「トリプルピーク」で働く人々は、早めの時間に一時中断し、用事を済ませたり、レジャー(もしかしたらビーチ?)に出かけたりしてから、またログオンして、仕事を終わらせている。
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- 9時から5時までというスタンダードな働き方は、多くの労働者にとって、時代遅れになりつつある。「トリプルピーク」の到来だ。
- 従業員らは、早めの時間に一時中断し、夜になってから再開して、仕事を終わらせている。
- これは協力体制にも影響し得るが、育児などの責任を、柔軟に果たすことができるようになる可能性がある。
アメリカの多くの人にとって、9時から5時までというスタンダードな働き方は、遠い昔のこと。これからは、「トリプルピーク」勤務だ。
パンデミックと、パンデミックが仕事に与えた影響は、ホワイトカラーの従業員の働き方を大きく変えてしまった。働く時間帯もそうだ。
経営者らがウォール・ストリート・ジャーナルに語ったところによると、午後4時から午後6時は「デッド・ゾーン」になっているという。労働者らが早めの時間に一時中断し、後にまたログオンして仕事を終わらせているためだという。労働者らはその時間を、用事を済ませたり、子どもを迎えに行ったり、ラッシュ・アワーになる前に帰宅したり、はたまたレジャーでゴルフ・コースを回ったりするのに使っている。
その結果が、「トリプルピーク」デーだ、とアトランティック(The Atlantic)のデレク・トンプソン(Derek Thompson)は昨年4月に報じた。同年の研究で、マイクロソフト(Microsoft)の研究者らは、同社の従業員の生産性のピーク(キーボードの動きで測定)が、以前は午前11時頃と午後3時頃の、1日2回だったことを発見。だが現在、マイクロソフト従業員の約30%に、午後10時頃という3つ目のピークが存在する。
こうしたスケジュールの変化には、従業員にとって良い面も悪い面もある。
分かりやすいのは、協力体制への影響だ。同僚から必要とされているが、皆がログオフしてしまってからしか戻ることはできない。マイクロソフトの、フューチャー・オブ・ワーク(Future of Work)のゼネラル・マネージャー、コレット・ストールバウマー(Colette Stallbaumer)はウォール・ストリート・ジャーナルに対し、「自分の柔軟性を、誰かの課題にすることなく、実現するにはどうすればいいのだろうか」と述べた。
だが、単独での仕事が多い人や、時間的に制約のない人にとっては、このトリプルピーク・デーがより良いワークライフ・バランスへと続く道になり得るかもしれない。例えば、共働きの親がトリプルピーク・デーを取り入れれば、日中は子どもと過ごす時間を増やし、子どもが寝てから仕事を終わらせることもできるかもしれない。
それでも、スタンダードな勤務以上に働くようであれば、公私の境界線がさらに曖昧になる可能性もある。
「生産性を上げたい事情は、一人ひとり異なる」と、トリプルピーク・デーの研究に取り組んだマイクロソフトの研究管理者、メアリー・チェルビンスキー(Mary Czerwinski)は述べた。
「皆が自分のやり方で生産性を上げる余地を与えなければいけない。赤ちゃんがいる人もいるかもしれない、10代の子がいる人、子どもがいない人だっているかもしれない。でも皆、夜の方が効率が良い」とチェルビンスキーは述べた。
「違うタイムゾーンにいて、勤務が重ならない人もいる。重要なのは、全員が生産的になることができるけれど、やり方も時間も、その人に合わせなくてはならないということ。自分らしく仕事ができて、貢献できる方法は、いくらでもある」