ロシア連邦議会で年次演説を行うプーチン大統領。
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- ロシアはカールスバーグとダノンのロシア法人を差し押さえ、西側諸国との経済戦争をエスカレートさせた。
- これは、4月にクレムリンが政令を発表して以来2度目となる西側資産の差し押さえだ。
- この動きは、ロシアに課された西側の制裁に対する報復のひとつの形だ。
ロシアは西側諸国との経済戦争をエスカレートさせ、デンマークのビール会社カールスバーグ(Carlsberg)とフランスの食品会社ダノン(Danone)の資産を差し押さえた。
7月16日にロシアのプーチン大統領が署名した大統領令によれば、両社のロシア事業は現在、政府の一時的な管理下にある。
このような欧米の資産の差し押さえは、4月にドイツのユニパー(Uniper)とフィンランドのフォータム(Fortum)が所有する公共事業の買収を許可した大統領令以来、2度目となる。
カールスバーグとダノンはともに、ロシアに拠点を置く事業の所有権を譲渡することで、ロシアからの撤退を目指していた。両社が差し押さえられた時点で、カールスバーグはすでに買い手候補を見つけており、先月、この取引はロシア政府の承認待ちだと述べていた。
「カールスバーグ・グループは、ロシアの法令に従って事業を展開しており、今回の事態は予期せぬものだ」と同社は声明で述べ、「カールスバーグ・グループは、この事態の法的・経営的影響を評価し、必要な対応をとる」と付け加えている。
一方、ダノンは「現在、状況を調査中」で、「ダノン・ロシアの株主としての権利と事業の継続性を守る」ための措置を講じると述べた。
欧米企業のロシアからの流出を遅らせるため、クレムリンは以前、現地事業を売却しようとする企業に対し、大幅な割引と出国税の支払いを義務付けていた。
しかし、最近の西側資産の差し押さえは、2022年にウクライナ戦争を理由にロシアに懲罰的な制裁を課した西側との経済戦争がエスカレートし続けていることを示唆している。ロシアはまた、エネルギー供給を武器化するために、主要な石油とガスの供給を遮断している。
エール大学経営大学院の調査によると、現在もロシアで積極的にビジネスを展開している大手多国籍企業は約400社。一方、この調査に参加した主要企業のうち、523社はロシアから永久に撤退し、503社は一時的に事業を停止している。