NAVER傘下のワークスモバイルが開発する「LINE WORKS」と「freee」の人事労務機能が連携する。
出典:ワークスモバイル
ビジネスチャット「LINE WORKS」(ラインワークス)を運営するワークスモバイルと、クラウド会計ソフトなどを提供するfreee(フリー)が7月20日に協業を発表した。
協業内容は大きく分けて2つ。1点目はLINE WORKSのアプリ連携機能を使って、freee人事労務の各種機能をLINE WORKSで使えるようになること。
2点目はfreeeのWebページや両社共通の代理店で、前述の連携機能を含めたソリューションを販促をすることだ。
チャットで勤怠記録、今後は承認者向け機能も
「チャットで勤怠(freee勤怠管理)」のイメージ図。
出典:freee
今回、ワークスモバイルとfreeeが発表した連携機能は「チャットで勤怠(freee勤怠管理)」という名称で、LINE WORKSのアプリディレクトリに公開された。
チャットで勤怠(freee勤怠管理)では、LINE WORKSのチャット画面で打刻忘れの防止通知を受けたり、修正など各種申請ページへジャンプしたりできる。
人事労務の担当者や管理者、社員の業務効率化を図る。
出典:freee
また、7月〜8月下旬までのアップデートによって、従業員への打刻忘れ通知や、管理・労務担当者向け機能としてLINE WORKS上での申請承認機能なども実装される予定だ。
いずれの機能もfreeeのプラットフォーム上ですでに提供されていた機能ではあるが、LINE WORKS上でチャットベースで操作できるようにすることで、労務業務の効率化につながる。
2024年4月に改正労働基準法の猶予措置が終了
freeeは独自調査の結果から、3業界の労務担当者負荷が増えていると話す。
出典:freee
今回両社が協業に至った背景には、2019年4月から順次適用された改正労働基準法による時間外労働時間上限に関する猶予措置が終わることが挙げられる。
運送業などでは「2024年問題」などとも言われるが、2024年4月1日からは改正法適用から5年間の猶予が与えられていた4業態でも、年間960時間の時間外労働時間(休日労働を含めず)などの上限が設けられる。
- 工作物の建設の事業
- 自動車運転の業務
- 医業に従事する医師
- 鹿児島県及び沖縄県における砂糖を製造する事業
ワークスモバイルとfreeeはそのうち医療、建設、運送業界の3つに着目。改正法への対応が迫られている企業の労務管理のデジタル化や通常業務の効率化のニーズを狙う。
LINE WORKSは「LINEに使い勝手が似ている」という点を含めて評価を受けている。
出典:ワークスモバイル
LINE WORKSは国内最大級のチャットサービス「LINE」と酷似した外観で介護、建設、運送業界で一定の評価を集めている。国内導入企業は43万社を超えており、フリープランでは学校やPTA活動、非営利団体への導入例もある。
LINE WORKSとfreeeは両社とも外部のサービスと積極的につなげていくオープンプラットフォーム戦略を持っており、今回の「チャットで勤怠」のような仕組みは、他の事業者などとも行なっている。
ただし、共通の代理店での販促施策や、freee自体がワークスモバイルの販売代理業務を行う点は今までにない施策になる。
20日の記者向け説明会に登壇したfreeeの新規事業開発担当・⻑澤拓馬氏は「(3業界)だけではなく、ノンリスクワーカー、常にPCを開いている人以外の方々はすべてターゲットだと思っている」と意欲を見せた。