カミーユ(左)とジョーのスピネッリ夫妻。
Camille Spinelli
カミーユ・スピネッリ(Camille Spinelli)氏が裕福になる確率は、そう高いものではなかった。
バージニア州北部の貧しい環境で育った彼女は、高校を1年生のときに中退する。しかし、彼女は常に経済的自由を手に入れようと考えていた。例えば、彼女は起業家的な志向から、ジュースバーをオープンさせたこともあった。しかし、長い労働時間に見合うだけの利益が得られなかったため、最終的には売却した。
ジュースは経済的自立への切符にはならなかったが、不動産投資は成功した。Insiderが確認した税務書類によると、スピネッリ氏と夫のジョー(Joe)氏は5年間で26戸の不動産ポートフォリオを構築した。それらの物件は経費を差し引いても毎月1万ドル(約140万円=1ドル140円換算)以上のキャッシュフローを生み出していることが記録されている。
「不動産投資なんて私にはできない、それはお金持ちだけがするものだと思っていました。今いる場所に留まっていてはいけません。私にできるのだから、誰にでもできます」
スピネッリ氏が不動産投資を始めたのは偶然だった。2009年、彼女は12万ドル(約1680万円)の家を3.75%(4500ドル、約63万円)の頭金で購入した。不確実な経済環境に直面しても住宅ローンの支払いを確実に行いたいと考えた彼女は、家の3部屋を貸し出した。ハウスハッキングと呼ばれる戦略だ。
彼女はジュースバーを経営している間、副収入源としてその家を貸し続けたが、全面的に不動産投資に乗り出すことを決めたのは、2018年にジュースバーの事業を売却してからだった。そして彼女は、本に書かれているほぼすべての戦略を使って規模を拡大してきた。
5年間で物件を1戸から26戸へ
まず、事業の売却益をサウスカロライナ州マートルビーチのコンドミニアムにつぎ込み、貸し始めた。
次に、彼女は夫とともにクレジットカードを使って6万ドル(約840万円)の家を購入した。高金利で借金がすぐに膨らむことを考えると、これは危険な戦略かもしれないが、少なくとも12カ月間金利ゼロのカードを使った。クレジットカードを使って家を購入するために、彼らはFund & Growという会社のサービスを利用した。複数のクレジットカードで多額のローンを組めるようにするものだ。そして、Plastiqという決済プラットフォームを使い、お金を送金して家を購入した。
スピネッリ夫妻はすぐに家賃収入で借金の返済を始めた。1年半後、物件は6万ドルから8万5000ドル(約1190万円)に値上がりし、彼らは借り換えで6万ドルをキャッシュアウトすることができた。そして、そのうちの4万ドルを残債の返済に充て、残りを今後の頭金に充てた。
2人は頭金を用意するためにもうひとつの方法を使った。カミーユ氏の確定拠出年金(401k)口座を担保にして借りたのだ。5万ドル(約700万円)を5年ローンで借り、家賃収入で3年かけて返済した。その後、さらに5万ドルを借り入れ、現在返済中だ。この戦略を使うことの欠点は、お金を借りている間は確定拠出年金(401k)口座の資金を複利運用できないことだが、不動産を取得することでポートフォリオを拡大することができる。
スピネッリ夫妻が事業の規模を拡大するために使ったもう一つの方法は、ハードマネーローン(担保付きローン)業者から資金を借りて不動産を購入し、改築して貸し出すことだった。ハードマネーローン業者からの借り入れは、銀行からの借り入れよりも簡単だが、一般的に短期間の融資で金利も高くなる。彼らはその資金を頭金にして購入した物件を改修し、テナントを入れ、再査定を受けて銀行で借り換えた。この戦略は、購入(Buy)、修繕(Rehab)、貸し出し(Rent)、借り換え(Refinance)を繰り返す(Repeat)ことで、頭文字を取ってBRRRR法と呼ばれている。
最後に、スピネッリ夫妻は最近、購入の際に投資家仲間と提携して共同出資している。こうして規模を拡大し、キャッシュフローを増やすことで、頭金を貯めるのがより簡単になったという。
有効な戦略は人によって異なる、とスピネッリ氏は言う。しかし、新しい投資家にとって最も重要なことは、財務的に理にかなっているのであれば、取引を軌道に乗せる方法を見つけることだと彼女は付け加えた。
「どんな方法であれ、頭金さえ集めれば取引を始めることができます。これはお金持ちだけの方法ではありません。これは、経済的自由と家族のための財産を増やす方法なのです」