REUTERS/Gonzalo Fuentes
マイクロソフトは過去1週間で、主にカスタマーサービスや営業職の従業員1000人以上をレイオフした。同社の動向についてよく知る関係者への取材で明らかになった。
匿名を条件に取材に応じたこの関係者によると、今回のレイオフはマイクロソフトが2023年初めに計画した1万人の人員削減の範囲を超えるものだという。
マイクロソフトはこうした動きの一環として、一時は数千人の社員を抱えていた営業およびカスタマーサービスチームである「デジタルセールス・アンド・サクセス」グループを閉鎖した。また、カスタマーソリューションマネジャーという役職を廃止し、多くではないがその役職に就いていた一部の社員をカスタマーサクセス・アカウントマネジメントと呼ばれる別の役職に異動させた。レイオフはエンジニアリングプロジェクトマネジャーやマーケティング部門にも及んでいるという。
これらの変更についてよく知る関係者の一人はInsiderに対して次のように語る。
「顧客を助けることよりも、消費を加速させることに重点が置かれています。かつては業界最大のカスタマーサービスグループの一つと喧伝されたマイクロソフトも、今や需要に追いつくのが精一杯です」
マイクロソフトでは、7月1日に始まる新しい会計年度の開始時にこういった変更が行われるのが恒例になっている。
マイクロソフト上層部はこれまでのところ、今回の組織変更について沈黙を保っている。多くのマネジャーは計画について何も知らされておらず、当日になってレイオフについて知ったマネジャーも多かったと関係者2人は話す。また上層部は、販売チームとカスタマーサービスチームに対する今回の変更(出張費や経費の大幅削減を含む)の根拠を示していない。
マイクロソフトのエグゼクティブバイスプレジデント、ジャドソン・アルソフ氏。
Microsoft
Insiderが閲覧したマイクロソフトの社内メッセージによると、同社の今年の販売キックオフイベント中に今回のレイオフや変更に関する詳細を十分に提供しなかったとして、マイクロソフトのエグゼクティブ・バイスプレジデントでチーフコマーシャルオフィサーのジャドソン・アルソフ(Judson Althoff)氏を批判する社員もいた。このイベントに関する社内投稿の中には、デジタルセールス・アンド・サクセスチームはAIツールに置き換えられるのかという質問もあった。
GeekWireの報道によると、マイクロソフトは本社のあるワシントン州への提出が義務付けられている書類の中で、同州にいる社員210人とリモート社員66人をレイオフしたことを報告している。だが関係者の話では、レイオフはそれ以外の数百人の社員にも及んでいる。
マイクロソフトの広報担当者に問い合わせたところ、次のような回答だった。
「組織と従業員の調整は当社のビジネスマネジメントにおいて必要なものであり、定期的に行っています。当社は将来に向けて戦略的成長分野を優先し、投資し続け、顧客やパートナーをサポートしていきたいと考えています」
今回のレイオフは、昇給の一時停止やボーナス・株式報酬の削減とともに、マイクロソフトの士気低下の一因になっている。Insiderの既報のとおり、「デイリー・シグナルズ」と呼ばれる社内調査に回答したマイクロソフト従業員のうち、他社から現在と同等のオファーを受けたとしてもマイクロソフトに留まると答えたのは半数以下だった。