の95%以上は、これら3本のファンドに投資されている。
残りはある個別株に投資している。メタ・プラットフォームズ(Meta Platforms)だ。
「通常は個別株を買わないのですが、メタについては長期的に非常に強気です。97ドルまで下落したのを見た時、買うのを悩む必要はないと思いました」
2022年10月にメタ株を97ドルで購入したブレナン氏はこう話す。彼は単に直感でこの株式を選んだのではない。
「かなり深く研究しました。フォーム10-Kは隅々まで読んでいます」と、アメリカ証券取引委員会(SEC)が上場企業に毎年提出を要求する書類に触れた。これにより同社の財務概要が把握できる。
「テクニカル分析に基づいて購入するのに最適な時期だと考え、ポートフォリオの2.5%を投資することに決めました。これは良い比率です。それほどリスクはなく、アップサイドの可能性を確保できる」
結局のところ、それは良い投資になった。
「97ドルで買ったメタ株は現在、ほぼ300ドルです。まさにこのような収益を望んでいたのですが、いつもそううまくいくとは限りません。水晶玉を持っているわけではありませんからね」
彼はすぐにこのメタ株を売るつもりはない。31歳の彼は、個々の株式に関しても長期的に考える。「10年以上保有するつもりです」と彼は話す。
ブレナン氏は2021年に公認会計士の仕事を辞め、自分の事業に専念している。
Courtesy of Brennan Schlagbaum
「投資を始めようとしている人には、個々の株式についての知識がなくて当然です。知識を得るのは大変な苦労が伴いますが、財産を築くには必要のないことです。実際、最高の投資家たちは、ポートフォリオの大部分にETFとインデックス・ファンドを組み入れています」
ブレナン氏は、自分の会社が軌道に乗り、収入が大幅に増加したので、少しくらいのリスクを取るのには抵抗がないと語る。
「私のポートフォリオの大部分は3本のインデックス・ファンドで構成されていますが、金銭的な自由を得るという観点から目標を高くしたことで、もう少しリスクを取りたいと考えました。それはリスクとは非対称的な報酬を得ることです。だから私は暗号資産に加えて、個別の株式も保有したかった。暗号資産はビットコインとイーサリアムを保有しています」
暗号資産(仮想通貨)の保有額もまた、ポートフォリオ全体から見ればごくわずかにとどめている。暗号資産のようなリスクの高い投資商品に関する彼の哲学は「たとえ100%を失っても、打撃を受けることがない」程度の少額を購入することだという。
不動産によるポートフォリオの多様化
最近まで、夫妻の純資産は主に株式市場への投資と所有する住居から成っていた。
ブレナン氏は最高水準の富裕層がどのように資金を投資するかを調べ、「彼らの投資先は株式市場、事業、不動産の3つだ」と結論付けた。
「私たちは株式市場への投資をしています。事業も手掛けており、ゆくゆくは事業を買収したいとも考えています。唯一欠けていたのは、自宅以外の不動産でした」
ブレナン氏は2023年に初めて不動産シンジケーションに投資した。これは、不動産を購入するために投資家たちが共同出資するものだ。資金を拠出した後、購入物件における投資家たちの役割は完全に受動的なものになる。一方、不動産シンジケート運営者は物件を探し出して、投資を得て、最終的には投資家に利益をもたらす責任を負う。
フルタイムで事業を経営し、秋に2人目の子どもが生まれる予定のブレナン氏は、この投資形態は好ましいと考えている。
「これは完全に受動的に不動産投資を行う方法です。何もする必要がありません。本当に求めていたアプローチです。賃貸もやってみたかったのですが、私たちには大変すぎました」
不動産シンジケーションが加わったが、ブレナン氏は「投資戦略の多くは変わることがありません」と言う。
彼は次のように考える。財産を築きたいのなら、結局のところ「複雑にしなくてよいのです。戦略を変え続ける必要はありません」と。