各施設で特色あるサービスを提供する「星のや」。
グランピングリゾートが楽しめる「星のや富士」で、「命と食を学ぶ狩猟体験ツアー」が開催される。
狩猟から鹿の解体まで
星のや
ツアーは朝8時から開始され、狩猟に精通する地元の猟師とともに「星のや富士」がある富士五湖周辺の森に入り、罠で鹿や猪を捕獲する。
放血や温度管理など、捕獲した動物をジビエとして食すまでの過程を学ぶことができるほか、鹿の解体も体験可能だ。
狩猟体験のあとは、「狩猟肉(ジビエ)ディナー」が提供される。屋外の会場で、アウトドアに精通したグランピングマスターに教わりながら、ダッチオーブンを使って調理の仕上げを行う。
鹿や猪は山中で天然の植物などを食べているため、季節によって肉の味も変わるというから驚きだ。ツアーが行われる秋に入ると、どんぐりなどの木の実を食べており脂を蓄えてとても美味しくなるそう。
鹿革は「甲州印伝」で小物に加工
星のや
狩猟体験の翌日は、鹿革の加工技術である「甲州印伝」のワークショップも用意されている。
「甲州印伝」とは、色を染めた鹿革にさまざまな柄の型を用いて漆付けを行う手法。伝統工芸士のレクチャーのもと、体験することができる。
星のやオリジナルの型を使用して漆付けした革は、希望の小物に加工され、自宅に郵送されてくる。小物を見れば、星のやでの学びを思い出すだろう。
獲られた鹿や猪の9割が廃棄
星のや
「星のや富士」のある富士北麓は、自然が豊かで食料が豊富、かつ人の立ち入りも少ないことから猪や鹿などの数が増加し、周囲の農産物に被害を与えている。こうした「獣害」から周辺環境を守るために県が作成した計画に従い、猟師が狩猟を行っているが、捕獲された9割が食されたり、加工されたりすることなく廃棄されているそうだ。
いただいた命を最大限活用しきれていない地域課題を考え直すための取り組みが、「狩猟肉(ジビエ)ディナー」や「甲州印伝」の講座というわけだ。
ツアーは2023年10月6日、11月3日、12月1日の全3回開催を予定。1日1組限定で、1名 10万8000円(宿泊料別)と高額だが、豊かな自然の中で「命をいただくこと」を考え直すきっかけになりそうだ。