3D住宅「ルーン」の完成予想図。
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- 住宅建設大手のレナーと3Dプリント建設のスタートアップであるアイコンは、テキサス州で100棟の3Dプリント住宅からなるコミュニティを建設している。
- 完成すれば、3Dプリント住宅で構成される世界最大のコミュニティになる。
- 187平方メートルのモデルハウスの完成予想図を見てみよう。
未来はすぐそこにある。3Dプリンターで作られた住宅が立ち並ぶコミュニティに住むとどのような暮らしができるのか、その一端を垣間見ることができるようになった。
住宅建設大手のレナー(Lennar)と3Dプリント建設のスタートアップであるアイコン(Icon)は現在、世界最大のプリント住宅コミュニティをテキサス州オースティンのすぐ北、ジョージタウンで建設中だ。この100棟の住宅地が完成すれば、マスタープラン・コミュニティの「ウルフランチ」の延長として機能することになる。
まだ建設中ではあるが、これらの住宅がどれほど未来的なものなのかを空想する必要はなくなった。アイコンが、このコミュニティの最初のモデルハウスの完成予想図を公開したので見てみよう。
3Dプリント住宅に馴染みのない人にとっては、驚くほど普通の家に見えるかもしれない
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従来の工法の代わりに3Dプリンターを使うことで、建築業者やデザイナーは曲線の壁やユニークなデザインで遊ぶことができる。とはいえ、ウルフランチの住宅は、我々が慣れ親しんでいる住宅のスタイルと見た目はあまり変わらない。
これらの住宅は、アイコンの長年の建築協力者であるビャルケ・インゲルス・グループ(Bjarke Ingels Group:BIG)とともに設計された
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アイコンが手掛けた3D建築のポートフォリオには、186平方メートルの高級住宅から、グランピング施設、ホテル、住宅、スパに至るまで、すでにさまざまな建築物が含まれている。
100棟の住宅は、間取りによって8つのタイプがある
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サイズは、最少が146平方メートルの3ベッドルームで、最大が196平方メートルの4ベッドルームとなっている。
これまでに10戸が売りに出され、6戸がまだ残っている
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残っている住宅の価格は47万5990ドル(約6700万円)から58万7990ドル(約8200万円)。
アイコンとレナーはプリント作業の3分の1以上を完了したと、アイコンの広報担当者がInsiderに宛てたメールに記している
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3Dプリンターでは、住宅の壁だけが施工される。100戸のうち、現在80戸が建設中だ。
アイコンはコミュニティ初となるモデルハウスの画像を公開した
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この「ルーン」というタイプは、面積187平方メートルで3ベッドルーム、2バスルームという間取りだ。
ルーンの価格はまだ公表されておらず、しばらくは売りに出されないと広報担当者は述べている
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しかし、同じく3ベッドルーム、2バスルームで、面積は185平方メートルと若干小型の「ノーラ」は58万7990ドル(約8200万円)からとなっていることから、ルーンはそれよりも高価になると考えられる。
他のモダンな住宅と同様、ルーンの間取りは、オープンなリビングとキッチンが、屋根付きパティオに面して配置されている
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間取り図によると、専用パティオとバスルーム、ウォークインクローゼットを備えたメインベッドルームは、玄関から最も離れた建物の端にある。
あと2つのベッドルームは、玄関と車2台分のガレージの近くに配置されている
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この2つのベッドルームの間には、もう1つのバスルームとランドリールームがある。
この家は明るく、モダンで、風通しがよく、3Dプリントされた部分を惜しみなく見せている
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壁に見られる層状の模様は、3Dプリントによるものだ。
壁は一風変わっているが、ルーンは従来の工法で建てられた住宅と同じように見える
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郊外の住宅の象徴とも言える小さなフロントヤードやラウンジチェア、ガレージが、この家にも備わっている。
レンガとモルタルを用いるのは、過去の建築方法になった
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このコミュニティ建設のために、アイコンは同社のロボット・プリンター・システム「バルカン」を使用している。このプリンターから「ラバクリート」という独自の「高強度」コンクリートが絞り出され、それが固まって壁になる。
3Dプリンターを用いることで、住宅建設に必要な時間、コスト、労働力、材料を削減できる
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3Dプリント建築の支持者は、こうした利点を取り上げ、3Dプリンターが従来の建築プロセスの課題解消につながるとしている。
しかし現時点では、ほとんどの3Dプリント住宅のコスト削減効果はまだわずかだ
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より多くの建設会社やスタートアップが3Dプリンターを導入するまでは、おそらくこのままだろう。
Iconの共同創業者でCEOのジェイソン・バラード(Jason Ballard)は、2022年にInsiderにこう語った。
「私はよくない世界を素早く、安く作りたいわけではない。よりよい世界を素早く、安く作りたいのだ」
バラードは、3Dプリンターの普及を確信しており、いつの日か都市は「ロボットとドローン」で建設されるようになると考えている
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この100棟の住宅開発は、大規模なロボット建設に向けた取り組みの始まりになるとバラードは言う。
しかしこのコミュニティは、空飛ぶロボットが得体の知れない家を建てるアニメ『宇宙家族ジェットソン』で描かれたような世界にはならないだろう
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他の近代的なマスタープラン地区と同様、ウルフランチにもプール、散策路、公園がある。住宅自体にはソーラーパネル、スマートサーモスタット、セキュリティカメラ付きドアベルが設置される。
最初の住民は2023年9月に入居する予定だ
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ウルフランチ全体の完成予定日は未定となっている。