8年前にFIREを達成したグラント・サバティエ氏。
Courtesy of Grant Sabatier
- グラント・サバティエ氏は30歳でミリオネアになり、FIREを達成した。
- 離職後も作家兼ブロガーとして活躍する彼は、出張先でも自宅のあるNYにいる時も、想像以上に忙しい生活を送っている。
- それでもリラックスする時間を大切にしている彼は、公園を散歩したりヨガや瞑想を日課にしている。
グラント・サバティエ氏は自力でミリオネアになった。
現在38歳の彼は、わずか5年で純資産を125万ドル(約1億7600万円)に増やし、30歳でFIREを達成した。
もはや上司の下で働く必要のない早期退職者は、一体どんな生活をしているのだろうか?
『FIRE 最速で経済的自立を実現する方法(原題: Financial Freedom)』の著者として、またブログサイト「ミレニアル・マネー(Millennial Money)」の創設者として、サバティエ氏は忙しい日々を送っている。9時〜5時の生活からはリタイアしたものの、著書の宣伝活動やサイトの運営など、今でも働く時間を作っている。
それでも早朝のヨガ教室や犬の散歩のようなシンプルなことをする自由時間もあるし、FIREコミュニティの仲間たちと過ごす時間も楽しんでいる。
「経済的に自由であることの一番の利点は、”ありきたりな日”がないこと。昔からルーティンが苦手な私にとても合っている。習慣化することが嫌いなんだ」
そんなサバティエ氏は現在ニューヨーク在住。彼に1日密着し、日常を見せてもらった。
グラント・サバティエ氏(38歳)は、デジタルマーケティングの会社で働きながら純資産を5年間で125万ドルに増やし、30歳でリタイアした。
8年前にFIREを達成したグラント・サバティエ氏。
Courtesy of Grant Sabatier
「ミレニアル・マネー(Millennial Money)」というブログを運営する彼は、2019年に著書『FIRE 最速で経済的自立を実現する方法(原題: Financial Freedom)』を出版した。
たいていのFIRE達成者が物価の安い街に住むのとは対照的に、サバティエ氏は数年前、夫人と共にシカゴからニューヨーク市に引っ越した。
サバティエ氏が唯一継続して行っていることは、毎朝7時30分に起きることだという。たとえ前の晩2時に寝ても、起床時間を変えることはない。
サバティエ氏の自宅からの景色。
Courtesy of Grant Sabatier
取材時はちょうど彼の友人で”戦略パートナー”でもあるビッキー・ロビン氏が1週間ほどサバティエ夫妻の家に滞在していた。彼女はFIREムーブメントを生んだ名著『お金か人生か 給料がなくても豊かになれる9ステップ(原題: Your Money or Your Life)』の共著者だ。
自宅に滞在している場合、サバティエ氏は通常、午前7時45分に9歳のエスキモー犬のウォルターを連れて、ブルックリンや公園を45分間散歩する。
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「ウォルターの気分によってもっと長くなる時もある。コースは彼に任せているから、彼が私を散歩させてくれているようなものだ」
妻と朝のヨガ教室に行ったり、自宅で30分1人でヨガをする日もある。
ウォルターの散歩から1時間後には朝食。卵料理とトッピングたっぷりのベーグルが好きな彼がこの日選んだのは、サーモンとクリームチーズを挟んだ「ロックス」というベーグルサンド。NYでここが一番と彼が絶賛する名店「バーゲン・ベーグル」のひと品だ。
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これも滞在中のロビン氏をもてなすために彼が考えたブルックリン体験のひとつだ。
午前9時頃、近所の郵便局で自著のサイン本を発送。出張中以外は通常、毎週約40冊発送する。すっかり本の運搬に慣れた彼にとって、イケアのバッグは必需品だ。
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「サイン本は販売しているのではなく、直接依頼してくれた人や、本のPRイベントに来れなかった人、友人への贈り物に欲しいという人、書評してくれる人やポッドキャストに招待してくれた人のために送っているんだ。オフィスには何百冊もの著書と発送用のクッション封筒を常備している」
彼がこれまで無償提供した自著の数は約1000冊にのぼる。
その後、自宅のオフィスでロビン氏と打ち合わせ。彼が自分のオフィスを持ったのは3年ぶりで、それまではキッチンや図書館、カフェにノートパソコンを持ち込んで仕事していた。
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「デスクトップのパソコンで、山のように積み上げた自分の本に囲まれて仕事ができるようになって嬉しい。シカゴからニューヨークに引っ越して、この数年で私の人生は大きく変わった。私の本も最近までずっと倉庫で保管していたんだ」
彼の本はオフィスの天井に届くほど高く積まれている。
ロビン氏とは「ファイナンシャル・フリーダム・サミット(Financial Freedom Summit)」という学会に向けた企画会議を行い、FIREムーブメントの歴史や気候変動などについて議論した。
午前11時40分頃、ランチ休憩。「たいてい冷蔵庫とパントリーにあるもので適当に済ませる」とサバティエ氏は語る。出張先での外食が多いため、自宅ではシンプルな食事を好む。
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彼の好物はサラダ、サーモン、アボカド、バナナ、卵。
「料理は得意ではないから、美味しいものを食べたい時はレストランに行く。作れるのはローストチキンと絶品オムレツぐらい」
正午、天気が良いのでロビン氏とブルックリン植物園へ。この植物園の会員でもあるサバティエ氏にとって、ここは「地球上で最も好きな場所のひとつ」だという。
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ブルックリン植物園は、「広さも雰囲気もちょうど良い。平日の昼に行くと10人いれば多い方で、プライベートパークのような気分で満喫できる。1人で行って木陰で寝転んだり読書したりすることもある。中でも特に好きなのはローズガーデンと日本庭園だ」と、サバティエ氏は語る。
午後2時15分、歩き疲れた2人は車でマンハッタンへ。あえて遠回りをして水辺の景色を堪能。
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カフェで妹と待ち合わせしているというロビン氏をアッパー・ウェストサイドで降ろす。
その後、ニューヨーク公共図書館本館の閲覧室でブログの仕事。
Courtesy of Grant Sabatier
「図書館の中でも観光客が写真を撮りに来れないエリアを選ぶのが秘訣だ。どれだけ来館者が多くても、ここはとても静かだから」
さらに彼は、「私のブログをより多くの人に読んでもらえるようにと、ライターを3人初めて雇ったんだ。これから彼らの原稿をチェックするよ」と続けた。
午後4時45分頃、帰り際に彼の好きな詩人ウォルト・ホイットマンの展示を見つけ、立ち寄る。
ホイットマンが所有していた自身の代表作「草の葉」。
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ウォルト・ホイットマンは詩人だが、マーケターとしての側面もあるところが、サバティエ氏が彼を好きな理由のひとつだ。
「名作『草の葉(原題: Leaves of Grass)』の初版を数百部だけ販売した後、彼はその改訂を重ね、改訂版のマーケティングを続けた。そしてラルフ・ウォルドー・エマーソンのためになんとか1部確保し、彼の努力は報われた」
ホイットマンの詩集は数多くのバージョンが出版された。「彼とは良い友達になれたと思う」とサバティエ氏は話す。
近所の書店「バーンズ&ノーブル(Barnes & Noble)」に立ち寄り、自著3冊にサイン。彼の本の販売を熱心にサポートしてくれたこの書店の近くに来る時は必ず立ち寄り、本にサインするようにしている。
Courtesy of Grant Sabatier
「空港やアメリカ中のいろいろな街でこっそり本にサインするのが楽しいんだ。サイン本を見つけた人からインスタグラムでよくメッセージをもらうよ」
午後5時30分、メディア取材を受けることも多いサバティエ氏は、全国紙の取材で学生ローンの仕組みとそのリファイナンスにお勧めの戦略について語る。
グラント・サバティエ氏
The World Today Newsletters/Youtube
「クレジットカードの特典で賢く旅行する方法から、年収5万ドル(約700万円)以下の人がFIREする方法まで、さまざまな質問を受ける。インタビューは本当に楽しいので、依頼があれば必ず時間を作って受けるようにしている」
15分後、徒歩でタイムズスクエアに向かい夕食へ。「忙しい1日の終わりに30〜40街区くらい歩くと気分転換になる。NYは散歩するには最高の街だ」
Courtesy of Grant Sabatier
観光客でごった返すタイムズスクエアは地元住民は避けがちだが、サバティエ氏は逆に、時間があれば人混みに繰り出していると言う。
「ゲームのような気分が味わえるんだ。たくさんの電飾や多様な人々の間を抜けて歩く。10歳の時、家族旅行で初めてタイムズスクエアに来て以来、何度も来ている。来る度に電飾や大型ビジョンの数が増え、より賑やかになっていて、来る度にもっと好きになるんだ。もしインターネットが実在の場所だったとしたら、タイムズスクエアだと思う」
午後6時15分、ロビン氏と合流して夕食。FIRE仲間であり、ブログ「リッチ&レギュラー(Rich and Regular)」のジュリアン&キルステン・サンダース夫妻とともにオーガニック・ハンバーガーのチェーン店「ベアバーガー(Bareburger)」へ。
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サバティエ氏が頼んだのは、彼が「絶品」と太鼓判を押す「インポッシブル・バーガー(Impossible Burger)」。
午後7時30分、FIREムーブメントとパーソナルファイナンスに関する初のドキュメンタリー映画「プレイング・ウィズ・ファイヤー(Playing with FIRE)」のNYプレミアに仲間たちと出席。
Courtesy of Grant Sabatier
この映画にはFIRE達成者の1人としてサバティエ氏も登場する。このドキュメンタリーを通して、彼は新たな仲間と出会うことができ、ワシントンDCでパネリストとしてフォーラムに登壇したり、NYプレミアに出席する機会を得ることができた。
午後10時に帰宅。自宅の屋上から、夜空を堪能する。長い1日の終わりは、ここでのんびり過ごすことが多い。
サバティエ氏の自宅屋上からの夜景。
Courtesy of Grant Sabatier
サバティエ氏は週に3〜4回は午後か夕方にこの屋上で瞑想するが、今晩は瞑想しないと言う。
「この街に住んでまだ日が浅いが、もう自分の故郷のように感じ始めていることに、今夜はただただ幸せで、感謝の気持ちで満ち溢れているんだ」
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