Samantha Delouya
- テスラのサイバートラックが、予定より2年遅れてようやく生産を開始する。
- テスラのCEOイーロン・マスクは、実現に何年もかかるようなハードルの高い約束をすることで知られている。
- 彼のまだ達成されていないプロジェクトには、完全自動走行のテスラや「万能」アプリXなどがある。
約束を守ると言う点では、イーロン・マスク(Elon Musk)はそれほど素晴らしい実績を持っているわけではないと言っていいだろう。つい先日の2023年7月半ば、テスラ(Tesla)はテキサス州のギガファクトリーで同社の電動ピックアップトラック、サイバートラック(Cybertruck)の生産をついに開始したが、これはプロトタイプ(試作車)の発表から4年経っており、当初の予定から2年遅れている。
イーロン・マスクが約束しているのにも関わらず、時期が遅れたり、提供できていないものはこの電動トラックだけではない。ここでは彼がまだ実現していない他の6つのプロジェクトを紹介する。
完全自動運転のテスラ
2016年、イーロン・マスクはテスラのユーザーが陸続きならどこからでも自動運転で車を呼び寄せる「スマートサモン(召喚)」(2023年現在はまだベータ版)を利用できるようになるまで、あと2年だと述べた。Inverseの報道によると、マスクは2017年、自動運転のテスラが乗客が眠っている間にアメリカを横断するにはあと2年しかかからないと断言し、その約束をさらに大きなものにした。
テスラは現在、「先進運転支援システム」と定義している「オートパイロット機能」を採用している。だが、テスラによると、運転手は「十分に注意を払い」、ハンドルに手をかけて、「いつでも運転を引き継ぐ準備をしておく」必要があるという。信号機や一時停止標識を認識して車を制御する機能はまだベータ版で、安全のためには運転手の注意が必要だと同社は述べている。
100万ドルのロボタクシー
2019年にテスラが開催した「テスラ・オートノミー・インベスター・デー(Tesla Autonomy Investor Day)」で、2020年中に100万台以上の「ロボタクシー」を同社が実現するとマスクが語ったとCNBCは報じた。
CNBCによると、マスクは投資家たちに対し、「2020年、テスラの自動運転ロボットタクシーが運行するという予測について、私は非常に自信を持っている」と語ったという。
「どこでも規制当局の認可が下りるわけではないが、2020年には少なくともどこかで規制当局の認可が下りると確信している」
カーシェアリングや「タクシー」テスラに関する彼の計画は、2016年の「マスタープラン、パート2(Master Plan, Part Deux)」で初めて提案され、所有者が使用していない時には自動運転のテスラをレンタルできるとマスクは話している。
しかし現在、ロボタクシーはまだ一台も使われていない。
ハイパーループ・システム
マスクは2013年、時速760マイル(約1223km/h)で移動できるハイパーループ・システム(Hyperloop system)のアイデアを初めて発表した。
2017年、マスクはニューヨーク、フィラデルフィア、ボルチモア、ワシントンDCを結ぶ地下トンネル「ハイパーループ(Hyperloop)」について「政府の口頭承認」を得たとツイッター(Twitter)に投稿した。この路線は、「ニューヨーク、ワシントンDC間を29分で結ぶ」と彼は書いている。
しかしながら、マスクの設立したインフラ・トンネル建設サービス企業、ボーリング・カンパニー(The Boring Company)は、2021年、ワシントンDCとロサンゼルスにトンネルを建設する計画をウェブサイトから削除した。2022年10月、ザ・ヴァージ(The Verge)は、マスクが南カリフォルニアに建設していたハイパーループは、スペースX(SpaceX)の従業員用の駐車場になっていたと報じている。
万能ソーシャル・メディア・アプリ「X」
マスクは2022年、ツイッターの買収は万能アプリ「X」の誕生を「加速させるものだ」とツイッターに投稿した。彼はツイッターがアプリXの製造を3年から5年早めるだろうと見積もっていた。
マスクは、中国発祥のインスタントメッセージングアプリ「WeChat」からのインスピレーションを挙げ、ブロックチェーンシステム上にアプリを構築する計画について言及しているが、この「スーパーアプリ」Xが、具体的にどのようなものかは依然として不明だ。彼はまた、言論の自由を重視すること、ボットによる偽ユーザーへの対抗することを強調し、興味深い目標でもあるがツイッター・ブルー(Twitter Blue)のようなサブスクリプションモデルの可能性にも言及している。だが、2022年11月、マスクが「ツイッター上ではコメディは合法だ」と宣言したわずか数日後に、言論の自由を利用して彼を揶揄していたアカウントを停止したとタイム(Time)は報じている。
マスクは以前にもツイッター上の「ボット」の排除に失敗したことがあり、正規のアカウントや、不適切なコンテンツ管理ツールを使用していた「巨大」通信事業者までもブロックしてしまっている。
このアプリXの開発計画は曖昧なままとなっている。
スペースX、大気から二酸化炭素を取り出してロケット燃料を製造
マスクは2021年、スペースXが大気中の二酸化炭素を使用可能なロケット燃料に変換するプログラムを開始するとツイートした。
「もし興味があれば参加して」と彼はツイートに続けた。その後のツイートには、「火星にとっても重要になるだろう」と書きこんでいた。
この技術は可能なものであり、シンシナティ大学(University of Cincinnati)を含む研究者たちによって開発中であるにも関わらず、それ以来、このプログラムに関する更新はない。
週に1000個のソーラールーフを生産
マスクはまた、テスラが2016年にマスクのいとこ2人が経営する太陽光発電設置会社ソーラーシティ(SolarCity)を買収した後、さらに迅速にソーラーパネルを設置すると話したとCNBCは報じている。
「生産ラインを急速に増強している」とマスクは2019年7月にツイートした。
「2019年末までに、週に約1000個のソーラールーフを製造したいと考えていいる」
また、最も生産性が高かったという2022年でもテスラのソーラーシステムの設置数は、週平均でわずか21件だったとCNBCは報じている。2022年の第1四半期の設置ピーク時でも週平均32件にとどまったといい、これは最も多かった時期でもマスクの目標のわずか3.2%だったことを意味する。
通常の営業時間外にテスラにコメントを求めたがすぐには回答は得られなかった。