アマゾンはここ数週間で「ハブへの復帰」ポリシーの施行を開始し、従業員をオフィスに強制的に戻すつもりはないと述べた2月の発表を撤回した。
LINDSEY WASSON/Reuters
アマゾン(Amazon)の従業員は、それぞれのチームの「ハブ」オフィスの近くに引っ越すことを拒否する場合、社内で新しい仕事を見つけるか、「自主退職」をして会社を辞めなければならない。
Insiderが入手した社内メールとSlackメッセージによると、アマゾンはここ数週間の間に、いわゆる「ハブへの復帰」という方針を実施し始めた。ハブとは、各チームに割り当てられた中心的な場所のことで、従業員は現在住んでいる都市に最も近いオフィスの代わりに、それらのハブで働かなければならなくなる。
あるSlackメッセージによると、1人のマネジャーはシアトル、ニューヨーク、ヒューストン、およびテキサス州のオースティンに自分のチームのハブを置くと宣言した。それらのハブのいずれかに移転することを拒否する者は、新しいチームへ移籍するか、「自主退職」とみなされるかのどちらかを受け入れなければならないという。
この動きは、顔を合わせて仕事をすることを奨励するアマゾンの取り組みの一環だ。当初のオフィス復帰(RTO)方針で、同社は大部分の従業員個人に対してオフィスを割り当てたが、チームとしての割り当てはしなかった。一部の従業員はInsiderに対し、全国に散らばっているチームメイトとつながるために依然として多くの従業員がビデオ通話を使わなくてはならず、オフィスで仕事をするのは無意味だと語っていた。アマゾンのアンディ・ジャシー(Andy Jassy)CEOは、2023年初めのRTOの発表で、「直接会った方が協働や発明が容易で効果的です」と述べている。
アマゾンの広報担当者ブラッド・グラッサー(Brad Glasser)氏はInsiderへのメールで次のように述べた。
「週に少なくとも3日間一緒に仕事をするようになってから、より多くのエネルギー、コラボレーション、つながりが生まれています。
私たちはより多くのチームを同じ場所に集めるための最善の方法を引き続き検討し、従業員に影響を与える決定をする際には直接コミュニケーションをとっていきます」
この新しい方針は、一部の従業員、特にバーチャルな仕事のために採用された者たちや、パンデミック中に遠隔地に引っ越した者たちにとってはショックだっただろう。2月のRTO発表に先立って、アマゾンは声明で、従業員をオフィスに強制的に戻す計画はないとしながらも、「しばらくは実験、学習、調整」を続けると述べていた。
あるSlackメッセージには次のように書かれていた。
「この1週間、バーチャルステータスや現在割り当てられている都市/国に関係なく、いずれかのハブへ移転することを要請されているという投稿をたくさん見かけました。バーチャルロケーションを使用して別の国への引っ越しを承認された人たちも、アメリカ国内のいずれかのハブに戻ってくるように要請されています。米国内の他の都市に住んでいる人たちは言うまでもありません」
Slackのメッセージや7月18日に送信された社内メールによると、ハブに加わることを拒否する従業員は、現在の都市に残ることが可能な新しいチームを見つけるために60日間の猶予が与えられる。もし60日経っても見つけられない場合は、自主退職とみなされる。ほとんどの従業員は8月までに決断するように言われている。
アマゾンの広報担当者によると、従業員は移転手当を申請することができ、ケースバイケースで例外措置も設けるという。営業やカスタマーサポートを含む一部の職種も引き続きリモート勤務となる可能性がある。
それでも、今回の方針変更は、アマゾンの従業員のフラストレーションを増やすだけだろう。2023年初め、3万人を超えるアマゾン従業員がRTO発表直後に社内Slackチャンネルに参加し、義務の撤回を求める請願書に署名した。Insiderが以前報じたように、アマゾンの人事責任者ベス・ガレッティ(Beth Galetti)氏は3月にこの請願をきっぱりと拒否した。
ある従業員はこうSlackに書いている。
「これは完全に非倫理的であって、人間中心ではなく、『地球で最高の雇用主になるための努力』をしていないと私は思う。
まるでディストピアのようだ。私たちは誰も、この知らせをどう受け止めたらいいのかわからない」