NASA GOES Project/Handout via Reuters
- 地球の気候に影響を与える大西洋の重要な海洋システムが2025年から2095年の間に停止または崩壊する恐れがあると、最新研究が指摘した。
- 海洋システムが崩壊すれば「地球上の全ての人々」に影響を及ぼすような気象パターンの変化が起こるだろうと、専門家はCNNに語っている。
- 具体的な影響としては、西アフリカの永続的な干ばつや西ヨーロッパの厳しい冬などが考えられるという。
地球の気候に影響を与える大西洋の重要な海洋システムが今後数十年のうちに停止または崩壊し、地球全体の気象条件が悪化する可能性があると科学者たちが指摘した。
この海洋システム —— メキシコ湾流を含む大西洋南北熱塩循環(AMOC) —— は数年前から科学者たちによって注意深く監視されてきた。国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は2019年、AMOCの循環は弱まるものの、2100年よりも前に完全に崩壊する可能性は低いと予測していた。
ところが科学誌『ネイチャー』に掲載された最新の論文は、「信頼性の高い」予測としてAMOCの停止または崩壊が早ければ2025年にも、遅くとも2095年までに起こる恐れがあると報告していて、その可能性が最も高いのは2039年から2070年の間だという。
「実に恐ろしい」とこの研究論文の共同著者でデンマークのコペンハーゲン大学の気候物理学の教授であるピーター・ディトレフセン(Peter Ditlevsen)氏はCNNに語った。
AMOCの崩壊がもたらす具体的な影響としては、西アフリカの永続的な干ばつや西ヨーロッパの厳しい冬、インドや南米、西アフリカにおけるモンスーンのパターンの混乱などが考えられるとCNNは2021年に報じている。AMOCの崩壊は世界各地の海水面の急激な上昇を引き起こす可能性もある。
ウッズホール海洋研究所のピーター・デ・メノカル(Peter de Menocal)所長はCNNの取材に対し、AMOCの崩壊は「地球上の全ての人々に影響を及ぼすだろう」と語った。
今回の研究論文の著者らは、AMOCの崩壊による影響を緩和するために、地球温暖化につながる公害の撲滅といった早急な対策を提言している。