Guido Nunez
ギド・ヌニェス(Guido Nunez)氏の母親はいつも、不動産を利用して人生を変えるような富を築く方法について、彼に知恵を授けようと努めてきた。彼女自身が不動産業者だったこともあり、不動産で儲けることができることを身をもって知っていたのだ。
しかし、ギドは何年もの間、不動産には興味がなかった。それより消費者向け製品の仕事に集中したかったのだ。
しかし、2011年、彼は解雇された。
「解雇されたとき、自分の道を自分で決めていないということが分かりました」と彼は述べた。
「誰かが自分の将来や家族のための決断を下しています。そして私たちは皆、昇進を待つか、年率2%のインフレ調整を待つかのどちらかです。『私は何か違うことをしたい』と思いました」
解雇の数カ月後、彼は別の仕事に再就職したが、不動産業という道への思いを断ち切れずにいた。そこで彼は不動産業界に飛び込み、そして成功を収めた。Insiderが閲覧した税務書類によると、兄と一緒に最初の物件を購入し、修復し、売却して以来、彼は複数の集合住宅で150戸にまでポートフォリオを拡大した。
彼が利益を雪だるま式に増やし、ポートフォリオを拡大してきた戦略は2つある。ひとつはBRRRR法だ。この名称は購入(Buy)、修復(Rehab)、賃借(Rent)、借り換え(Refinance)、繰り返し(Repeat)の略だ。もうひとつは1031エクスチェンジで、アメリカの内国歳入法セクション1031に基づいて、投資家がキャピタルゲイン税を支払うことなく、不動産売却益を他の不動産の購入に使うことを可能にするものだ。
規模拡大のための2つの方法
BRRRR法では、投資家が不動産を購入し、それをアップグレードさせ、貸し出し、その物件の再査定を受け、 向上した評価額に基づいて信用枠を増やしてお金を借り、借主の家賃で返済する。金融業者への返済期限が厳しかったり、低迷する市場で大きな上昇を期待する場合はリスクが伴うが、不動産で富を築くための実績に裏打ちされた方法だ。
ヌニェス氏がBRRRR法を活用した一例として、2015年に購入したカリフォルニア州ロングビーチの物件がある。彼は約5年をかけて建物の電気系統を一新し、敷地内のゲートを再び作動するように修理し、新しい屋根を設置し、80%の住戸に新しいキッチン、新しい内装、新しいキャビネットを追加した。
その結果、購入時に135万ドル(約1億9500万円、1ドル=145円換算)だった資産価値が300万ドル(4億3500万円)になったという。頭金は37万5000ドル(約5440万円)で、その資金は兄と所有していた不動産の売却益によるものだった。また、物件がきれいになったため、家賃も大幅に上がった。例えば、1ベッドルームの家賃を平均895ドル(約13万円)から1600ドル(約23万円)に上げることができたという。
その後、キャッシュアウト・リファイナンスを行うことで、その物件から75万ドル(約1億900万円)の価値を引き出すことができたという。その資金は他の物件の頭金にした。
1031エクスチェンジのアプローチについても、ヌニェス氏は同じように 物件を修理し、値上がりを実現した。しかし、借り換えで資本金を引き出すのではなく、物件を売却したのだ。
ヌニェス氏は、築き上げた資産価値を完全に保ったまま、課税されないようにするため、1031エクスチェンジを利用し、他の物件を購入した。
初めて購入した賃貸物件も含め、複数の物件売却でこの戦略を使ったという。ヌニェス氏は、物件の価値が最大限に高まったと判断した時、借り換えではなく1031エクスチェンジを利用する。
「株を売るようなものです。(それ以上の)値上がりがあまり期待できないので、売却します」
1031エクスチェンジを利用する場合、売却代金で新しい物件を購入しなければならない期限は通常は180日以内だ。しかし投資家は、売却からわずか45日以内に新しい物件を決めなければならない。つまり、大がかりな事前計画が必要なのだ。
しかし、不動産売却を選択するのにはそれだけの価値があるからだ。キャピタルゲイン税は不動産を1年以上保有している場合、4万1675〜45万9750ドル(約604万〜6666万円)の所得では15%で、それ以上の場合は20%だ。
なお、クライアントの資産を守るために1031エクスチェンジを利用する会社、リアライズド(Realized)の創業者であるデイブ・ウィーランド(Dave Wieland)氏によると、税金はさらに高くなる可能性があるという。州税も考慮に入れる必要があるほか、後に不動産を売却して利益が出た場合には、減価償却費の税額控除も考慮しなければならない。